わんこの音色に甘えるせかい ~仕事に疲れて家に帰ると、わんこなお嫁さんが癒し……え? 今日は甘えたい日だって?~

犬月ぬい

第1話 おかえりなさい!(おでむかえ)

//SE 玄関を開く音

//ヒロインがおでむかえ。ヒロインのわんこ耳、わんこしっぽがぴこぴこ動く


「おかえりなさいですっ」


「お仕事おつかれさまですよ! ご主人さまっ♪」


//主人公が玄関と鍵を閉める

//主人公が靴を脱ぐ。家に上がる


「むぎゅー」//ヒロインが主人公に抱き着く


「えへへ、ご主人さまのにおいですー」//服に鼻を押し当てながら


「ふぇ? なんですか? ずっとここにいたのか?」


「……もう、そんなわけないです。わたしのこと、なんだと思ってるんですか?」


「足音もにおいも、近づいてきたらおうちにいたってわかります」


「わんこ、なんですから」


//SE ヒロインが間近でわんこ耳を動かして見せる(わんこアピール)


「だから」


//ヒロインが主人公から離れ、廊下の奥へ

//SE ヒロインの足音が遠ざかる


「帰ってきたのがわかってからですねぇ」


「こーして」


//ヒロインが玄関に走ってくる

//SE ヒロインの足音が近づいてくる


「玄関に走ってくるっわひゅあっ――」


//ヒロインがつまずく。主人公が受け止める


「び、びっくりしました……」


「あ、ごしゅ、じんさま?」


「あの、えへへ。ありがとうございますっ」


「んー」//主人公の服にすりすりして甘える


「え? おでむかえもいらないし走るなって?」


「やーです。一秒でも早くこうしたいです。それに、おでむかえはギムです」


「だ、だんな……さまですし」


(……うぅ、結婚して一週間なのに、まだだんなさまって言うのはずかしい)//独り言


「ご主人さまなんですから」


「ご主人さまじゃ、ない?」


「それはっ……」


「たしかにそうですけど!」


「でもでも、結婚したってご主人さまはご主人さまですっ」


「わんこと結婚したんだから、それはご主人さまのギムだと思います」


「お隣さんのこうちゃんだってそう言ってましたもん」


「ね、ご主人さまっ」


「ごしゅじん、さま」//耳元で囁く


(そうやって顔をそらすの、昔っから変わんないです……)//独り言


「んふー」//満足げな吐息


「照れてますね……?」


「えへへ、そういう照れ屋さんなところも好きですよー」


//主人公がヒロインのおでこをぐりぐりする


「わひゅっ」


「もう、そういういじわるもだめですーっ」


(だいたい、……くんがわるいんです)//小声


「昨日は何曜日だったか知ってますか?」


「そうです、水曜日ですよ。ノー残業デーです」


「なのに遅かったです!」


「充電、切れました! わたしの充電、切れました!!」


「だからっ……今日は甘える日なんです」


「ご主人さまは、とことんわたしを甘やかしてくださいですっ」


「ふつうは逆? わんこがご主人さまを甘やかす?」


「それは……っ」


「それはっ! この前やったじゃないですか。こーたいごーたいです!」


「ですから、今日はわたしが甘える番。そう決まったんですよっ」


「と、いうことで!」


「なでてください! ほめてください!」


「……どうしました?」


「お隣さんですか?」


「もう、気にしすぎですよ」


「左はわんこ、右はにゃんこ。こうちゃんもしずくちゃんも、そういうの気にしない子です」


「だからご主人さまはわたしをとことんなでなでしていいんですよ?」


//主人公がヒロインの頭をなでる

//SE ヒロインのわんこしっぽがぴこぴこ動く


「わふふ……ご主人さまにこーやってなでられるの、すきです」


「それにご主人さまのにおい」


//ヒロイン、主人公に聞こえるように鼻でかぐ

 すー、はー、すー、はー


「汗くさい? そんなことないですよー、いつものにおいです」


「どんなって……ぽかぽかでふわふわな感じです」


(ぽかぽかー、ふわふわー)//独り言


「わふ~」


「……はふぅ」


//SE ぐぅ~(ヒロインのお腹が鳴る音)


「わひゃっ……ぁぅぅ…………」


「おなか、すきましたね」


「でももうちょっとこうしてた――」


//SE ぐぅ~ぐるるぅ(さっきよりも大きなお腹)


「うう、おなかさんまでいじわるです……いいですひとまず充電できました」


「え? 充電完了?」


「そんなはずないじゃないですかっ」


「ごはんのあとは、ずっと充電タイムですからねっ」


「さっ、お手て洗って、うがいしてください」


「今日は暑かったですから、ぶたさんの冷しゃぶにしたんですよっ」


「ですから、お肉食べて」


「いっぱいいっぱい――」


「元気いっぱいになってください♪」


//SE 隣をヒロインが歩く音


「おっにくー、おっにくー」//うきうき


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