第36話 代行者と輝石の龍

敗北と同時に射出されるコアブリット。バトルフィールドの外へと飛ばされ、それに伴ってバトルフィールドが消滅する、射出されたコアブリットは再びアビスへと引き戻され、無事に着陸したその機体が開閉して中からぐったりした様子の未来が現れる。


 


「ヒナ!!」


「未来さん!」


「未来!」


「だ、大丈夫……」


 


三人が未来をコアブリットの中から出し、慌てて容態を確認していく。息もあるし、身体には目立った怪我なども見えない。バトルの疲労が重く圧し掛かってきてるということを除けば彼女の身体に異変らしいものは見えないだろう。しかし、今の彼女には立つことも酷だろう。


 


「まぁこんなバトルで得られるエネルギーとしてはこの程度か」


 


空から降りてくるフィーネ。バトルで圧倒的な力を見せた彼女が再び自分たちの前に現れた。その事実に三人の顔がこれ以上ないほど歪む。このままでは不味い。もしフィーネの目的のためにバトルが行われる事となるとしたら彼女は三人もこの危険な戦いに巻き込もうとしているだろう。それを避けなければならない。恐らく、響達もこの場に向かっている筈。自分がこうして動けない以上、時間を稼がなければならない。


 


「フィーネ!教えろ!このカ・ディンギルは……神々の砲台なのか!?」


「神々の……砲台……?」


 


弾の言葉に四人は疑問の表情を浮かべる。一方フィーネは、弾が気付いている以上はもう隠す意味はないかとその口を静かに開き始める。


 


「神の力、強き引き金より放たれて、数多の諍いを鎮めた……そう。この塔、カ・ディンギルとはあくまでこの人類史における名称に過ぎない。その真の姿こそ、古に語り継がれし、失われた神々の砲台……尤も、この複製品は本家と比べれば劣化版であるという面は否めないが」


 


本物の神々の砲台は塔の形状はしていなかった。が、カ・ディンギルは塔の形状をしている。それは、本物と比べると様々な面で性能が見劣りするために塔と言う形状を取ることで可能な限り本物に近い性能に近付けているのだろう。しかし、ここで疑問が生じる。十二宮Xレアと引き金を用意し、バトルによって生じた大量のエネルギーを使う事で初めて放たれる弾丸。そう、十二宮Xレアがなければ砲台は放てないのだ。


 


「知っていたのか?俺がこの時代に現れることを」


「いいや、知らない。そもそも、お前が神々の砲台を放ったことなど、お前の話を聞いて初めて知った事だからな。が……これは丁度良かった。十二宮Xレアの代用品になり得る十二の聖遺物を集めていた私は、様々なアクシデントに襲われたせいでこの身体を持っている内には計画は成就しないとも考え始めていたからな」


「十二の聖遺物……?」


 


確かに、十二宮Xレアの代用品として用意するのならばそれに近い力を持つ聖遺物が必要となる。そして、このカ・ディンギルも神々の砲台を元として作られたものであるため、そこらへんの微調整も効いたのだろう。そして、該当する聖遺物と言えば、


 


「シンフォギアか……」


「他にもあるけれどね」


 


弾の言葉を肯定しながらも満点はあげないという風に笑うフィーネ。


 


(ガングニール、天羽々斬、イチイバル、アガートラーム、シュルシャガナ、イガリマ、神獣鏡、ネフィリム、ソロモンの杖、デュランダル、ネフシュタン、紅蓮の輝石。聖遺物はシンフォギアとして完全聖遺物に近付けることで代用品にしようとしていた計画は、もう必要ない)


「あんたは、過去の俺を知っていると言った。現に俺が異界王と戦っていた時のことを知っていた……なら、俺が引き金となったことも知っている筈だ。なのに俺が言うまで知らなかったというのはどういうことだ?」


「……ふふ、平行世界と言うやつよ……さて、私もこれ以上は無駄話に付き合う暇はないわ」


 


ここで弾との会話を切り上げると、裁きの神剣を四人に向ける。剣が自分達に向けられたのを見て、四人の表情が恐怖や焦りに歪む。


 


「!」


「これぐらい時間があれば少しは精神も落ち着いてマシなバトルが出来るようになったでしょう?次は誰が相手になるのかし……!?」


 


瞬間、フィーネが背後を振り向き、裁きの神剣を振り抜く。次の瞬間、金属が弾かれる音と共に地面に数本のナイフが突き刺さり、同時にフィーネの上空を一つの影が舞う。その影は右手に握る銃の照準を、フィーネへと向け、何の躊躇もなく脳天へと弾丸を叩きこむ。


 


「!?」


 


少女達にとってはあまりにも衝撃的な光景であるが、それを考慮しても即座にこうしなければならなかっただろう。彼女達が危機に陥っていたのだから。


 


「大丈夫ですか!?」


「お、緒川さん!?」


 


眼鏡を外し、臨戦態勢に入った状態で銃を構える慎次。彼の目の前で脳天を貫かれたフィーネは顔を後ろに傾け、目を見開いたままの姿勢で固まっており、いきなり銃声が鳴り響いた先程の光景と合わせてかなり精神的に厳しい光景だろう。とはいえ、先程まで死の一歩手前までいたという最悪の状況に立っていたせいか、自分達に新しい味方が現れたという事実に安堵する気持ちの方が大きい。


 


「四人とも大丈夫ですか!?弾君は!?」


「俺は死なれるとフィーネにとっては困るらしい。だから今は問題ない。早く四人を!」


「すぐに戻ります!」


 


弾の声に嘘はない。まずは戦えない四人を運ぶことが先決だろう。そう考えて四人を誘導しようとした次の瞬間だった。慎次の腰に鞭のようなものが突然絡みつき、その身体が軽々と持ち上がる。


 


「な!?」


「くくく……そこのぬるま湯に浸かりきった四人よりは手応えのある相手が出てきたな。丁度いい、貴様を使ってエネルギーを溜めることとしよう!」


「ば、馬鹿な!?確実に脳天を……くっ!」


 


身体を揺らされ、通常なら照準すらまともに付けられないだろう。しかし、慎次はそれを容易にクリアし、動揺する心を落ちつけながらフィーネの鎧で守られていない顔に今装填されているマガジンの弾丸を全て放つ。しかし、その全てを喰らいながらもフィーネは慎次をコアブリットへと無理矢理押し込むと、次に指を鳴らしてコアブリットを閉める。


 


「生憎だったなぁ、私はバトルスピリッツでなければ死なんのだ!ゲートオープン、界放!!」


 


再び天空にバトルフィールドが出現する。慎次は何とかしてコアブリットから脱出しようとするが、それは叶わない。コアブリットは再びバトルフィールドへと放たれ、流石にこれ以上は危ないと感じ取った慎次もコアブリットのハンドルを握り、バトルフィールドの中へと飛び込んでいく。


 


「く……ここは……!」


「太古の時代。進化した人類、異界魔族達が人を支配した時代で用いられた、神々へと捧げる舞台だ」


 


白銀のバトルフォームを上半身に纏いながら、慎次は目の前のフィーネを見る。フィーネは、慎次の着用しているバトルフォームを見ながら、不敵な笑みを浮かべる。


 


「随分似合ってるじゃないか。それは、当時の時代の人類軍が使用していたバトルフォームを復元させたものだ」


「桜井了子……いや、フィーネ!一体、何が目的だ!?」


「知りたければ、私を打ち負かしてみるがいい。が、この場に立った理由ぐらいは教えてやる」


「理由……?」


 


アビスに四人の少女を置いて、自分と共にバトルフィールドに立った理由。そんな理由など分かりきっていると言わんばかりにフィーネは不敵な笑みを浮かべる。


 


「お前の方があの四人よりも効率よく稼げると思ったからだ」


「何を……」


「先行はくれてやる。かかってくるがいい」


「……スタートステップ」


 


話しても無駄なようだ。こうなれば彼女の言うとおり、戦って、無理矢理彼女の目的を止めるしかない。しかし、彼女は自分のデッキを知っている。その戦い方も。対してこちらはフィーネの戦い方を知らない。そこは大きな情報力の差として現れてくるだろうが、その程度で気圧される訳にもいかない。慎次は一瞬だけ弱気になりそうになる自分に渇を入れるように深呼吸をすると、デッキに手をかける。


 


「ドローステップ、メインステップ。ゲニン・スズメをLv2で召喚!」


 


【ゲニン・スズメ:緑・スピリット


コスト1(軽減:緑1):「系統:爪鳥」


コア3:Lv2:BP2000


シンボル:緑】


 


慎次のフィールドに出現する緑のシンボル。それが砕かれるおと共に出現した、緑色の葉を重ねて作り上げた翼を両翼に纏った小さなスズメのスピリット。手始めとなるスピリットを呼び出し、慎次は様子を見るかのようにターンを終える。


 


「ターンエンド」


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、メインステップ。生還者リューマン・ファルコをLv2で召喚!」


 


【生還者リューマン・ファルコ:赤・スピリット


コスト3(軽減:赤1・極1):「系統:護将・竜人」:【スピリットソウル:赤】


コア2:Lv2:BP4000


シンボル:赤】


 


フィーネのフィールドに現れる竜人。青白い翼を持ち、全身に強固な鎧を纏ったリューマンは、静かに地面に着陸していく。


 


「赤のスピリット……やはり、ネフシュタン……」


「ターンエンド」


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。巻き上がるダンガロ山脈を配置!」


 


【巻き上がるダンガロ山脈:緑・ネクサス


コスト3(軽減:緑1)


コア0:Lv1


シンボル:緑】


 


慎次の背後で巨大な暴風が吹き荒れる。真っ白に染め上げられたその暴風は、次第にその色を半透明色に変色させていく。その巨大な風の中には、風によって宙に浮きあがった氷と岩が山脈を構築している姿が明らかとなる。


 


「ターンエンド」


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。六分儀剣のルリ・オーサをLv2で召喚!不足コストは、リューマン・ファルコより使用する!」


 


【生還者リューマン・ファルコ


コア2→1:Lv2→1:BP4000→3000】


 


【六分儀剣のルリ・オーサ:緑(赤)・スピリット


コスト4(軽減:緑2・赤1):「系統:殻人・星魂」


コア2:Lv2:BP5000


シンボル:緑(赤)】


 


青緑色の殻がその身に纏われた人型のスピリットが呼び出される。昆虫の鋭い爪が生えた腕を持ち、合計四本の腕を宙に広げるルリ・オーサが背中から生えた羽で空を舞いながらゆっくりと着地、その手に握られた剣を音もなく構える。


 


「ルリ・オーサ、召喚時効果。ボイドからコア1個ずつを自分の赤のスピリット2体に置く。ルリ・オーサはLv2のとき自身の色とシンボルを赤として扱う!よって、ルリ・オーサとリューマン・ファルコに1コアずつ追加!」


 


【生還者リューマン・ファルコ


コア1→2:Lv1→2:BP3000→4000】


 


【六分儀剣のルリ・オーサ


コア2→3】


 


「やはりコアブーストを……」


「ターンエンド」


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。ゲニン・スズメをLv1にダウン!」


 


【ゲニン・スズメ


コア3→1:Lv2→1:BP2000→1000】


 


「そして、火忍ハシビロウを召喚!」


 


【火忍ハシビロウ:緑・スピリット


コスト4(軽減:緑2):「系統:爪鳥・星魂」:【分身:1】


コア1:Lv1:BP3000


シンボル:緑】


 


慎次のフィールドに巻き起こる炎。その中から翼の大きな、どこかアヒルのようにも見える灰色の羽をもつスピリットが姿を見せる。ハシビロコウを模した、具足や篭手といった防具をその身に纏った火の忍者は、召喚と共にその能力を発揮させる。


 


「火忍ハシビロウ、召喚時効果!分身:1発揮!デッキの上から1枚を裏向きで自分フィールドに置き、リザーブのコアを置くことで分身スピリットへと変化させる!さらに巻き上がるダンガロ山脈の効果により、リザーブからコアを置くかわりにボイドからコア1個を使い分身スピリットを生成する!」


 


【分身スピリット(名前なし):緑・スピリット


コスト0:「系統:分身」


コア1:Lv1:BP3000


シンボル:緑】


 


慎次のデッキの一番上のカードが裏向きのまま慎次のフィールドに移動し、ボイドから現れたコアがその上に追加される。同時にフィールドではハシビロウが緑色の輪郭を持つ自分と同じ姿をした分身を一体出現させる。


 


「さらに、巻き上がるダンガロ山脈をLv2にアップ!」


 


【巻き上がるダンガロ山脈


コア0→2:Lv1→2】


 


「アタックステップ!ゲニン・スズメでアタック!」


「……狙いは破壊時効果か……!」


 


ゲニン・スズメが翼を羽ばたかせ、フィーネへと攻めかかる。ゲニン・スズメには破壊時効果として相手は相手のスピリット2体を疲労させる効果がある。もしフィーネがブロックをすればそれによって全てのブロッカーが消える事となり、そこにアタックを叩きこむということだろう。ライフを削られること自体は悪いことではない。しかしこの場は、


 


「ライフで受ける!」


 


敢えてライフで受ける事にする。ゲニン・スズメが飛び上がり、その翼の先で器用に手裏剣を握ると、それをフィーネに向けて放つ。と、次の瞬間に彼女の目の前に緑色の六角形の輪郭を無数に束ねたバリアが出現し、ゲニン・スズメのアタックの威力がそのバリアに吸収される。そして限界まで高められたその威力は、フィーネの身体を貫く。


 


「……!」


 


流石のフィーネも少しだけ耐えるように表情を強張らせる。未来との戦いで敢えてネフシュタンの力を抑え、ダメージがあまり入らないようにしたのは、彼女が最後までバトルができるようにするため。しかし、ここからはそんな心配をする必要はない。つまり、これこそが本来のネフシュタンがこの空間で発揮する痛みであるということだ。


 


「ターンエンド」


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。プロフェット・ドラゴンを召喚!」


 


【プロフェット・ドラゴン:赤・スピリット


コスト2(軽減:赤1):「系統:戦竜」


コア1:Lv1:BP2000


シンボル:赤】


 


フィーネのフィールドに現れる三体目のスピリット。黄色い鱗に身を包み、紺色を基調としたローブを纏った預言者のような姿をしたそのドラゴンは、召喚と共に咆哮を上げる。


 


「プロフェット・ドラゴン、召喚時効果!手札のコスト8以上のスピリットカードを好きなだけオープンして手元に置くことで、オープンしたカード1枚につき、デッキから1枚ドローする!滅龍帝ジエンド・ドラゴニス、十剣聖スターブレード・ドラゴンを公開し、2枚ドロー!」


 


オープンされたカードがフィーネのプレイボードの上に移動する。手札からカード効果でオープンされ、手元に置かれるカードは手札としては扱わないが、ゲーム終了時まで手札にあるときと同じ用途で使用できる。


 


「くく、来たか。現れるがいい、彷徨う天空寺院を配置!」


 


【彷徨う天空寺院:赤・ネクサス


コスト5(軽減:赤3)


コア0:Lv1


シンボル:赤赤】


 


フィーネの背後に竜の姿を模した巨大な大陸が出現する。高コストスピリット達の召喚をサポートする強力なネクサスの登場に慎次の表情が僅かに歪む。


 


「彷徨う天空寺院を疲労させ、本来のコスト8以上のスピリットのコストを予め-2した状態で召喚を可能とする!来たれ、星の剣振るいし竜!十剣聖スターブレード・ドラゴン、Lv2で召喚!不足コストはリューマン・ファルコ及びルリ・オーサより確保する!」


 


【生還者リューマン・ファルコ


コア2→1:Lv2→1:BP4000→3000】


 


【六分儀剣のルリ・オーサ:緑


コア3→1:Lv2→1:BP5000→3000


シンボル:緑】


 


【十剣聖スターブレード・ドラゴン:赤・スピリット


コスト8(軽減:赤6):「系統:剣使・星竜」


コア3:Lv2:BP10000


シンボル:赤】


 


天空から降り注いだ炎の中から現れる白銀の鎧を纏ったドラゴン。赤く燃えるような刀身を持つ二本の刃を構えた星の竜を携え、フィーネはアタックステップを宣言する。


 


「バーストをセットし、アタックステップ!十剣聖スターブレード・ドラゴンでアタック!アタック時効果発揮!相手フィールドで最もBPの高いスピリットを破壊する!火忍ハシビロウと分身スピリットはBPが同じ、よって片方を選択する!火忍ハシビロウを指定!」


 


スターブレード・ドラゴンが振り上げた剣が振り抜かれ、ハシビロウの身体が両断される。大爆発を引き起こすハシビロウから生じた煙を吹き飛ばしてスターブレード・ドラゴンが剣を振り上げて慎次へと迫る。


 


「Lv2・3・4アタック時効果!BP+5000!」


 


【十剣聖スターブレード・ドラゴン


BP10000+5000→15000】


 


「ライフで受ける!」


 


ライフで受ける宣言をした慎次の目の前に、先程のフィーネと同じように無数の六角形が束ねられたバリアが出現する。フィーネとは違い、赤い色をしているそのバリアに叩き付けられたスターブレード・ドラゴンの攻撃が一点に集中され、一筋のビームとなって慎次の身体を貫く。


 


「ぐっ……!?」


 


流石の慎次もそのダメージはかなり効いたのだろう。膝を付かないまでもダメージを受けた胸元に手を当てながら痛みに耐えるように表情を歪める。


 


「ターンエンド」


「これが……ネフシュタンの、痛み……!スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ、二体目の火忍ハシビロウをLv2で召喚!」


 


【火忍ハシビロウ


コア2:Lv2:BP4000


シンボル:緑】


 


「召喚時効果!分身スピリットを生成!ネクサスにより維持コストはボイドより確保!」


 


【分身スピリット(名前なし)


コア1:Lv1:BP3000


シンボル:緑】


 


再び呼び出されるハシビロウ。その召喚と共に慎次のフィールドに既に存在する分身スピリットと酷似した緑色の光の輪郭に包まれたハシビロウが生み出される。


 


「さらに翡翠の小太刀 日輪丸を召喚!不足コストはネクサスより確保!」


 


【巻き上がるダンガロ山脈


コア2→0:Lv2→1】


 


【翡翠の小太刀 日輪丸:緑・ブレイヴ


コスト4(軽減:緑2・白1):「系統:剣刃」


シンボル:緑】


 


太陽を模した柄を持つ翡翠色の刀身を持つ小太刀が慎次のフィールドに出現する。慎次の愛刀たる一振りが出現したことで慎次は一気に攻め込もうとする。


 


「翡翠の小太刀 日輪丸を、火忍ハシビロウに直接合体!」


 


【火忍ハシビロウ


コスト4+4→8


BP4000+3000→7000


シンボル:緑+緑】


 


日輪丸がハシビロウの翼で器用に抜かれ、翡翠色の刀身が光を照らす。さらに、刀に宿るその力がハシビロウに更なる術を行使するための力を与えるかのようにハシビロウの全身から緑色の光が解き放たれる。


 


「ハシビロウ、Lv2・3効果!自分のメインステップ時、系統:「剣刃」を持つ自分のブレイヴが召喚されたとき、自分のスピリット1体の分身を発揮させる!ハシビロウの分身を再び発揮!」


 


【分身スピリット(名前なし)


コア1:Lv1:BP3000


シンボル:緑】


 


コアはネクサスによってボイドから増える。コアブーストとスピリットの増加を同時にこなした慎次は相手の罠を恐れずに斬る刃を手に攻めかかる。


 


「バーストをセットし、アタックステップ!合体スピリットでアタック!日輪丸の合体時効果により、このスピリットの分身を発揮!誕生せよ、新たな分身スピリット!」


 


【分身スピリット(名前なし)


コア1:Lv1:BP3000


シンボル:緑】


 


再びハシビロウから分身するスピリット。一ターンの間に三体の分身スピリット。先程のターンに召喚された分身スピリットを合わせ、合計四体の分身スピリットを携えた上で合体スピリットでアタックを宣言する慎次。そのアタックを見たフィーネは軽く舌打ちをしながらプロシェット・ドラゴンを見る。


 


「プロシェット・ドラゴンでブロック!」


 


プロシェット・ドラゴンがハシビロウの前に立ち塞がる。目の前に立ち塞がったプロシェット・ドラゴンを前にハシビロウはその手の日輪丸を使わずに両翼を使って自分の口元で輪を作るように器用に曲げると、そこから炎を放つ。放たれた炎は巨大な火炎弾となってプロシェット・ドラゴンを呑み込んだ。


 


「日輪丸の効果により、このスピリットと合体しているスピリットのアタック時、相手はバーストを発動できない!」


「ふん……知っている!」


「ゲニン・スズメでアタック!」


「フラッシュタイミング!絶甲氷盾を使用!不足コストはスターブレード・ドラゴンとルリ・オーサより確保する!」


 


【六分儀剣のルリ・オーサ


コア1→0】


 


【十剣聖スターブレード・ドラゴン


コア3→1:Lv2→1:BP10000→7000】


 


「このアタックはライフで受ける!」


 


ルリ・オーサが消えるのと同時にゲニン・スズメの投げた手裏剣が再びフィーネのライフを奪う。しかし、そのライフ減少こそがフィーネの待ち望んでいた時。ライフが減った事によりそのバーストが起動し、フィーネの背後で炎の竜巻が立ち昇る。


 


「ライフ減少によりバースト発動!自分のライフが3以下のとき、BP15000以下の相手スピリット1体を破壊する!合体スピリットを破壊!」


「っ……日輪丸、分離!」


 


【翡翠の小太刀 日輪丸


コア2:Lv1:BP3000


シンボル:緑】


 


その炎はハシビロウへと放たれる。火を操る忍であるハシビロウでさえも耐えられない高熱がハシビロウの身体を焼いていき、ハシビロウは最後の抵抗でその手の日輪丸を宙に投げ、それが地面に突き刺さった後に己の身体を爆発させた。


 


「この効果発揮後、このスピリットをバースト召喚する!降臨せよ、龍の覇王!ジーク・ヤマト・フリード!!」


 


【龍の覇王ジーク・ヤマト・フリード:赤・スピリット


コスト8(軽減:赤3):「系統:覇皇・古竜」


コア1:Lv1:BP6000


シンボル:赤】


 


炎はフィールドへと降り注ぐ。その龍は、紅蓮の装甲を纏い、背中や肩から青い角のような装飾が出ている。顔には巨大な赤い角と金色に輝く瞳を持ち、その手には一振りの剣が握られている。その圧倒的な力を相手へと見せつける覇王、ジーク・ヤマト・フリードは今、持ち主を勝利に導く為にフィールドに降臨する。


 


「龍の覇王……!!」


「そしてバトル終了時、絶甲氷盾の効果が適用される!このカードを使用したバトル終了時、アタックステップは終了する!」


 


フィーネの前に吹雪が出現し、それが時を押し流す。アタックステップと言う時を吹き飛ばされ、エンドステップへと強制的に移動させられた慎次は苦々しげな表情を見せながらもターンの終了を宣言する。


 


「……ターンエンド」


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。マジック、三札之術を使用!デッキから2枚ドロー、その後、デッキを上から1枚オープン!」


 


フィーネのデッキからオープンされたのはシャムシーザ―。赤のスピリットカードであることにより、三札之術の次なる効果が適用される。


 


「赤のスピリットであるため手札に加える。そして、彷徨う天空寺院を疲労させ、手元の滅龍帝ジエンド・ドラゴニスを予め2コスト支払ったものとして扱う!黙示録の獣よ、今降臨せよ!滅龍帝ジエンド・ドラゴニス、召喚!」


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス:赤・スピリット


コスト9(軽減:赤6):「系統:滅龍」


コア1:Lv1:BP9000


シンボル:赤赤】


 


天空から赤紫色の雷鳴が降り注ぎ、それに導かれるように黒い巨大なドラゴンが現れる。四本脚で大地に立ち、二本の巨大な金色の角を見せ、紫色の瞳を輝かせて薄い黄色の翼を大きく広げる。


 


「っ……何と言うプレッシャーだ……!」


「くくく……裁きの神剣に眠っていた神の代行者のカードも中々に使い心地がいい。ジーク・ヤマト・フリード、スターブレード・ドラゴンをLv2にアップ!」


 


【龍の覇王ジーク・ヤマト・フリード


コア1→3:Lv1→2:BP6000→10000】


 


【十剣聖スターブレード・ドラゴン


コア1→3:Lv1→2:BP7000→10000】


 


「アタックステップ!十剣聖スターブレード・ドラゴンでアタック!アタック時効果により相手フィールドで最も高いBP3000、よって翡翠の小太刀 日輪丸を破壊する!」


 


スターブレード・ドラゴンの両腕の剣が同時に振り抜かれ、交差された炎の斬撃が日輪丸の刀身を両断し、斬り落としてしまう。


 


「さらにもう一つのアタック時効果によりBP+5000!」


 


【十剣聖スターブレード・ドラゴン


BP10000+5000→15000】


 


「そのライフ、消し飛ばさせてもらおうか!」


「そうはさせません!フラッシュタイミング!光速三段突を使用!不足コストは3体の分身スピリットより確保!」


 


【分身スピリット(名前なし)


コア1→0】


 


【分身スピリット(名前なし)


コア1→0】


 


【分身スピリット(名前なし)


コア1→0】


 


水忍ガモン、風楯の守護者トビマル、ナイトイーグル。コアを失って消滅し、トラッシュへ消えた事によって初めて明らかとなる分身スピリットの正体。それらを見ながらデッキに残るカードを考え、同時に目の前に出現した光の剣に目を向ける。


 


「相手スピリット1体をデッキの下に戻す!スターブレード・ドラゴンを指定!」


 


スターブレード・ドラゴンの身体が光の剣に貫かれ、それによってデッキの下へと消えていく。スピリットを破壊する厄介な効果を一先ず封じることが出来ただけマシだろう。


 


「構うものか!ジーク・ヤマト・フリードでアタック!Lv2・3・4アタック時効果により分身スピリットを指定アタック!」


 


ジーク・ヤマト・フリードの振り上げた剣がハシビロウの姿をした最後の分身スピリットを斬り捨てる。スターブレード・ドラゴンの除去と引き換えに慎次が背負うこととなった代償はあまりに大きかった。


 


「滅龍帝よ、アタック!」


「ライフで受ける!」


 


ジエンド・ドラゴニスが赤紫色の雷鳴を纏って突進してくる。そのアタックによって出現した二つの赤い六角形のバリアから放たれた二発の光線が立て続けに慎次の身体を貫く。


 


「っぐ……!ただでは終わらせるものか……!ライフ減少によりバースト発動!シャドーリーフ !コストを支払い、フラッシュ効果発揮!相手スピリット1体を疲労させる!リューマン・ファルコを指定!」


 


風が吹き荒れ、リューマン・ファルコがその風を受けて疲労状態へと陥る。それによってこのターンは何も行動することが出来なくなってしまうこととなる。


 


「ターンエンド」


 


しかし、フィーネの顔に焦りはない。慎次が伏せていたバーストがシャドーリーフだというのは予測済みだったのだろう。慎次も、自分が追い込まれているという事実を感じ取り、冷や汗を掻きながら手札に視線を移す。


 


(……僕の目的は、彼女を倒してその目的を阻止すること。しかし、このバトルにはもう一つの目的がある)


 


フィーネを射殺すること。それは、未来達に危険が及んだからの判断であり、当初は彼女をエクストリームゾーンへと幽閉してそこで時間を稼ぐ算段でいたのだ。しかし、それ以外にも目的がある。きっと彼ならばこのバトルの間に事を成し遂げてくれるだろう。そこは心配するまでもない。が、慎次自身、一度始めたバトルを負ける気で行う事は絶対にあり得ない。やるならば全力、最後まで勝ちに行く。


 


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。オオヅツナナフシを召喚!」


 


【オオヅツナナフシ:緑・ブレイヴ


コスト4(軽減:緑2):「系統:殻虫」


コア1:Lv1:BP2000


シンボル:なし】


 


慎次のフィールドに出現した、身体が巨大な大筒となっているナナフシ型のブレイヴ。その召喚により、慎次は希望に繋がる一手を打つことが可能となる。


 


「オオヅツナナフシの召喚時効果!自分の手札を全て破棄することでデッキから相手の手札と同じ枚数ドローする!」


 


フィーネの手札は現在四枚。よって、慎次はデッキから四枚のカードをドローする。そして、そのカードを見て、その表情に笑みが浮かんだ。


 


「……?」


「フィーネ。僕はこの四枚の手札で、勝負に出る!」


「何……!?」


「最後の火忍ハシビロウをLv2で召喚!」


 


【火忍ハシビロウ


コア2:Lv2:BP4000


シンボル:緑】


 


「召喚時効果!分身スピリット生成!」


 


【分身スピリット(名前なし)


コア1:Lv1:BP3000


シンボル:緑】


 


「二枚目!現れろ、剣操りしシノビ!剣聖仙忍ジライヤ、召喚!」


 


【剣聖仙忍ジライヤ:緑・スピリット


コスト6(軽減:緑3):「系統:剣使・爪鳥」:【抜刀】


コア1:Lv1:BP5000


シンボル:緑】


 


バトルフィールドに出現する巨大な土煙。その中から巨大なガマガエルが出現し、その上に羽で器用に二本の刀を領邦の翼で握るフクロウが現れる。和服を纏い、黒いガマガエルの上で座禅を組むそのスピリットの口元には巻物が咥えられているのが見える。


 


「ジライヤの召喚時効果により、自分のスピリット1体の分身を発揮させる!火忍ハシビロウの分身を再び生成!」


 


【分身スピリット(名前なし)


コア1:Lv1:BP3000


シンボル:緑】


 


「さらにジライヤの召喚時効果!抜刀!手札のこのスピリットと合体可能な系統:「剣刃」を持つブレイヴをノーコストで召喚する!二枚目の日輪丸を召喚!」


 


【翡翠の小太刀 日輪丸


コア1:Lv1:BP3000


シンボル:緑】


 


「っ……積んでいたか……!」


「日本刀には真打の他にも影打もあるので」


 


地面に突き刺さる二本目の日輪丸。しかし、それがジライヤと合体するということはない。しかし、この召喚によって次のハシビロウの効果が起動する。


 


「系統:「剣刃」を持つ自分のブレイヴが召喚されたことにより、ハシビロウの効果でハシビロウの分身を発揮!」


 


【分身スピリット(名前なし)


コア1:Lv1:BP3000


シンボル:緑】


 


たった1ターンで三体も生み出される分身スピリット。更地に近い状態に変えても再び再生してくるその光景にはフィーネも思わず苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるしかない。


 


「オオヅツナナフシをジライヤに合体!」


 


【剣聖仙忍ジライヤ


コスト6+4→10


コア1→2:BP5000+2000→7000】


 


大筒となったオオヅツナナフシがジライヤの手に装着される。合体スピリットとなったジライヤ、しかし慎次はさらに賭けに出る為に最後の手札の1枚を呼び出す。


 


「そしてこれが……最後の一枚!ナイトイーグルを召喚!不足コストはハシビロウと合体スピリットより確保!」


 


【ナイトイーグル:緑・スピリット


コスト5(軽減:緑3):「系統:爪鳥」:【分身:1】


コア2:Lv1:BP4000


シンボル:緑】


 


新たな旋風が巻き起こり、そこから赤い布を首に巻いた巨大なワシが出現する。緑色の羽を生やした茶色い翼を持ち、その緑の兜とグリーブがナイトイーグルの姿を更に目立たせる。


 


「翡翠の小太刀 日輪丸をナイト・イーグルに合体!Lv2へ!」


 


【ナイトイーグル


コスト5+4→9


コア2→3:Lv1→2:BP4000→7000+3000→10000


シンボル:緑+緑】


 


ナイトイーグルの手に握られる日輪丸。そして、ナイトイーグルがLv2となったことにより、その真の力が解き放たれる。


 


「ナイトイーグル、Lv2・3効果!自分の分身スピリットすべてのLv1BPを11000として扱う!」


 


【分身スピリット(名前なし)


BP3000→11000】


 


三体のハシビロウの姿をした分身スピリット達にナイトイーグルから放たれた光が降り注ぎ、そのBPを四倍近くにまで上昇させる。


 


「これで決める!アタックステップ!ナイトイーグルでアタック!ナイトイーグル、アタック時効果!分身:1!さらに日輪丸の効果によりナイトイーグルの分身:1を発揮!Lv2・3効果により、BP11000で生成!」


 


【分身スピリット(名前なし)


コア1:Lv1:BP11000


シンボル:緑】


 


【分身スピリット(名前なし)


コア1:Lv1:BP11000


シンボル:緑】


 


ナイト・イーグルが三体へと増える。合計九体のスピリットが生み出されるというとんでもない状況を四枚の手札で作り上げた慎次の魂のアタックがフィーネへと放たれようとする。まさにその瞬間だった。フィーネの手札に眠る一枚のカードが起動したのは。


 


「フラッシュタイミング!絶甲氷盾を使用!不足コストはジーク・ヤマト・フリードより確保!」


「!?二枚目が既に手札に!?」


 


【龍の覇王ジーク・ヤマト・フリード


コア3→2:Lv2→1:BP10000→6000】


 


「このアタックはライフで受ける!」


 


ナイトイーグルが振り上げた日輪丸がフィーネへと叩き付けられる。その一撃がフィーネに大きなダメージを与えるものの、そのエネルギーの大きさに少しだけ満足げな表情を見せる。


 


「バトル終了時、アタックステップを終了する!」


「ぐ……ターンエンド……!」


 


唇を悔しそうに噛み締めながらターンエンドを宣言する。しかし、内心では今の状況を分析しながら自身の布陣の防御力を確認していた。


 


(こちらは鉄壁の防衛ラインを作り上げることに成功している。確かにジーク・ヤマト・フリードやジエンド・ドラゴニスを倒せはしない……が、これを突破することは容易ではない!)


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、ほう、これが来るか。リフレッシュステップ、メインステップ。シャムシーザーを召喚!」


 


【シャムシーザー:赤(白)・スピリット


コスト1(軽減:赤1):「系統:爬獣」


コア1:Lv1:BP2000


シンボル:赤(白)】


 


赤を基調とした六本足の身体に無数の剣が生えた獣が召喚される。自身を白のスピリットとしても扱うそのスピリットは、絶甲氷盾の軽減用として入れているのか、或いは他の意図があるのか。そう慎次が考え始めたその時だった。フィーネの首元から強い赤い光が溢れ出す。


 


「……!?」


「見せてやろう、時を超え、奇跡を信じる者たちが作り上げ、蘇らせた輝石の力を!そして、この力を行使するのに、ネフシュタンと融合し、存在自体が強いフォニックゲインを放つ私の歌は最早必要ないことを!降臨せよ、龍皇と要塞皇が融合せし究極の聖皇よ!アルティメット・ジークフリーデン、召喚!!」


「馬鹿な!?それは奏さんの!?」


 


【アルティメット・ジークフリーデン:赤白・アルティメット


コスト7(軽減:赤2・白2):「系統:新生・古竜・武装」


コア1:Lv1:BP12000


シンボル:極】


 


金色の光が空へと放たれる。その中には、アルティメット・ジークフリードに似た金色の龍が姿を見せ、その龍は金色の光を振り払い、フィールドに降り立つ。白い翼を広げ、アルティメット・ジークリードとは違い二本脚で宙に立つ。


 


「何故、これを……」


「これは天羽奏のアルティメットでは無い。強いて言うなら……紅蓮の輝石に宿っていた覇者の魂が天羽奏の持つシンボルに影響され、奇跡と言うべき現象を引き起こした事によって誕生したアルティメット。そう、言い換えれば……紅蓮の輝石のアルティメットでしかない。ならば、私がこれを持っていてもおかしくはないだろう?」


「っ……!」


「ジエンド・ドラゴニスとジーク・ヤマト・フリードをLv2へアップ!」


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア1→4:Lv1→2:BP9000→12000】


 


【龍の覇王ジーク・ヤマト・フリード


コア2→3:Lv1→2:BP6000→10000】


 


「アタックステップ!ジーク・ヤマト・フリードでナイトイーグルへと指定アタック!」


 


互いに刃を交え合う二体のスピリット。数秒に続く鍔迫り合いが行われたが、その結果は互いの身体にそれぞれの得物が突き刺さるという決着となって現れる。


 


「日輪丸を分離!」


 


【翡翠の小太刀 日輪丸


コア3:Lv1:BP3000


シンボル:緑】


 


「滅龍帝ジエンド・ドラゴニスの効果により、破壊された自分のスピリットのコアすべてはリザーブではなくこのスピリットに置かれる!ジーク・ヤマト・フリードのコアを移動!」


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア4→7:Lv2→3:BP12000→16000】


 


「そしてナイトイーグルが消えたことで分身スピリット達のBPは元に戻る!」


 


【分身スピリット


BP11000→3000】


 


「しま……」


「アルティメット・ジークフリーデンでアタック!Uトリガー、ロックオン!」


 


フィーネの手から放たれた鞭が慎次のデッキをトラッシュへと落とす。落とされたカードは、


 


「光速三段突……コスト6……!」


「ヒット。トラッシュに置いたカードのコスト1につき、BP10000以下の相手スピリット1体を破壊する!分身共とゲニン・スズメを破壊!」


 


アルティメット・ジークフリーデンの口が開かれ、そこから灼熱のブレスが放たれる。その一撃は慎次のフィールドを焼き尽くし、前のターンで作り出された全ての分身スピリットを破壊し、さらにゲニン・スズメまでも破壊される。


 


「く……ですが、ゲニン・スズメの破壊時効果!相手は相手のスピリット2体を選び、疲労させる!」


「シャムシーザーとリューマン・ファルコを指定」


 


ダブルシンボルのジエンド・ドラゴニスを立たせ、残りの二体を疲労させる。そしてアルティメット・ジークフリーデンのアタックが慎次へと襲い掛かろうとする。


 


「ライフで受ける!」


 


アルティメット・ジークフリーデンの振り上げた拳が容赦なく慎次へと叩き付けられる。他とは一線を超えているその衝撃に、思わず慎次も言葉が出てこなくなるほどの痛みに襲われる。


 


「……!」


「これで終わりだ!やれ、ジエンド・ドラゴニス!」


「合体スピリットでブロック!」


 


大筒を構えたジライヤがそこから爆弾を放つ。それはジエンド・ドラゴニスに命中してその全身を爆煙が覆うが、そこから現れたジエンド・ドラゴニスは無傷のままとなっている。さらに、ジエンド・ドラゴニスは自身の力を存分に解き放つこととなる。


 


「ジエンド・ドラゴニス、Lv3・4効果!ターンに3回まで、自分のスピリット1体を破壊することで回復する!シャムシーザーを破壊!さらに破壊されたシャムシーザーのコアはジエンド・ドラゴニスへ!」


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア7→8:Lv3→4:BP16000→20000】


 


ジエンド・ドラゴニスがスピリットの命を奪い、回復する。そしてジライヤの喉笛に噛みつくと、その身体を一撃で破壊してみせる。


 


【オオヅツナナフシ


コア1:Lv1:BP2000


シンボル:なし】


 


「二度目のアタック!リューマン・ファルコを破壊し回復!」


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア8→9】


 


「火忍ハシビロウでブロック!」


 


ハシビロウでブロックを宣言する。しかし、ハシビロウが何か行動を起こす前にジエンド・ドラゴニスはその足でハシビロウを踏み潰して破壊する。そして、そのまま慎次の前へと一歩、また一歩と近付いていく。


 


「……っ」


「くく、先程よりも良い成果だった。その点で言えば大義であったとも言える。が……ここまでだ。滅せよ、滅龍帝!!」


「ライフで……受ける……!!」


 


ジエンド・ドラゴニスが一旦距離を取る。そして、速度を付けた突進を慎次へと叩きこみ、その最後のライフを奪い取ったのだった。


 


「うわああああああああ!!」

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