真夏の告白

holin

真夏の告白



 世間はすっかり夏休みムードが強くなり、暑い日差しと台風に悩まされる時期になった頃。


「久しぶり、


 私の幼馴染、がやって来た。


「乃愛! 久しぶり! 元気そうでよかった!」


「3年ぶり、かな? 全然会いに来れなくてごめんね、未来」


「ううん、大丈夫。またこうして、乃愛と会えて嬉しいよ」


 そういえば、乃愛と最後に会ったのも、今日みたいに快晴の、暑い日だっけ。


「私ね、今日は未来に話があって来たんだ」


 そこで乃愛は言葉を止め、自分を落ち着かせるかのように深呼吸をした。改まった表情で、乃愛はこちらに視線を向ける。決意を宿した、眩しい眼差しだった。


「私ね、好きな人ができたの」


 ……ああ、なるほど。わざわざ私に言いに来たっていうことは、そういうことなのね。


「でね、その相手がよしゆきくんなの」


 私は今、どういう表情を浮かべているのだろう。


「明日、義之くんと行く花火大会で、私は彼に告白するつもりなの」


「……そっか」


「……自己満足だっていうのは分かってる。でも、未来に言わないまま、彼に想いを伝えることはできない。私……卑怯だよね。こんな抜け駆けみたいにさ。ごめん、ごめんね……」


「泣かないでよ。卑怯だなんて思ってないからさ。親友の大勝負だよ? 応援するに決まってるじゃん」


 乃愛は昔から、真っすぐな子だった。ズルとか嘘とか、そういったことに厳しくて。でも、とても優しい子で……泣き虫で。


「ごめんね、泣くつもりじゃなかったんだけど……」


「変わってないね。乃愛」


「また、来るね、未来」


 乃愛は涙を拭い、そう言った。


「うん、いつでも来てね、乃愛」


 乃愛は振り返ることなく、去っていった。




「……あーあ、私きっと酷い顔だ。乃愛に見られなくてよかったかも」


 私は空を見上げ、太陽に手をかざした。


「眩しいなぁ……」


 かざした手は、ほとんど意味を持たなくて。


「……やっぱズルいよ、乃愛。でも、やるからには、成功してね。そしたら、また会いに来てね。私はずっと、ここにいるから」


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真夏の告白 holin @holin

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