第一章 伊賀

第4話 葉月

俺は目を覚ました。


四郎「此処は?」


え?こう言うのっていきなり山の中に放り出されることってあんの?


?「ねぇ君そこで何してるの?」


俺と同じくらいの子供が俺に言った。


?「君ってさ、どこの家のもの?初めて見る顔だけど…」


四郎「家とかはない…」


?「じゃあうちに来なよ。今人手が必要だからね」


葉月「僕は葉月。君の名前は?」


四郎「俺は四郎だ。よろしくな葉月」


そして二人で歩いていくと、民家が見えてきた。これって…


四郎「ね、ねぇ、葉月、今って何年?」


葉月「何を聞いてるの?まぁ、今は1580年天正八年だよ」


やっぱり!此処は伊賀国、第二次伊賀侵攻直前だ!


葉月「おじいちゃん!」


四郎「おお、葉月」


出てきたのは白い髭を生やしたお爺さんだった。しかしその動きには朦朧としたところが見られない


?「葉月、そこの少年は?」


葉月「道先で出会った。人手が今は足りないだろうしね…」


そして夏樹はお爺さんに近づき何かを話していた。


葉月「僕が見張るよ。織田の間者だったら情報を聞き出せるだろうし」

?「そこまで言うなら仕方ないか…」



と何やら夏樹と話していると…


?「百地さん。織田が来たようだ」

百地丹波「わかった。それで柘植、敵はどこから?」

柘植清広「伊勢地口から津田信澄七兵衛、織田信雄三介、拓殖口からは丹羽長秀五郎座、滝川一益左近将監、玉滝口からは蒲生氏郷忠三郎、脇坂安治甚内、笠間口からは筒井順慶権少僧都、初瀬口からは浅野長政弥兵衛、多羅尾口からは堀秀政久太郎だ。」

丹波「伊勢地の方は簡単だな」

清広「なんせあの織田三介阿呆が相手だろう?」

丹波「逆に柘植は少しきついか」

清広「いや、そっちはオレがいくからな」

丹波「滝川一益左近将監はともかく|丹羽長秀五郎左には気をつけろ。あいつはちょっとめんどくさい」

清広「わかった。ところで百地さんはどこに着くのだ?」

丹波「俺は玉滝口に行く。笠間にいる筒井の順慶坊主は長月と森田浄雲の爺さん。伊勢路は町井清兵衛さんにでもお願いする」

清広「あいよ。葉月くんはどうする?」

丹波「今回、初陣としてそうだな…初瀬にでもつける」

清広「そこの大将はどうするんだ?多羅尾には滝野吉正さん、家城右近、それと音羽半六のあんちゃんをつけるとして、あ、福喜多さんは?」

丹波「富岡さん、田屋さんと共に堺だ。布生と小泉は雑賀の援軍だ」

清広「中林さんは?」

丹波「中林だけじゃ多分浅野長政弥兵衛を防ぎ切れない。しょうがないか…藤林長門守の爺をつけるしかないか」

丹波「そうだね…あの人に借りを作りたくないんだけどな…ハハッ」

清広「って言うか葉月くんの隣にいる男の子って誰?」

丹波「俺もよくわからんが葉月が拾ってきた。葉月は見る目だけはいいからな…もし戦になったら葉月と一緒に行動させるか…」

清広「まじか?あの過保護で有名な百地さんが?」

丹波「嘘!俺裏でそんなふうに言われてたんだ…」

清広「すまんて」


ちょっと落ち込んだ百地であった。

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