交際二カ月の彼女に二股された男は、慰めてくれた二人の女性を好きになってしまいました
のんびり
第1話 浮気現場を目撃
「○○のことが大好きだよ」
体育館で甘い声を発しているのは早坂秋絵。元彼女ではなく、現在進行形の彼女。他の男子生徒に大好きといっているということは、浮気されたとみなすしかなかった。
清彦が体育館にやってきたのは、複数の目撃証言を耳にしたから。秋絵は一学年上の学生と頻繁に会って、体を合わせる、キスをするといった行為に及んでいるというものだった。
秋絵のことを信じたいと思っていたので、当初は噂を聞き流していた。自分の愛した彼女はそんなことをするはずはない、という認知バイアスがかかっていたのも事実。浮気現場を目撃するのは、自分の存在価値を否定されたに等しい。
二人のやり取りを聞いたことで、目撃証言は事実であることを悟った。清彦だけを愛していた、彼女はとっくの昔にいなくなっていたことも知った。いつ。どこで感情はすれ違ってしまったのか。
「秋絵のことが大好きだよ」
二人は唇を重ねたあと、体をゆっくりと重ねる。僕はそれを見るやいなや、秋絵に対する愛情はすべて吹き飛ぶことになった。堂々と浮気できる女性に対して、憎しみよりも嫌悪感をおぼえた。マムシ、ヘビ、ゴキブリのほうがよっぽど清潔に感じるくらいに。奴らは外見で差別されているけど、中身は人間よりも純粋だ。
証拠を残すために、二人の抱き合っているところをスマホに収める。抱擁している場面は、浮気を立証するに必須。証拠を押さえることによって、しらを切られないようにする。
スマホに証拠を収めたあと、体育館をゆっくりとあとにする。曲がっている背中は、負け犬オーラを全面からさらけ出していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます