第7話 姉妹

四郎「え?姉さん?」


あまりの衝撃に耳を疑った。

え?あるぇ?え?姉弟きょうだい


葉月「そう。これは姉の文月ふつき

文月「これってひどいな…」


文月さんは膨れっ面で呟いた。


葉月「んで、そこの侍は?」

文月「山中に倒れていた」

葉月「じゃあ」


葉月が小刀を抜に、侍に近づく。


文月「待って!」

葉月「なんで待つ必要があるの?」


そう言った葉月の目は色がなく、ただただ亡失としていた。


文月「葉月、そんなんだとお嫁に行かないよ」

葉月「ちょお姉ちゃ」

四郎「お嫁って葉月女だったのか?」

文月「あーまだ言ってなかったのね…ごめんね葉月(*≧∀≦*)」


葉月は顔を真っ赤にして唸っていた


閑話休題


葉月「んで話戻すけど、その侍、どうすんの?」

文月「家に返す」

葉月「ううん…」

文月「だってこの人、豊前様の子だよ?」

そういうと、ひどく驚いた顔で葉月は

葉月「はぁぁぁぁぁぁ?」

と叫んだのだった


五年前 伊賀


文月11歳 葉月9歳


前年の信貴山城の戦いで親を亡くした二人は食べ物を恵んでもらいつつ、伊賀国を彷徨っていた。

そんな時だったのだ


?「おお、これはこれは」


片目の老人が二人に話しかけたのは。

片目の老人は島豊前と名乗った。

豊前は食べ物を渡し、家に連れ帰った。


長月「私たちに何するつもり!」

豊前「なんもせんよ」

葉月「お姉ちゃん…」


豊前は二人を手厚く保護し、気づいたら二人は彼に懐いていた。そんな時…

突然だった。


天正9年(1581年)


主である筒井順慶に急遽呼ばれ筒井城に向かった豊前は城門をくぐったところで異変に気付き刀を抜いた。

そして刀を振るう

ザシュ

一閃


背後にいた暗殺者好之は右腕を切られる。

豊前「おお。これはこれは森殿ではないかやこんなところで何をしてるのだ?」

好之「ぬかせ!」


ガヒュン

片手で難なく好之の斬撃を受け止め、切り返す


豊前「しょうもないことを恨みおって殿もみみっちいお方じゃの」

好之「おま、気づいて」

豊前「気づかないわけがないだろ?」

好之「なら尚更ここでお前を殺しておかなくてはな」

ピュッ

刺突

豊前の胸から血が流れる

好之「ガハッ」 


しかしながら豊前の出した剣は好之の胸を貫いていた 


豊前「こんなとこで死ぬわけにはいかないでな」


しかし


豊前「ハァ…お主だけではないのか」


門の前には武士が廿余人。そしてその中には主人である筒井順慶もいた。


順慶「かかれ!」


その一声で兵は動き出す。

豊前は大太刀を抜き振りかざし高叫ぶ


豊前「斯の島豊前、舐めるでないわ!」


雨の降る中、愚かしくも哀しい戦いが始まった。

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