第4話 項(うなじ)の警告

本日2話目です。よろしくお願いします。

☆。.:*・゜☆。.:*・゜


一気に賑やかになった我が家に入ると


『ご主人様っお風呂湧いたです』

『傷しみるといけないなのですっ』

『ぬるめにしたのですっ』

『その子入るくらいのタライもご用意したですっ』


『ありがとう』

さすが家妖精。よく気が利く。さっそくそのまま風呂に向かう。


『簡単に着せられる寝巻きもご用意したなのです』

『ご主人様っ傷治せそうです?』

『神樹の精様呼んでくるです?』

『ああっこの子、女の子なのですっ』

『お風呂に誰が入れるですか?』

『ハッ!まさか幼妻狙いなのです!?』

『『『いやーっなのですっ』』』

『『『ふけつーっなのですっ』』』


『ぶふっ!そんな訳あるかっ!』

またもや何を言い出すんだコイツら!?


『『冗談なのです』』

『『冗談も通じないとか、この子起きたら嫌われるかもなのです』』

『『ですです』』


『くっ⋯お前ら、後で説教だからな。でもまあ、こんな幼子であれば気にしないとは思うが、やはり女性の方が安心だろうな。すまぬが彼女を呼んできてもらえるか?その間に足だけでも綺麗にしておくのでな』

小さくてもレディはレディなのよ!とは、彼女の子供の頃からの口癖だしな。


『はいなのです!』

『呼んでくるです!』

バタバタバタバタ⋯


『頼んだよ。さて、とにかく足を洗おう』

『はいなのです』

『お湯かけるです』


『ありがとう。そうっとな』

『はいなのです!』

『任せるです!』

『『そぉーっ、ぱしゃーっ』』

家妖精達が小さな手おけで優しくお湯をかけ、泥を流す。と、同時にさっそく二人の家妖精が呼びに行っ⋯


バタバタバタバタッ


たと思ったら帰ってきた?早くないか?


『ちょっと!女の子攫って来たって本当なの!?』バンっ!


『攫っ!?だからっ違うわっ!』

またかっ


『くすくす。冗談よ』

また冗談かよ⋯来るまでに家妖精に何か吹き込まれたな?


『まったく⋯まあ、とにかく見てくれ。森の中をずっと裸足でいたようなんだ』

『まあ⋯こんな小さい子が?かわいそうに何があったのかしら?』

『分からん。花うさぎと妖精たちが連れてきたんだ』

『そう。それであなた体中に花うさぎと妖精たちをくっつけていたのね。良くやったわね、あなたたち。正しい判断だったわ』


『『『⋯はいっ』』』

『『『⋯っ』』』てれてれ

なんか、俺の時と態度が違わないか?


『それにしても、随分お早い登場だったな?今、迎えに行かせたのに』

『ああ、何だか森が落ち着かなくてね?何かあったのかと思ってここに来るとこだったのよ。そしたら、この家の方がよっぽど慌ただしかったじゃない?何かあったのはここだったか!ってね』くすくす

『あ~確かに、騒がしかったよな』

『でしょ?あ、足綺麗になったわね』

『どうだ?治せそうか?薬にしろ、魔法で治すにしろ、お前に確認してからの方がいいと思ってな?』

『ん~そう思った理由は?』

『分からん。強いて言えば、この子を抱き上げた時に何か違和感を感じたんだ』

『違和感ね~?』

『ああ。気の所為かもしれんな?だが、項(うなじ)の辺りがチリチリしてな?急いてはいけない気がしたのだ。見たところ大きな怪我は無かったしな』

『ふぅ~ん⋯』


そう。いつもなら躊躇することなく、生活魔法でキレイにし、薬なり治癒魔法なりで治していたのだが⋯


『何故だろうな?この子には慎重にならなければいけない気がしたのだ』

こんなことは初めてだ。だが、昔から項(うなじ)が疼く時には慎重になった方が良いと経験から学んでいる。第六感とでも言うのか⋯


『相変わらず、あなたの項は優秀ね。⋯正解よ』

『え?』

ということは?


『この子、体と心がまだこの世界に馴染んでないわ』


『は?』

何を言ってる?


『だからね?この子はこことは違う世界から落ちてきたのよ。つまり〖渡り人〗ね』


『は?⋯はああああ!?』

何だって!?


☆。.:*・゜☆。.:*・゜


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