ある日のひな祭り日記 番外編
聖十郎様のお家のお庭の一角、一際濃いピンクの花と、白い花を咲かせた木が。
「きりぇいね~」
『ぴよ~(きれいだね~)』
『これはね、ピンクの花が桃で、白い花が橘って言うんだよ』
「パパ、もも、おいち?」じゅる
『そうだね。甘くておいしい桃が成るよ』
「んふふ。ちゃべたいね」じゅるり
『桃がなるのはもう少し先だね。因みに橘は小さい蜜柑のような実がなるよ。美味しいけど蜜柑より酸っぱいんだ』
「しゅっぱ?」じゅる
お手手でお口おさえるけど、違う意味でお口の中がっ
『あははっ、そうだね。酸っぱいとそうなるよね』
「あい」
なっちゃうね。
『のんちゃんは花より団子だね~』
「ぷー」
そんなことないよ。お花もキレイだよ。
『ふふ、そうだね。ごめんごめん』
分かってくれればいいよ。
『ぴよ(あっ)』
「ひまちゃん?」
どうしたの?
『ああ、なるほど。さすが陽葵、鋭いね』
『ぴよ~(それほどでも~)』
だからどうしたの?
『もう分かるよ。ほら』
ぱあああっ
〖のんちゃ~ん〗
〖ただいまなのじゃ〗
「あ~ぱぁぱちょ、ぐりゃんぱだ~。おかいり~」にぱっ
『ぴよ(おかえりなさ~い)』
『お帰りなさい。今日もお二人でいかがされましたか?』
〖お雛様じゃよ。のんちゃん〗にこにこ
〖女の子のお節句なんだって。のんちゃんのお祭りだよ!〗にこにこ
「ふおおお、おひにゃしゃま!」キラキラ
『おひなさま?』
『ぴよ~?(なんだっけ~?)』
ぱぁぱと、グランパものすごくにこにこです。もちろん、のんちゃんも!なんたって、ひな祭りです!美味しいご飯です!
ずるっ
〖ま、まあ、たしかにご馳走もじゃが、ひな祭りと言えば雛人形じゃろ?〗
「ほえ?しょっか
~」えへ?
グランパがすべっちゃったよ。だって、お雛様はきれいだけど食べられないでしょ?
『うん。お雛様が何かは分からないけど、のんちゃんが花より団子なのは確定したね』くすくす
『ぴよ~(そうだね~)』
「ありゃ?」
たしかに?
〖ま、まあ、とにかくじゃ、雛人形などを持ってきたんじゃ。聖十郎、どこか飾れる部屋はあるかの?わりと大きいものなんじゃよ〗
『大きい人形なのですか?』
〖いや、たくさんの人形をな?雛壇という物に飾るんじゃが、七段ほどあるんじゃよ〗
『そうなのですね。では、こちらに』
〖ほっほ。頼むぞい〗
〖ふふ。日本は色々行事があるんだね~。おかげでボクも楽しいよ。のんちゃんに会えるしね~。グランパもね、孫娘の初節句だからって、すっごく張り切ってるんだよ〗
「ふおおお、のんちゃんもたのちみ!」
〖ふふ、良かった。グランパ、最新のお料理の本まで用意したみたいだしね。期待しゃうよね〗にこにこ
「ふおおおおお!たのちみ~♪」じゅるり
そんなこと言いながら、お家に戻ると
『ママ、いるかい?神様たちがいらしたよ』
『はいよ。いらっしゃい神様方。おや?今日はいつも以上にご機嫌だね?』
〖分かるかの?今日はの、のんちゃんに雛人形を持ってきたんじゃ〗
『雛人形?ああ、そう言えば、そんな行事があるって聞いてるね。ひな祭り、だっけ?』
〖ほほう。聖一朗じゃの?もしかして人形もあったかの?ワシの友人の人形職人の会心の出来を持って来たんじゃが〗
『あることはある。らしいんだけどねぇ⋯』
〖ああ、もしかして、例の部屋に〗
『そう。直行したと聞いてる よ』
〖何をしておるのか聖一朗⋯。では、持ってきた人形の飾りつけを頼んで良いかの?ちゃんと説明書もあるしの。あ、これは最新の料理本じゃ。ひな祭りの特集がのっておるんじゃ〗
『おや。これは嬉しいねぇ。さっそく後で作ろうね。ちびたち、この本のここからここのページ、こっちの本はここの食材を集めといとくれ』
『『『はいなのです!』』』
『『『畑行くです!』』』
『『『生け簀行ってくるです!』』』
ん?生け簀?
そんなこんなで
「あかりをちゅけましょ♪」
〖ぼんぼりに~♪〗
「おはにゃをあげましょ♪」
〖桃の花~♪〗
のんちゃんと、グランパがかわりばんこに歌いながら飾りつけ
〖ご機嫌だね。のんちゃん〗
『お歌上手ね、のんちゃん。癒されるわ』
『当然だよ。僕たちののんちゃんだからね』
みんなもお手伝い!
「あい!おひなしゃまきりぇい。ぐりゃんぱ、ありがちょ」
〖ほっほ、喜んでもらえて何よりじゃよ〗
みんな仲良し!
『桃の花もらってきたですーっ』
『菜の花ももらってきたですーっ』
『ありがとさん。この花瓶がいいかね』
お花も飾って
「かんしぇい~♪」ぱちぱち
〖すごい。綺麗だねぇ〗
「あい!ごーか!きりぇい!」
豪華7段飾り!お人形さんたち、とってもお上品なお顔してます。でも、とっても優しいお顔です。ぼんぼりとかも綺麗です。
『こんな小さい人形一つ一つがこんな精密に出来ているなんて驚きです』
『エルフに見せたら食いついて離れなくなりそうね』
〖それは困るのぉ〗
『そんなことになったら私が追い出してやるよ。すごいね、この着物。のんに着せたいねぇ』うっとり
〖ほっほっほ〗にやにや
はっ!
『グランパ、その笑いはもしかして⋯』
〖あるぞい。着物〗にやにや
『やっぱり!はやく!早く見せとくれ!』ぐいぐい
〖ぐえっ、わ、分かっとるから、首を絞めんでくれんかの〗
『あ、悪かったね。つい。あはは』
ママ、目の色変わってたぞ
〖ごほっ、ほれ、これじゃよ。これまたワシの友人の職人が作った着物じゃ。友禅じゃぞ〗
『いいね、いいねぇ。のん!さっそく着替えようねぇ』
「あ、あい」
着るの?
そして
『ああ、赤い着物が良く似合うねぇ』うっとり
『『『かわいいですぅ!』』』
『ちょっと!なんで私たちを呼び戻してくれなかったの?』
『そうだよ!狩りなんか切り上げてきたのに!』
『何も知らないから魚取りまで協力しちゃいましたしね』
『早く帰ればよかった!』
『『『きゅん(おるすばんしてるんだった~)』』』
お肉を狩りに行っていたねぇねたちが、帰ってきたらお人形はあるし、サーヤはお着物着てるしで悔しがってます。
でもね?
「おみょい」
お着物、とっても重いです。頭の飾りもおっきくてグラグラです。
『『『大丈夫ぴょん?』』』
『『『もう少しがんばろ?』』』
『お写真とるまで頑張るです!』
『そうなのです!』
『そのかっこじゃご飯食べられないなのです!』
『おきがえしなきゃなのです!』
『だから頑張るなのです!』
「あ、あい」
グランパ、はやく~
〖かわいいのぉ、かわいいのぉ〗ぱしゃぱしゃ
グランパはさっきからお雛様をバックにのんちゃんの写真撮りまくり!
〖今度はこの番傘さしてみようかの〗パシャパシャ
「あい」
〖花うさぎや妖精たちも入ろうかの。うんうん、次はちびっこたちも入って〗ぱしゃぱしゃ
こんな感じでたくさん撮ってます。
『グランパ、そろそろ』
〖のんちゃんがぐらついてますよ〗
「パパ、ぱぁぱ」
ありがとう
〖あ、ワシのとってないではないか!あと少しあと少しの?〗
「あい」
がんばる。グランパだけないの、のんちゃんも寂しいし
〖私が押しましょう。やり方は見てましたので〗
〖ありがとの〗
〖では、はいポーズ〗ぱしゃぱしゃ
そんなこんなで最後に
〖集合写真じゃ。タイマーセットして、いくぞい〗たたたた
〖はい、チーズ〗ぱしゃぱしゃ
こうして記念撮影をすませ
「かりゅい」
お着物脱いで軽くなりました
『ぴよ(良かったね~)』
「あい!」
〖それじゃ、頂くとしようかの〗
〖そうですね〗
『はやく食べましょう。とってもおいしそう』
「あい♪おひにゃしゃまにょ、おにぎり♪」
そうなのです。目の前にあるのは、お雛様とお内裏様の形をしたかわいいおにぎり♪
それから、手毬寿司に、ちらし寿司、ケーキ♪
『グランパが持ってきてくれた本を見て作ったんだよ』
「しゅごいしゅごい♪」
テーブルの上がピンクいっぱい!お雛様もいっぱい!
〖では、いただきます〗
「いたらきましゅ!」
おひなさまおにぎり~♪ぱくっ
『ぴよ~(わ~頭からぱっくん)』
「う?ちかたにゃい」
せっかく作ってくれたんだから、おいしく食べなきゃ!
「おいち♪」
『ハマグリのお吸い物も食べるんだよ』
「うにゅ。にがくにゃい?」
『苦くないよ』
「じゃあ、たべりゅ」
『えらいえらい』なでなで
「えへ?」
おいしいものも、ちょっと苦手なものも、みんなで一緒に食べたら、みんなみんなおいしいよね!
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございます。う~ん、おひな様、ちょっと過ぎました⋯
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます