第28話 告知配信(2)

「以上。質問ある奴いるか?」


 佑の発言にコメントが一気に流れる。


”ひでおとはどんな関係なの?”


「小学校からの幼馴染み。ひでおがヒーロー活動を始めたのは最近だけど、俺にとってひでおは出会った頃からずっとヒーローだぜ」


”仲良すぎ”

”息ピッタリ”

”さっきのやり取りだけで仲良しだってわかる”

”昨日今日のつき合いじゃあれは無理”


”ひでおとつき合ってる?”


「んなわけねーだろ。俺は女の子大好きだぜ」


”堂々と言い切ったw”

”どストレートww”

”すがすがしい”


”彼女います?”


「今はいない。でも、ひでおと違って絶賛彼女募集中だぜ」


”立候補します!”

”私も”

”抱いて”

”男だけど抱かれたい”


「助けるマンは昔からモテモテだったよね」

「おう」


”わかる”

”絶対イケメン”


「自信があるヤツは連絡くれ――って、連絡手段が配信コメントくらいしかないか。これはそのうちなんとかするから、少し待ってくれ」


”好きな女の子のタイプは?”


「ないな。好きになった子が俺のタイプなんじゃね?」


”ひでおの秘密を教えて”


「いいぜ。小学校の修学旅行のとき――」

「ストップストップ。その話は言わないで」

「つーことで残念ながら教えられないな」


”気になる”

”続きプリーズ”

”なんだろ?”


「ひでおは中学入るまで『緑』と『縁』が同じ漢字だと思ってたな」

「それも言わないでよ」

「これくらいいいだろ? ファンサービスだよ」

「うん、まあ。そう言われると……」


”ひでおかわいい”

”俺もそうだった”

”紛らわしいよな”


「ひでおの話はこれくらいにしてさ、俺への質問頼む」


”今日何食べた?”


「クア○イナのアボカドチーズバーガー」


”好きな本を教えて”


「『Comprehensive Theory of Dungeon Gadgets』だな。困ったときにこれ見れば、大抵のことは解決する。後、『Review of Dungeon Gadgets Studies』と『Journal of Dungeon Gadgets Theory』は毎号読んでるな」


”ガチだ”

”まじで研究者じゃん”

”高校生レベルじゃねえw”

”※高校生です”


「本気でガジェット開発者になるなら必読だぞ。まあ、最初は『Introduction to Dungeon Gadgets』から始めるのがオススメ」


”英語のテキストじゃなきゃダメ?”


「趣味なら良いけど、プロを目指すなら英語必須。それと学部レベルの数学が出来ないと、そもそも話にならない」


”どんな数学やればいいの? おすすめのテキストは?”


「『Introduction to Dungeon Gadgets』の文献リスト見とけ」


”英語と数学とか絶対無理”

”ちょっと憧れてたけど、止めて無難に生きるわ”

”探索者になるより遥かにムズい”


”遊びに行くならどこがいい?”


「誰と行くかによるな。一人なら海でぼーっと波を見てる。ひでおとならカラオケ」


”デートなら?”


「相手が行きたい場所」


”ガジェットってそんなに簡単に作れるんです?”


「普通は無理。これでも俺は一応はプロだからな」


”ガジェット作りを始めたきっかけや理由は?”


「ひでおは絶対にヒーロー配信者になると思ってたからな。コイツの隣にいたいとおもったから、小学生の頃から始めた」


”プロってことはどっかに雇われてる?”


「そりゃそうだろ。さすがに個人でガジェット開発は無理」


”どこで働いてるの?”


「ノーコメントで。ひでおにも教えてないからな」

「そうなんだよ。いつ訊いても教えてくれないんだよね」

「ヒーローの相方も秘密があった方が良いだろ?」

「まあ、そうだけど」


”助けるマンはガジェット開発だけ? 他になにかひでおのサポートしてる?”


「俺が裏方業務全般やってる。ひでおには出来ないし、ヒーロー活動に専念してもらいたいからな。ただ経理とか外注できるヤツは全部外注」


”ひでおからお金もらってます?”


「友人としてメシ奢ってもらったりとかそれくらい。それ以外は今まで一円ももらってないし、これからも貰うつもりはないぞ。さっき言ったけど、プロだから自分で稼いでるからな」

「助けるマンの方が奢ってくれること多いから、むしろ僕の方が貰ってる」


”助けるマンがいて本当に良かったな”

”どんな徳を積んだら、こんな幼馴染がいる人生を歩めるんだろうか”

”朝起こしに来てくれるラブコメ幼馴染みより、こっちの方が幸せ”

”転校ばっかりで幼馴染みがいないマンが通ります”


”ガジェット開発者だと凄い稼いでそう。年収いくら?”


「多分、お前らが想像してるより桁が大きいぜ。ただ、ほとんどは仕事以外の趣味のガジェット作りにぶっ込んでる。ヒーロースーツとかな。だから、金目当てで寄ってきても無駄だぞ」


”完全に別の世界の人”

”金がなくてもモテモテだろ”

”助けるマンもチャンネル持って配信してほしい”

”絶対バズる”


「俺は配信する気ねえぞ」


”今、なに作ってるの?”


「なんで教えてもらえると思った? ネタバレするわけねえだろ」


”今後も配信に出る予定?”


「おう。これからも気が向いたら登場してガジェット紹介なんかしてくぜ」


”ここで見られるならいいか”

”毎回出てほしい”


「そろそろ、終わりにするか。ひでお、シメをヨロシク」

「皆様、ご視聴ありがとうございました。次回はダンジョン配信の予定です。是非、観に来てください」

「またな」


 配信が終わった。

 ほとんど佑メインだったな。


「佑、いつもより口が悪かったよね」

「ああ、キャラ付けだよ、キャラ付け」

「あれだと調子に乗ってるとか叩かれないかな?」

「大丈夫大丈夫。俺とのギャップでひでおがより好印象になる」

「そこまで考えてくれてたんだ」

「俺は別に叩かれても平気だしな」

「佑らしいな」

「それに一線を越えたアンチはしっかり潰すから。だから、問題なしよ」


 そう言って、佑は平気そうに笑う。


「今日はどうするの。帰る? 泊まっていく?」

「久々に泊まってくわ。今後のことも話したいしな」


 というわけで今夜は佑と一緒に過ごすことになった。






   ◇◆◇◆◇◆◇


【後書き】


次回――『』


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