ある冬の出来事
雪村団子
ある冬至の日に
僕は普段日記を書くような人間じゃないが、
もう二度と今日のような目に遭わないように自分を戒めるため、
文字にして残そうと思う。
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今日は冬至、1年で最も昼の時間が短い日だ。
僕の両親は少し過保護な所があって、僕が夜になってから帰ってくると物凄く怒るんだ。
何でも暗い道を通って危ない目にでも会ったら心配なんだとか。
もう子供じゃないんだから危ない目に遭っても何とか出来ると思うんだけど、
父さんも母さんも反対してるから今までは渋々従ってきたんだ。
でも、今日は違った。
いつものように帰ろうとした僕を担任の先生が呼び止めてきたんだ。
「おう大雅、帰ろうとしてるところ悪いんだが、少し仕事を頼まれてくれないか。」
「あー、はい、なんですか?」
「この机の上に乗ってるプリント、職員室の私の上に運んでおいてくれ。」
「分かりました。それじゃ先生、また明日。」
「おう。」
もうすでに空は若干赤みがかっていてすぐにでも帰りたかったけど、先生のお願いはどうにも断りずらくてつい受け入れてしまったんだ。
途中でプリントを落としてしまったりして、結局先生の机の上にプリントを運びきった頃には、職員室の窓からは沈みゆく夕日が全く見えなくなって、地平線の下からくる太陽に光が赤く空を照らしていた。
焦って僕は学校を飛び出したんだけど、学校の敷地を出るころにはもう完全に日は沈んでて、辺りは真っ暗になってしまった。
僕は母さんの帰宅が遅れることをメッセージで送った後、歩いて帰ることになったんだけど、学校から僕の家まで最短で帰るにはほとんど街灯のない真っ暗な道を歩く必要があった。
この時の僕は、家に帰った後母さんに怒られることしか頭になくて、辺りに気を配らずぼーっと帰ってしまっていた。
それが良くなかったんだろう。
僕は何かに足を取られ転んだ。
気が付くと僕は道のど真ん中に寝転がっていた。
起き上がろうとしてもどうにもうまく起き上がれない、
よく地面を確認してみると、凍った水たまりだった。
水たまりからどいて、何とか立ち上がった後
時計を確認してみるともうすでに8時を回っていた。
スマホを開くと、母さんの電話からの着信も10件を超えていて、
心臓が止まるかと思った。
僕はすぐに折り返して、母さんに電話で怒られながら帰る羽目にあってしまったんだ。
勿論家に帰ってからも物凄く怒られたし、遅れた理由を言ったら泣きながらさらに怒鳴ってきた。
何でも道の真ん中で倒れてて車に轢かれなかったのが奇跡だとか、
よくよく考えたら、あの真っ暗な道で倒れてる僕は、車からじゃまず見えなかっただろうし、今回の件で母さんたちが暗くなる前に帰ってきなさいと言っている理由がよく分かった。
ある冬の出来事 雪村団子 @alucica0nigiri
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