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「これこれ!!そう、これ!!!!」
私が作った簡単なご飯を先生がうるさいくらい頷きながら食べている。
あまりにも簡単なご飯なのでそれには苦笑いで。
一切手の込んでいない料理。
茹でたり焼いたりした物にほんの少しだけ何かを味付けしただけ。
「お前マジで料理上手だよ!!
良い嫁さんになれる奴だよ、すげーじゃん!!」
「こんな料理で大喜びするのなんて先生くらいだからね?」
「こういう飯なら老人になってもずっと食っていけるし、老人になってもずっと作っていけるだろ!!」
カウンター席に座る先生が大満足という顔で笑い、カウンター越しに立つ私のことを見詰めてきた。
「本物の老人になっても千寿子(ちずこ)の飯が食いたいんだけど。」
そんなことを言われて・・・。
木造のボロボロの建物の中で、先生からそんなことを言われて・・・。
私は先生から少しだけ視線を逸らした。
そしたらそこには古いポスターが。
変色した青空の下、水着の可愛い顔の女の人が生ビールを片手に笑っている。
その女の人も変色をしているけれど、それでも可愛い顔をしていた。
その女の人を眺めながら私は口を開く。
「先生が本物の老人になる頃には私はオバサンかな。」
「お前も老人だろ!!
俺と9歳しか違わねーんだから!!」
9歳も違う先生が大笑いしながら私が作ったご飯をまた食べ始めていた。
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