第4話冴嶋さんが天使家にやって来た②

「本当に申し訳御座いませんでしたぁぁ!」


 あの後、別室に連れて行かれた冴子さんはリビングに戻って来たと同時にジャンピング土下座を敢行。開口一番大声で僕に謝罪を口にした。尚、冴子さんはフルフル震えている為、別室に連れて行かれて何があったのか(ある程度想像は付くが…)は聞かない方が良いだろうと判断した。


「えっと…顔を上げて下さい冴嶋さん」

「冴子と呼んで下さい!」

「チッ…冴子?」

「…調子に乗りました…犬とお呼び下さいませ…(ブルブル…)」

「…と、取り敢えず冴子…さん?」

「犬の名前を呼んで頂き誠に恐縮です…」

「ふ、普通に話して貰った方が僕は助かるので普通に話して貰っても良いですか?」

「…そう?じゃあ、そうするわね?」

「冴子あんた…」

「ヒッ!?せ、先輩?豊和君が良いと言ってくれたんですよ?そ、それを否定するんですか!?」

「くっ………仕方無いわね…」

「でしょう?(助かったぁ~)」

「と、取り敢えず食事しながらの話にしませんか?柚希ちゃんと梓希ちゃんは部活でしょっ?」

「「……忘れてたぁー!?急がないと…」」


 昨日部活があると聞いていたからね…。柚希ちゃんはテニス、梓希ちゃんはバスケをしているそうだ…。2人は慌てて席に着き、僕達も遅れて席に着いて、ようやく食事する事に。


「「「「「いただきまーす!」」」」」


「美味しい!美味しいよ豊和君!」

「お兄ちゃん最高!」

「息子の手料理…ふふっ…至福の時間だわ」

「口にあったみたいで良かったです…」

「…えっ?この美味しいサンドイッチ、先輩が作ったんじゃあないんですか!?」

「豊和君の手作りよ?」

「…男性の手作り料理なんてお金払ってもありつけないですよ!?というか、男性で料理出来る人なんか存在しませんよ!」

「…そうね」


「あっ…忘れない内に………はい…これっ!柚希ちゃんと梓希ちゃんにお弁当渡しておくね!」


「「「「お弁当!?」」」」


「うん…良かったら昼に食べて!部活と聞いてたから張り切って作ったんだ…」


「あふぅ…幸せ/////豊和君ありがたくお昼に頂くね/////?今なら私24時間テニス出来そうだよ…」


(柚希ちゃん、リゲ○ンでは無いですよ?)


「ありがとうお兄ちゃん/////(こんなに幸せで私死なない!?)…今日のシュート外れる気がしないよ…」

「…お弁当なんて良いなぁ…」

「先輩…ここは天国ですか?」


 こんなに喜んで貰えて本当に嬉しい。食事を終えた後、柚希ちゃんと梓希ちゃんは部活の為学校へと向かった。僕達はというと、


「こほん、改めて男性管理局の冴嶋冴子です。今日こちらに伺ったのは豊和君の今後に関わる事の話し合いの為です…」


「はい…」


「まず歳は15歳で間違い無いのよね?」

「そうですね…それは間違い無いです」

「それなら…まずは中学校はどうする?男性は無理して通わなくても問題は無いわ。それに…中学校に通ったとしても後、半年きってるけど…」

「…僕は…通えるなら通いたいですね」

「ちょっと待って豊和く…「先輩?流石に止める事は許されませんよ?」…豊和君の股間に触れた貴女がそれを言うわけ?」


「それは忘れて下さい!こほん!豊和君は中学校に通うのね?」

「…はい…出来れば」

(円香さんが心配そうな顔してるけどやっぱり学校は行っておきたいしなぁ…)

「オッケー…次に外出する時は男性警護官が常に貴方に付くことになるわ…」

「ああ、柚希ちゃんが言ってましたね…やっぱり必要なんですか?」

「必要よ…それ位女性は危険なのよ?」

「…冴子みたいなのがウジャウジャいると思って良いわよ?」

「先輩!?」

「え~と、分かりました円香さん…」

「ちょっと豊和君も今ので納得しないでくれる!?」

「あっ…そういう訳ではなかったのですけど…」

「それなら良いけど…。後はそうね…。男性を守るという防犯の点からここでは住めないわね…」

「そうなんですか!?」

「ええ…。まぁ~、ただ、先輩の事だからもう家の方は用意されてるんですよね?」

「勿論よ」

「…すいません。僕のせいで引っ越しする事になってしまい…」

「そんなのも当然なんだよ豊和君!私達はもう家族なんだからね?」

「ありがとうございます…」

「そうそう、後は毎月男性のランクに応じた生活費が振り込まれるわ。つまり生活が保証されるということね…」

「ランク?」

「ええ、男性は男性管理局に登録と同時にランク分けされるのよ…。ランクはS、A、B、C、D、Eの6つ。Sが最高でEが最低のランクに分けられているわ…」

「どんな基準で分けられているんですか?」

「性格や趣味…体型に顔等細かく基準項目があるんだけど…男性に一番求められるのは性欲と精子の質ね…」

「あ~…子孫繁栄の為ですか?」

「ええ…原因は分からないのだけど今の世の中は女性の方が産まれやすいの…。男性が産まれる数は年々減少しているしね…。だからこそ男性には生活の保証と引き換えに年に数回精子を搾取して冷凍保存…。男性に出会えなかった女性で子供を産みたい女性はそれを使い人工授精して子供を産むのよ…」


「私も人工授精で柚希と梓希を授かったのよ…」

「そうなんですね…」


「それで…これは聞いて置かないといけないから聞くけど…精通は?」


「ん?(今なんと?)」


「ん?じゃなくて、精通よ精通!」


「…え~と僕はまだですね/////…」

(くっ…なんという辱しめ…)


「まだなら精通したら必ず私か先輩に連絡する事。これは必ず約束してね?」

「いつでも言ってね?」


「……はい」

(言わないと駄目なのか…)


「うん。いい子ね…。そしたら、豊和君の最初のランクなんだけど…」

「Dランク位からでしょっ冴子?」

「何を言ってるんです?Bランクからのスタートですよ…」

「!?…それは…」

「…勿論、まだのでご心配なく…」


 そこから先はまだ教えては貰えなかった…。まだ知らなくていいとの事。Bランクかぁ~。Bランクに認定されちゃったけどどうなっていくのか僕は少し不安になっていた。


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