第39話 た~まや~、か~ぎや~

「すーすー」


じーっ

じーっ

じーっ


気持ちよさそうに眠る女の子の周りでは、家妖精や、花うさぎたちが何やら目を釣りあげて周りを見ている。


『お前たち、そんなに気合いを入れて見はらなくても大丈夫だぞ。まだ・・な』

『そうだよ。今からそれじゃあ肝心な時に疲れちまうよ』


『『『でもでもですぅ』』』

『『『心配ですぅ』』』

『『『⋯外エルフ』』』

『『『⋯』』』こくこく


そう。神様と神樹の精様が向かったのは、クソジジイのいる集落。まあ、言わば敵の本拠地。夜だから多方のエルフはそこにいるだろうが、当然、外に出ているエルフもいる。彼らが警戒してるのはそのエルフたち。何かを感じたヤツらがこちらに来るのではないかと考えているのだ。


『夜の外に出られるようなヤツは、実力もあるし、森に好かれてるヤツがほとんどだから大丈夫とは思うが』

『どこにでもバカはいるからねぇ』

『『『加護外れないです?』』』

『『『ついたままです?』』』

この危険な神樹の森、特に夜は更に魔物が凶暴化し、危険だ。その中で無事にいられると言うことは、余程の実力者か、森に好かれ森に守られている者だろう。

前者はともかく、後者であれば加護は外れないだろうが⋯


『問題は、加護を外された実力者の方だね』

『まあ、結界があるし、私もいるからどうにかなるだろ』

『おや、冷静になったかい?さっきはぶすくれて『俺』になってたけどねぇ?今は『私』に戻ってるねぇ』にやにや

『うっ⋯』

『くくっ。あの位のやり取りで戻っちまうなんて、まだまだ若いねぇ』にやにや

『う、うるさいぞ』


ママにとって、セイジュウロウ様はいつまでたっても、きっと子ども⋯


『はいはい。くくっ⋯まあ、冗談はともかく、来ると思うかい?』

『ああ。あのクソジジイそっくりなのがいるだろ?』

『ああ、あの取り巻きを引き連れたウザイやつだねぇ?』

『『『あいつ嫌いですーっ』』』

『『『嫌味野郎ですーっ』』』

『『『⋯きらいっ』』』

『『『⋯』』』こくこく


おお、すごい嫌われ者が⋯


『そうだ。あいつは度々夜の狩りに出ては自慢してるからな。もしかしたら』

『外に出てるかもしれないねぇ』

『ああ。もう一組の方なら大丈夫だと思うんだけどな』

『ああ!白騎士の方だねぇ?』

『そうだ。彼らは純粋に森を守ろうとしてるからな』

『そうだねぇ。まあ、何にしろ、もうしばらくは静かだろ』

『そうだな』


今は、まだ待つしかできない。


その頃⋯


神樹の森の空の上


〖ええ~何あれぇ?趣味悪~い〗

『いつの間にかあんなの建てやがったのよ。神聖な真珠の森に』

足元には煌々と明かりを灯す煌びやかな、城?

〖前に見た時はもっとこう、森に溶け込むような素敵なお家だったよね~?〗

『それ、だいぶ前よ。私もこんなの見たくもなくて全然寄り付かなかったんだけど、更に悪趣味に磨きがかかってるわ』

〖そっか~。まあ、壊しちゃっていいよね~。森に悪いよねぇ、これぇ〗

『もちろん。害悪でしかないわ』

〖了解。派手にいこうか~。その前に加護外してもらおうかな〗

『うふふ。分かったわ。それじゃあ、私も敢えて派手に行くわよ!【我が加護に値しない愚かな者たちよ、己が罪を悔いるがいい。我が光よ、我が元へ戻れ!】』


ぱあああっ


〖おお~!光のお陰で分かりやすくて良いね~。集落の外にもけっこういたんだね~ご愁傷様〗

『うふふ。詠唱なんか本当は要らないんだけどねぇ。自分たちに何が起こっているのか、聞こえた方が分かりやすくていいでしょ?光ればセイジュウロウ達にも外エルフの場所が分かりやすいし。私って優しい~♪』

〖そうだね~。でも、光が全部ここに集まってるから、僕たちがここにいるのバレバレだよ~。攻撃飛んでくるかも~〗にやにや

『あら~♪それはいけないわねぇ。それじゃあ移動しましょうか♪』にまにま

〖そうだね~それじゃあ、僕が安全な城までエスコートするよ~♪防御は任せてね〗

『まあ♪神様にエスコートして頂けるなんて光栄ですわ♪』

〖『ふふふふふ』〗

実に黒い笑顔を浮かべながらエルフの城へと向かうお二人⋯



そして

ドーンッドドーンッ

『派手だねぇ』

『攻撃魔法を引き付けながら移動してるなぁ』

『『『た~まや~ですー』』』

『『『か~ぎや~ですー』』』

神様の完全な防御により、自分たちの攻撃は全て⋯



ドッカーンッドゴーンッ

『うわあああ』

『やめろやめろーっ』

『攻撃をやめろーっ』

『何が何が起こってるんだーっ』

ガラガラガラガラッ



ドッカーンドッカーンッ

『えげつないねぇ』

『えげつないなぁ』

『『『た~まや~ですー』』』

『『『か~ぎや~ですー』』』

『『『⋯花火きれい』』』

『『『⋯』』』こくこく

なんか違う⋯



ドッカーンッドゴーン

〖『ふふふふふ』〗

絶対敵に回しちゃいけないやつ⋯


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございます。フォロー、感想、応援などありがとうございます。

『転生初日に~』昨日更新してます。『小さな小さな花うさぎ~』もよろしくお願いします。

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