備忘録
虚
第1話 2023 08/11
不器用だから、上手な生き方がわかりませんでした。
不器用だから、上手な死に方がわかりませんでした。
自分の過去を思い出すと、ただただ死にたくなりました。
今の自分のことを考えると、前が見えなくなりました。
未来のことを考えると、すぐにでも消えたくなりました。
初めての恋人に、ただ依存しました。
初めての恋人に、ただ依存されました。
裏切られました。自分が悪いと信じ込んで、それでも耐えられなくて別れました。
不器用だから、空いた隙間の埋め方がわかりませんでした。
たくさん薬を飲んで死のうと思いました。
怖くて、致死量まで飲むことができませんでした。
ただおかしくなって、迷惑をかけて、残ったのは自己嫌悪と希死念慮だけでした。
昔から人に馴染めませんでした。
きっと人と違う何かがあったんだと思います。でも、もしそうじゃなかったら。
怖くて病院にもいけませんでした。
命を大切には思えないけど、死の恐怖をが大きすぎて、捨てることもできませんでした。
初めて死のうとした小学4年生のころ、死んだ後のことを想像して手に持っていた包丁を落としました。
次に死のうとした中学3年生のころ、生きたくても生きられない人のことを考えて罪悪感でただ泣きました。
最後に死のうとした今年は、首に縄をかけて体重をかけた時、薬を飲んだ時、包丁を首に突きつけた時、手首に刃物を立てようとした時、毎回愛していた人の顔が頭に写りました。
人を本心で嫌うことができません。
人を本心で好くこともできなくなりました。
人を正しく信じることができなくなりました。
でも、全てを疑うこともできません。
上手く人に言葉を伝えられません。
たった一つの本心を、たくさんの嘘に包んで吐き出さないと、思いが伝えられません。
何が嘘で、何が本心か、区別することができなくなってきました。
予定の通りに物事ができません。
要領が悪くて、頭が悪くて、心も悪くて、やることも悪くなってしまいました。
でも、悪い人にも馴染めません。普通の人にも馴染めません。
距離を測りすぎて、正しい距離が理解できなくなりました。
自分を俯瞰してみると、どうしても体が泣き出します。
悪いところを治すこともできないんだなと自覚して、空虚な自分だけが残ります。
消し去りたいけどそれも怖くて、縋るものもないから。
今、ここに自分を残そうかなと、思いました。
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