第8話出掛けた先で…

「場所も知らずに家を出た訳だけど…」


 天使家から公園への道は覚えていたのでまずは柚希ちゃんと出会った公園へと向かった。公園に着いて辺りを見渡して見ると…


「おっ…コンビニの看板!コンビニでスーパーの場所って聞けば教えてくれるよね?近くにスーパーがないようならコンビニで買えば良いか?」


 コンビニに向かう途中に何人かとすれ違ったけど男性だという事はバレてないし、やっぱり杞憂だよね?皆過保護過ぎなのかも…。


 コンビニに入り一先ず店内を物色。物色した感じ醤油は置いてない!?あちゃ~、ツイてないな…。仕方ないのでペットボトルのお茶を手に取りレジへと向かう…。店員の人は勿論女性。高校生位かな?ペットボトルのお茶を渡して…


「いらっしゃいませ…袋はご利用ですか?」


「あ~、そのままで大丈夫です。それとつかぬことをお聞きしたいのですが…」


「……えっ?えっ?男?男ぉぉぉ!?(キョロキョロ)」

「ち、違います!よ、よく間違われるだけですよ…?アハハ…ハハッ…」

「…ちょっとこっちに!」


 店内に他のお客さんは見当たらず手を捕まれ奥へと連れて行かれる…。あっ…マズい?これマズい…かな?


「ちょっ…離し…「いいから黙って!喋らない!大人しく付いて来てっ!」…っ!?」


 振りほどこうにも掴まれた力が強く振りほどけない!そういえば梓希ちゃんにも敵わなかったんだっけ…。あっという間に奥の部屋へと連れられ部屋の奥へと追いやられる。そして彼女は…カチャッ…っと部屋へと繋がる扉に中から鍵を掛ける。部屋を見渡すと部屋の中は三畳位の小部屋になっていて、ロッカーがあり、机や椅子が置いてある。窓は……無い…。従業員の着替える場所兼休憩室といった所だろうか?


「…何考えてるの?君…男だよね?」

「…違い「声もそうだけど…分かるんだよ?男だって事…本当の事言った方がいいよ?」…え~と、そうです…すいません…」


 逃げ場もなく仕方なく打ち明ける事に…。


「はぁ~…やっぱりかぁ~。絶対そうだとんだよねぇ…」


 感じた?よく分からないけどどうしよう…。皆の言った通り女性は狼だったのかな…?


「え~と…」

「男性が1人…普通なら男性警護官が傍に居る筈なのに確認したけど君の傍には誰も居なかった…。仮に店外に警護官が居たら君から目を逸らさず、こんな事したら今頃店内に入って来て君を助けている筈だよ?」


「……僕をどうするんですか?」


「…見た目が良い男性が1人…。男性警護官も付けずに1人で居るんだよ?女性ならどうするのか知らないの?」


 彼女はそう言って僕の方へとゆっくりと近付いて来る…。彼女のポニーテールが歩く度に左右に揺れている…。まるで犬が尻尾を振って喜んで近付いて来る様に僕には見えた。


「本当に…知らないの?」


「っ!?」

 

「その反応…知ってるんだよ…ね?」






******



「冴子のせいで豊和君をずっと1人にしてしまったじゃない!」


「先輩が私を2階の部屋へと連れて行きましたよね!?」


「待ちくたびれて寝ちゃってるかも…」


「…寝てたらヤリますか?」

「…あんた余程私に殺されたいのね?」

「や、ヤるのは冗談ですから、冗談ですって!」



「人間…我慢の限界ってあるのよ…ねぇ?」

「もう言いませんから!お口にチャックしておきますから!平に…平に御容赦下さい!」


「はぁ~疲れるわ…。こんな時は豊和君見て癒さないとね♪」

「どんだけ夢中なんですか…」

「別に良いでしょ?」

「そりゃあそうですけど…」


 リビングのドアを開け…愛しの豊和君の顔を拝見……って居ないわね…。トイレか…。残念。

 

「…トイレみたいね」


「ウ○コ?」


「冴子との付き合い方変えないといけないわね…」

「先輩酷いっすよ!」


 テーブルに何か置かれてる。……ご飯の準備迄してくれたのね…。本当に気が利いて優しくていい子よね…。


「あらっ…これ……」


 それは豊和君が書いたと思われるメモだった…。確認すると私は愕然…。大変!!!


「冴子っ!豊和君が1人で町に出掛けたわ!信用出来る人でこの近くに居る人は?」

「そんな都合良く居ませんよ!柚希ちゃんと梓希ちゃんに連絡して捜させて下さい!私も今から彼を捜しに行きます!」

「私は北側を!」

「私は南を!柚希ちゃんと梓希ちゃんには学校から街の方へ彼を捜す様に伝えて下さい!」

「警察は?」

「まだ駄目です!とにかく何かあったら携帯に!」

「ええ!」


 豊和君…無事で居てよ?お願いだから…。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る