羊
焼肉オンパレードいっくよー!
牛!
豚!
鶏!
羊!
そう、ラム肉!
美味いよねー、ラム肉。
ちょっと臭みがあるけど、それが癖になるというかなんというか。
じゅるる。
この世界にもラム肉はある。羊だと思って侮るなかれ。なんと超がつく程の高級品。
なぜかというと、こっちの世界の羊はボスクラスモンスターだから。
日本の羊って草食で餌動物だよね?こっちの羊はそんなことない。
魔王がいなくなった今では、バリバリ肉食でアニマルキングダムの頂点に立ってます。
羊毛から出る静電気に魔力を流して
電撃耐性のスキルも電撃無効の防具も無意味。
こいつら、
後で調べてみたら、羊特融の
もう本当に厄介な奴らなんだよ。野生の羊に遭遇したら、逃げの一手っすね。
こいつらの狩りの仕方からして異常だもの。
まず、
突進してから空高く吹っ飛ばし。
落下地点待機で頭の角でグサっとな。
怖い怖い。
羊怖い。
空飛ぶドラゴンとかにも不意打ちで
怖い怖い。
羊超怖い。
仲間にしようにも、羊のテイムの成功率はかなり低い。上級モンスターテイマーでも一割くらいかな?
しかもテイムしても、なかなか懐いてくれない。
まあ、モンスターマスターの俺っちにかかれば、「絶対テイム成功」っていうぶっ壊れスキルのおかげで簡単にテイムできるけどね。
え、反則だって?
知らないよ、そんなもん。
文句言うようなら魔王倒してからにしてちょ。
さてさて今日は、そんな絶対にお勧めしない羊を紹介しよう。
——— 羊舎 ———
要りません。
だって何使ったって壊されちゃうもの。
牛並みの突進力があるからアダマンタイト=ミスリル合金が必要になるんだけど、化学反応で壊されちゃうんだもん。
どう言うことかって?
あの合金はブルーミスリルと合わせた合金だってこと、前に説明したよね?
合金になってもミスリルって魔力を吸うんだ。
そのブルーミスリルと共鳴しやすい、つまり魔力を吸わせるのに適してるのが、雷属性魔法。
だから
そんなわけだから、我が牧舎では羊は放置!
そう、放任主義!
え、無責任だって?
だって死にたくないもの。
マスタードラゴン君でさえほら、俺っちの後ろに隠れてる。
ドラゴンにさえ恐れられてる羊って、怖いねぇ。
——— 羊毛 ———
羊毛は超高級品。
手に入る機会がめっちゃ少ないからね、需要と供給の関係でどうしても高価になる。
普通は死んでる個体の皮ごと履いじゃう。
そうやって採れた皮付きの羊毛を、クレリックさんに頼んで解呪、解毒してもらって、レンジャーさんたちに綺麗にしてもらって、出荷するのだ。
錬金術師さんたちに頼んであらかじめ織物とかに加工してからでも良いし、そのまんま皮付きでも良い。
皮付きで出荷する場合は皮の裏側を塩漬けして防腐加工するんだけどね。その上で腐敗無効をかけるから、この工程はレンジャーさんたちに丸投げ。
と言うわけで、そもそも羊の死骸が見つからないし、解呪解毒と加工の費用も嵩むから、超が付くほどの高級品になるってわけ。
え、我が牧場の場合?
簡単だよ。エビルバク君の催眠で眠らせてから、ちょちょいっとな。
流石に皮を剥ぐと起きて攻撃されちゃうから、毛を刈るだけね。
羊毛の解呪解毒はホーリードラゴンさんの
クオリティ検査にも引っかかんないし、大丈夫大丈夫。
腐敗しようにも
腐るときにはもう遅い。
王国外にしか出荷してないからね、なかなか元も辿れない。
本当に出荷元を辿りたければ
え、違法だって?
魔王倒して世界救ったんだから、これくらい良いの良いの。
——— 肉 ———
羊の肉は珍味である!
供給が少ないっていう理由だけで高級品扱いされてるけど、実は牛肉ほど美味しくはないのだ。
脂身があまり無いし、筋肉ムキムキで固いし。
でも発達途上の若い羊の筋肉はそれなりに柔らかくて美味い。
薄く切った肉を軽く炙って、ごま油と塩をチョンとつけて。
あれだ、牛タンだ。
牛タンと同じように食べるのが一番。
自称グルメのバカ貴族とかは、牛肉みたいに厚切りヒツージステーキが最高!とか言ってるけど、あんな臭い肉は厚切りにしたらダメダメ。臭みが強すぎて食べれたもんじゃない。
でもまぁ、苦労してまで食べたいとは思わないね。
美味しいけど、所詮そこまで。
飼育して生産しようとしたら命がいくつあっても足りない。割に合わない。羊毛用としてもマジで割に合わない。
え、じゃあなんでウチに羊がいるのかって?
……そ、そりゃぁ旦那、俺っちほどのモンスターマスターになったら羊ぐらい、訳ないさ。
決して、敷地内に迷い込んだ奴を駆除しきれなくて、そのまま居座られちゃったってことはないさ。
断固否定しようじゃないか。
ほ、ほら、言ってるそばからあそこに羊がっ。
あれしきのモンスター、俺様にかかれば赤子の手をひねる様なものだということを実践してあげようじゃないか。
マ、マスタードラゴン君、ゴー!
あ!
逃げやがった……。
ゴホン。
……ふっ。今日のところは見逃してやるとするか。
うぉあっ、こっち来た!
——— 終わりに ———
ギャアアアァァァァァアアァァァ!!!
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