OL騒動紀
淡雪 隆
Ⅰ
私には、今とても気になる人が居ます。その人は私が今年就職をした、池袋駅の東口に本社ビルのあるコーラル化粧品会社の営業部の主任です。
その人の姿を見かけるだけで、胸が一杯になります。とても好きです。愛しています。あの笑い顔、爽やかな声、優しい心遣い、しなやかな手足、筋肉がパンと張った胸、頭の回転の速さ、スポーツマンで何をやらせてもそつなくこなす、天は人に二物を与えず何て嘘、あの人は二物も三物も持っています。夜もあの人の事を考えると、ため息が出て眠れません。
そんなに好きならば、告白したらってみんな思いますよね、でも私には出来ないのです。多くの人は私と同じ考えではないでしょうか。やはりきっぱりと断られるのが怖いのです。あんな素敵な人は私には不釣り合いと自分でも思います。特に私は。そうなんです、私は十人中十人が吹き出すほどの、
私の両親さえ、もう私の結婚なんて期待していません。見合も五回ほどしましたが、直ぐに断りの返事を貰いました。自分でも諦めていますがそこはやはり女心ですね、憧れの人が出来てしまうんです。私はどうしてこんなに醜女なんでしょう。神様の悪戯だと思うしかありません。両親は別に普通の顔をしているのに遺伝の不整合だったのかな。こんな時、整形手術を考えるよね。でも私の場合はプチ整形ではどうにもならない。顔の全てを変える必要があるわ。こんな私でも自殺は絶対に考えない。???矛盾してるかな? 自殺はいつでもできるし、今するタイミングでもないわね。
ただ、私の同期の三人は許せない、
それはそうと、一年先輩の会社のアイドルとして
「
と私を誘ってきた。この人まで私を引き立たせ役にするのかしら、等と勘繰ったが、私も彼女に興味があったので、
「はい、判りました」
と答えると、白鳥さんはきびすを返して、自分の席に戻って行った。スタイルも抜群ねーと、感心していると。どうして私を誘ったのだろうという疑問が沸いてきた。私のような醜女が珍しいのかな? なんて私は嫌な女なんでしょう。心まで卑しくなってしまった。反省反省! お昼になると、白鳥さんが寄ってきた
「何処に、食べに行きましょうか?」
「私はまだ、入社したばかりなので、よく判りませんので、先輩にお任せします」
「嫌いなものでもある、何が食べたい?」
「私は好き嫌いがありませんので、先輩の好きなところで結構です」
お昼休みになると、会社からも外に食事にいく人が何人かいて、白鳥先輩の行きつけの所に一緒に行くことになった。会社から少し歩いたところにあるお洒落なカフェアンドレストランに連れていかれた。
「わぁーお洒落な所ですね。何時も白鳥先輩は、こういう所で食事をするのですか?」
「えぇ、ここのパスタ料理が美味しいのよ」
白鳥先輩には似合うけれど、私なんかには似合わないなと思った
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