朝1番に福と富と寿を起こして

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そしてご飯を食べ終わり・・・

「今日も泊まってっていい？」

今日もまたそんなことを言い出す。

「嫌ですよ・・・でも、何を言っても泊まるのは分かってるのでもういいですよ。

そのやり取りをするのも面倒なので。」

私の返事に先生は嬉しそうな顔で笑い、高級そうなお財布から500円玉を取り出しカウンターに置いた。

私はその500円玉を手に取り自然と口を開きそうになり、慌てて口を閉じた。

500円玉を右手で握り締めながら先生に笑い掛ける。

「これでお菓子買ってくる！！

缶ビールがあるから一緒に飲もう！！」

「お前まだガキだろ！！

一丁前に缶ビールなんて飲みやがって！！

俺の部屋に荷物取りに行くからそのついでにコンビニな！！」

「あっちの高いお店の方がいい！！」

「500円じゃ足りねーくらいまた買うつもりだろ！？

金の掛かる女だな！！」

「先生を泊めると光熱費だって掛かるし、どうせ明日の朝ご飯も食べさせろって叩き起こしてくるんでしょ！？

私7時半に起きれば間に合うのに5時半とかに起こしてくるじゃん！！」

「早寝早起きをするんだよ！！

それで朝飯をしっかり食う！！

朝1番が大好きなんだよ、俺は！！！」

先生がうるさいくらいに大騒ぎをしながら引き戸をスムーズに開けた。

「パワーがつくからな、俺にも。

朝飯をしっかり食べれば俺にもパワーがつく。」

「従妹2人には“普通”じゃない力があるのに先生にはなくて残念だよね？」

私の高校からの友達のカヤ。

カヤとカヤのお姉ちゃんは神社の娘で、“普通”ではない力がある。

その2人の従兄である先生にはそういった力はない。

引き戸をスムーズに閉めてくれた先生の隣に立ち、私は鍵を閉めていく。

鍵を閉め終わり先生を見上げると、先生は嬉しそうな顔で上を見上げていた。

「朝1番で俺にもパワーがくつ。

だからあの2人みたいな力がなかったとしても俺は大丈夫。」

「そんなこと言って、自分が立ち上げた会計事務所にカヤが入って死ぬほど嬉しいでしょ？」

「それはそうだろ！！

あいつがいれば不安要素が皆無になる！！」

「めっっちゃ頼ってるじゃん！！！」

「頼れるもんには頼るに決まってるだろ！！」

そんないつものやり取りをしながら先生と夜の街へとまた歩いていった。