第二話「出会い」
Side 緋田 キンジ
遺体の搬送しつつ使える武器は鹵獲していく。
この際だから何処かに集積所つくって隠し持った方が良いかもしれない。
リオとパンサー……パンサーと言うのは偽名だろう。
そしてリオと呼ばれた女の子らしい子も黄色い作業現場などで使いそうなパワードスーツを身につけて使えそうな物を回収していく。
死体を見ても気にした風な様子を見せず、装備などを剥ぎ取っていった。
パワードスーツも死体入りだろうがお構いなしでとても逞しく感じた。
増援部隊も駆けつけたがその増援部隊の人間も呆気にとられながらも少女達を眺めていた。
「で? 君達はどうしてここに?」
俺が代表してリオと言う少女に尋ねた。
リオはヘルメットを被り直して周囲を警戒しながら
『ここで何が起きているのか知りたいの』
と言ってこう続けた。
何でも最近この土地――グレイヴフィールドがとても騒がしいらしく調査依頼が入っているらしい。
グレイヴフィールドは余程の命知らずでないと近寄らないような場所であるが資源や土地、交通の利便さなどの理由から勢力争いが活発化しているようだ。
『私は話したよ。次はアナタ達の番』
「あーそれなんだが」
正直信じてくれるかどうかダメ元で話してみる事にした。
『馬鹿にしているの?』
「まあそれが普通の反応だよな……で、君達これからどうする?」
『その話が本当ならゲートを見てみたい』
「とりあえず上に掛け合ってみるよ――それと助けてくれてありがとうな」
『うん』
☆
Side リオ
『リオ? あの人達どう思う?』
一通り荷物をトレーラーに詰め込んだパメラが通信を入れてきた。
彼達――ジエイタイの事を言っているのだろう。
『言ってる事はデタラメっぽいけど嘘をついている感じはしないんだよね~それに来ている服も綺麗だし~身嗜みあんだけ整っている集団なんて初めてみたよ』
パンサーもほぼ私と同じ事を感じたようだ。
嘘をつくにしてはもっとマシな嘘があるだろう。
問題は身嗜みや武装だ。
とても綺麗だ。
一人二人ならともかく、全員がそんな武装集団なんていないだろう。
何か変な思想に様子もない。
『で? どうする? この分だとヴァイパーズの連中報復に来ると思うんだけど?』
パンサーが一番の問題を口にした。
ヴァイパーズ。
この辺り一帯で恐れられる傭兵集団だ。
傭兵集団とは名ばかりで実際は軍隊や傭兵気取りの野盗集団である。
確実に報復されるだろう。
身嗜みはともかく武装も貧弱そうで確実に殺される。
だから私は手を差し伸べる事にした。
『ごめんパメラ』
『わかってるよ、リオ。アナタは何時もそうだもんね』
パメラはまたかと言った感じで返してくれた。
『私はそっちの方が面白いけどね。この人達に興味あるし』
パンサーは何時もの軽い調子だった。
彼女は考え無しのように思えるがただの考え無しの女がパワーローダーを身に纏って今日まで生き延びられる筈がない。何かしらの考えがあるのだろう。
私は基地まで同行する事を伝えた。
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