第20話連絡を受けて

 豊和君から連絡を貰った時は、正直に言うとイタズラだと思っていた。親族を名乗り彼に近付く者達だと…。でも豊和君は何かを感じたみたいだった。私は急ぎコメントを送った者達を調べる事に。コメントを送った子達の事はすぐに分かった。コメントを送ったのは初音茜はつねあかね十六歳と初音雫はつねしずく十四歳の姉妹だった…。彼女達の両親は亡くなっているわね…豊和君が天使家に来た日の一週間前に交通事故で…。ただ初音家に豊和君が生まれた記録は無い。これ以上は分からない為、取り敢えず彼女達に連絡を取り会う約束を取り付けた。彼女達の髪や血液等を貰いDNA検査もしないといけないしね…。





******


「はじめまして、男性管理局局長の冴嶋です」


弟君おとうとくん!弟君はどこに!?」

「姉さん落ち着いて!すいません姉が…。改めましてはじめまして。初音雫です」

「そ、そうだよね…。自己紹介からだよね?ごめんね、雫?それにすいません、冴嶋さん…」


 喫茶店を貸し切り男性管理局の人間を念の為に配置。暴れられたりされたら困るしね。そうした中現れたのは美人姉妹。どことなく…彼に似ている感じはするけど…。


「…いえ…家族なら…家族に会いたいと思う気持ちは分かりますので…」


「そう言って頂けるとありがたいです…」

「…で、弟君にはいつ会えるの?」

「姉さん、少し黙っていて下さい!話が進まないじゃないですか!」

「うっ…そ、そうだね…」


「…彼に会いたい気持ちは分かるのですが…まずは髪とか血液、あるいは唾液等のDNA検査を出来る物を頂けますか?」


「「!?」」


 2人共驚いているわね…。何故?という感じかしら…。


「…それは何故ですか?」

「…多分…念の為の確認だと思うけど…?」

「雫さんの言う通りです…彼は男性ですしね…。失礼な言い方になってしまいますが現状では嘘をついて彼に近付こうとすると思われても仕方ありませんよね?彼が初音家に生まれた記録が無いのですから…」

「なっ…でも!私達が姉弟だということは弟君に聞いて貰えばすぐに分かる筈でしょ?」

「………(姉さんの言う通りなんだけど…)」


「…彼が記憶を失っているからです」


「「…えっ?」」


「だから…酷ですが彼に聞いてもあなた達の事は分かりません。ただ、彼からあなた達の事が気になるという連絡を受けて私が来たのです…」


「そんな…」

「兄さん…」


「…少しでも早く会える様に協力して貰えますか?」

「「すぐにでも!!」」


 その後すぐに彼女達から検体を採取。何回か検査出来る分を貰った。早ければ今日か明日にでも一回目の検査結果は出ると思う。彼女達には申し訳ないが週末迄時間を貰う事にした。間違いが無い様に何度も確認する為だ。彼女達が血縁者だった場合…豊和君はどうするのかしら…。また考えないといけない事が増えそうね…。





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