小さな小さな花うさぎさん達に誘われて、異世界で今度こそ楽しく生きます!もふもふも来た!

ひより のどか

第1話 いきなり追われる

ガサガサガサガサっ


はあはあはあはあ


ザザザザザっ


はあはあはあはあ

逃げなきゃ


ワオーンっ


はあはあはあはあっ

逃げなきゃ 追いつかれちゃうっ


ガサガサガサっ


ヒッ!こっちからも!?

はあはあはあはあ

だ、誰かっ 助けてっ

なんでこんなことに!?


ザザザザザザっ

ワオーンっ


『⋯⋯⋯』ふわ


え?今、声が?


『⋯⋯っ』ふわり


こっち?こっち?って言ってる?


『⋯⋯』ふわぁ


うん。ありがとう がんばる

はあはあはあはあ


『⋯⋯』ふわり


もう少し?あっ


ドタっ

い、痛い でも動かなきゃ


『⋯大丈夫』ふわ

『⋯動かないで』ふわり

『⋯隠してあげる』ふわふわ


え?お、お花?


ぴょんっぴょんっ


え?え?お花じゃない?小さな白いうさぎさん?⋯が、たくさんっ


わらわらわらわら

ぺたぺたぺたぺた


うわわわわっ

小さな小さなうさぎさん達が私を包んでいく


『⋯しーっ』

『⋯動かないで』

『⋯じっとしていて』


う、うん

口を抑えて体を丸めて小さくした


だだだだだだだっ


き、来たっ

ぶるぶるぶる

ふ、震えが止まらないっ

ぎゅっ

目をつぶって、息を殺す


ガサガサガサガサ

くんくんくんくん

ハッハッハッハッ


ヒッ 匂いを嗅いでる

み、見つかっちゃうっ


『⋯大丈夫』

『⋯見つからないよ』

『⋯もう少し我慢してね』


う、うん

今はうさぎさん達を信じよう


ザザザザッ

音が少しずつ遠のいていく⋯


どれだけだったか、完全に気配が無くなるまで、私はずっと息を殺してうずくまっていた


『⋯もう大丈夫』

『⋯動ける?』

『⋯行こう』


行く?どこへ


『⋯ここはまだ危ないよ』

『⋯安全な場所に連れてってあげる』

『⋯大丈夫。僕たちが護るから、ね?』


う、うん。信じるよ


『⋯こっちだよ』

『⋯ついてきて』

『⋯ほら、見てごらん』


え?


『⋯木の上だよ』

『⋯森のみんなが手伝ってくれてる』

『⋯安全な道を教えてくれてるよ』


木の上?

え?あっちだよって教えてくれているのは


『⋯あれは妖精だよ』

『⋯頭の上にお花が咲いてるでしょ?』

『⋯葉っぱが乗ってるこたちも、僕たちと仲良しなんだ』


心配そうに見守ってくれてる妖精さんたち。

まだ声を出すのは怖いから、ありがとうって小さく手を振ってみると、妖精さんたちは、ふわっと笑顔を見せてくれた。ても振り返してくれてる。かわいい。


『⋯ね?みんな君と仲良くなりたいんだよ』

『⋯だから、安心して』

『⋯さあ、行こう』


うん。ありがとう。私はうさぎさん達について行く。


『⋯大丈夫?喉乾いた?』

『⋯お腹空いた?』

『⋯木の実ならあるよ』


『ありがとう』ぱく

妖精さんが運んできてくれた真っ赤な実は桑の実のような甘い木の実でした。

それから、サクランボくらいの水風船のようなぷるんぷるんとした実は


『⋯一口でぱくっと』

『⋯ぜったいお口の中に入れてから噛んで』

『⋯噛んだらお口開けちゃダメ』


う、うん。分かったよ。パクっ!

ぱしゃんっ!

わあ!お口の中がオレンジジュースでいっぱい。木の実が弾けて口が開けられない!


『⋯ふふ。びっくりした?』

『⋯ゆっくり飲み込んで』

『⋯美味しかった?』


うん。美味しかった。それに、今になって喉が渇いてたんだなって分かったよ。

異世界で初めて口にしたご馳走は、不思議な木の実でした。


それからは時々、ふわっと妖精さんたちも肩にとまったり頭にとまったり、警戒しながらも何だか少し楽しくなってきた。


お話する小さなうさぎさん達に、妖精さんたち。

もう認めよう。ここはきっと私がいた世界じゃない⋯

私は違う世界に来てしまったんだ。


☆。.:*・゜☆。.:*・゜


初めましての方も、いつもお読みいただいている方も、お読みいただきありがとうございます。


『転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました。もふもふとも家族になります!』を書いています、のどかです。今回、新しい世界のお話も挑戦してみることにしました。

よろしくお願いします。今日はもう1話更新予定です。


そして、もう一作、『転生初日に~』のおばあちゃんが主役のお話も始めました。番外編に収まりそうにないので( ̄▽ ̄;)

『転生したおばあちゃん。同じ世界にいる孫の為、若返って冒険者になります!』という作品です。宜しければそちらもお願いいたします。

のどか

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