転生して軍人になった少女はチートな人生を謳歌したい

@fuuuka0000

プロローグ


 そこはとある世界の戦場だった。


 といっても、彼ら――いや、彼女らが向き合っているのは人相手ではない。魔物という、魔法を使う動物に対してだ。


 十数人の軍人が緊迫した様子で、魔物の群れを睨みつけている。どうやら魔物は数百匹いるらしい。


 そして、そのときはやってきた。



『前進』



 脳に響いてきたのは、とても高い、可愛らしい女の子の、たった一言。

 

 その言葉を受けて、軍人は皆魔物に飛びかかっていく。

 ある者は、身の丈ほどの長さの体大剣を振り回す。

 ある者は、槍で数匹の魔物を串刺しにする。

 ある者は、銃で次々と魔物を撃ち抜いていく。


 それがしばらく続いた頃。


『とまれ』


 再び短く響く、少女の声。

 それは下位の者に対する静止命令だった。


『下がれ』


 誰も、そのことに対して文句を言わない。

 なぜなら、その場で確実に生き残るには、彼女の言葉に従うことが一番なのだから。

 彼らは、その場の絶対強者がわかっている。だから、逆らわない。そして、逆らえない。


 退却命令を受けて、軍人は皆自陣へ下がる。

 それと反対に、自陣から一人の少女が出てきた。



 もちろん誰も止めやしない。

 

 絶対強者とは、彼女のことなのだから。






 魔物と少女との戦いは一瞬だった。


 戦いとも呼べないようなものだった。



 そこには、数百匹の生きていた魔物が、氷の彫像として鎮座していた。






 少女はそれを見たあと、興味がなくなったように目をそらし、再び軍人たちに指示を出し始めた。



 その世界最強の少女の名前は、ラヴィーネ・ラモール。

 




 これは、一人の少女が軍人として闘う物語。

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