嫁ぎ先でのほうが幸せになれますわ⁈

ぷりん

第1話 嫁入り

 わたくしは、ソニー・アディール。

 アディール家の次女ですわ。

 わたくしは、長女に劣る子。

 そういう認識で育てられました。


 ですけれど、そんなの全くと言っていいほど気にしていませんでしたの。

 本当ですわ、強がりではありませんのよ。

 だって、わたくしには王子様がいるのですから。


 昔一度会っただけで、名前も知りませんけれど。

 もう一度会いたいですわ…

 ですが、いつまでもあの方を想っていてはいけないですわ。


 今日はわたくしの縁談が結ばれる日なのですから。

 とはいっても、一度も会っていないのですが。

 まぁ、押しつけですわよ。

 わたくしを体良く屋敷から追い出すための。


 馬車に揺られて、縁談相手の方の屋敷に着くと父様に言われました。


「良いか?くれぐれも粗相をするんじゃないぞ。お前は静かにしておけ!」

「はい…」


 わたくし達はお相手の屋敷に入って行きました。

 お相手はライト・ノーツという方。

 確か、伯爵家の方。


 お噂では、とても冷たい方で誰にも靡かない方だとお聞きしました。

 そのせいで、どんな方にも婚約を断られてきたのだと。


 それなのに今回私わたくしと婚約されることになった。

 本当に申し訳ないですわ。

 きっと、父様の話に逆らえなかったのでしょうから。

 わたくしは一応公爵令嬢ですからね。


 そんな肩書必要ないのですけれどね。

 生まれ持ったものだから仕方ないのです。


「ノーツ伯爵領へようこそ。アディール公爵様。この度は縁談のお話ありがとうございます」


 ノーツ伯爵がお出迎えをしてくださいました。


「あぁ、よろしく。私はリオン・アディールだ。こっちが、次女の…」

「初めまして、ノーツ様。わたくしはソニー・アディールと申します」


 ドレスを少し持ち上げ、お辞儀をする。

 そして、少し微笑んだ。


「おぉ、お美しい…こちらのお嬢様を我が息子の嫁にというのなら、願ったり叶ったりです。さっ、こちらに息子を待たせておりますのでどうぞ」


 案内をしていただく。

 途中で、父様にこづかれた。


「お前にしては、中々の挨拶だった。その調子でいくのだぞ」

「ありがとうございます…」


 小声でそう言う。


「こちらです。どうぞ」


 扉を開けられる。

 そこには、綺麗な金髪の男性がいた。

 目は青色で惹き込まれる。


「おい、ソニー」


 父様に小声で言われた。

 ボーッとしていましたわ…


わたくし、ソニー・アディールです。どうぞよろしくお願いします」

「私はライト・ノーツだ」


 確かに少し冷静そうな方ですわね。

 ですが、そこまで怖そうではないですわ。


「では、あとはそちらにお任せする」

「えっ?そんな…よろしいのですか?」

「うむ。ソニーのことは頼んだぞ」


 父様は…わたくしの顔などもう見たくないのでしょうね。

 そんなあからさまな態度をとらなくても良いでしょうに。

 別に良いのですが。

 わたくしは最後に微笑んで言います。


「お父様、どうぞお元気で」


 父様は苦虫を潰したような顔をされ、去って行かれましたわ。

 もう会うこともないでしょうし、気にしませんけれども。


 それより、わたくしは今からしなければならないことがあるのですわ。


 目の前におられるこの方のことをよく知っていくこと。

 知りもしないのに、噂通りの方だと決めつけるのはよくないですから。


 それに、この方がどんな方でも、わたくしは気にしませんわ。

 だって、わたくしは見たものしか信じないのですから!

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