リスナーと行くダンジョン探索

@isse2007

プロローグ

「はっ、よっ、雑魚ばっかのくせに嫌な沸き方しやがるな!」


洞窟の中に甲高い戦闘音が響き渡る


多数のモンスターに囲まれる中、双剣を持った男が絶え間なく動き回る。


まだ幼さの残るその横顔は、高校生ほどの年齢に見えた。


〈この階層は全体的にオーク系統が多い感じか〉


〈時々紛れるウルフ型がうっとうしいな〉


〈しっかりしろよー!まだボス部屋にすらついてないんだぞー?〉


「リスナーうっさい!んなこと分かっとるわ!」


モンスター以外は戦闘する男が一人だけのはずだが、まるで誰かとしゃべるように言葉を紡いでいる


よくよく観察すると、男の近くには浮遊型のドローンが飛んでいるのが見えた


『ぎゃぎゃあああああああ!!!』


戦闘が続く洞窟の中、モンスター群の後ろから威嚇するような雄たけびが上がる。


見ると、集団の奥からひと際デカいオークが男に向かってきていた。


「へー、ただのオークじゃない。初めて見るタイプだな」


〈最近見つかったオークの亜種ね、戦闘力は普通のオークより圧倒的に強い〉


〈ありゃあ攻撃力はあるが、小回りがきかねえ。てめえのスピードならどうとでもなるだろ〉


〈足場と岩壁にだけ注意ネ、このダンジョンは一部モロイところがあるアル〉


オークの亜種と対峙する形となった男は、目を輝かせながら、その口を釣り上げた。


「元はオークとはいえ完全に初見だな、まあいつも通りにおっぱじめるか」


「〈〈〈さあ、攻略をはじめよう〉〉〉」


男はオークの群れに飛び込んでいった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る