第六話 六方祭り

六話 六方祭り


「やはり今行事ごとを開くのは反対ですか?」

アルセは厳格そうな男に話しかける。

「ああ、村の修繕も間に合ってないんだ。そんな暇があるか?」

男は眉間に皺を寄せ、目頭を右手でつまむ。

今の現状はこの男からしても悩ましい事柄なのだろう。

「父様だからこそ開くべきでないでしょうか?」

「なに?」

「村の活気が失われる中、行事ごとさえままならぬこの現状では村の住民が離れてしまうのではないでしょうか?」

「続けろ、」

「はい、六方祭りとはこの村で最も盛り上がる行事の一つで、屋台もそうですが、目玉のアレは村の活気を取り戻すのに必要なものかと...」

「そうだな...確か目玉にはアルセ...お前も参加するんだったな...」

「出場するのであればユーベン家に恥じぬ奮起を見せよ。」

「それでは!」

「お前の考えを聞いて気が変わった。今年も問題なく開催する。」

「ありがとうございます父様!!」

アルセの顔には笑みが溢れる。

(久しくものを言うと思えば前の無邪気な子供のように笑いおって、)

「では失礼します!」

そう言い残すとアルセは部屋を後にした。


はぁ~~


アルセがいなくなった本に囲まれる書斎で男は大きなため息をついた。


彼の名はアルフレッド・ユーベン

ユーベン家の当主にしてこの村の地主

村では厳格な男として知られている


そんな男は現在地龍の襲来の被害に悩まされていた。今回の地龍の襲来によって起きた損害をユーベン家の財産で補填したため、ユーベン家は財産の大半を失ってしまったのだ。

「地龍の奴め、やってくれる。」

アルフレッドは息子の前では見せぬ苛立ちを沸々と湧き上がらせる。

(だが最小限の被害に収まった、それは評価する事だ。それはあの子供達のおかげだな...)

(ヴィタだったか?無謀にも思える策略で地龍の足止めに成功し、冒険者の助力を待つことが出来た。結果的には彼らの奮闘のおかげで村の被害は抑えられた。)


アルフレッドは不敵な笑みをこぼす。

(欲しいな、早いうちに手に入れておくか?)

(確か彼はケイツの息子だったな、ますます欲しくなる。)


アルフレッドという人間は有能なものを各地から集め、近くに置くという妙な収集癖があり今回若年の年でありながら功績を立てたヴィタはそれの恰好の的だったのだ。


その日ユーベン家の館からは不敵な笑い声が聞こえたとか聞こえなかなったとか。


アルセは首を傾げた。

「ん?どうしたんだよアルセ」

大きな木の根元で寝転ぶヴィタとアルセは暖かい日の光と気持ちのいい風に当たり、眠り呆けていた。

「いや何でもない気のせいだと思う。」

「そうか、で今年も六方祭りあるんだろ?」

「うん俺が父様に直談判したんだ。」

「そうか、それにアルセは1人で参加するんだってな?」

「ああ「俺」は均衡も相まって複数人を相手のが得意だからな。」

「そっかそれじゃあ今回は僕らの敵だな、」

「きっと俺が勝つさ、」

「はいはい、勝手に言ってろ。」

「アルセ、お前の仲間舐めんなよ。」

ヴィタがそういうとアルセはクスリと笑った。



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登場人物

ヴィタ・エネディクト...小柄な黒髪の少年。

均衡名[結晶化]

エンナ・イーファ...赤髪の少女。

均衡名[点呼]

テネ・ウィザード...子紫色の髪の少女。

均衡名[寝ン無]

エルナード・グランド...大柄な少年で青柳色の髪の少年。

均衡名[光盾]

リエナ・バック...翡翠色の髪の少女。

均衡名[八岐大蛇]

アルセ・ユーベン...白髪の少年。

均衡名[ ]


冒険者

灰色の髪色をした中年男性。

鋼鉄の鎧で身を纏い、剣を巧みに操る。コロシアムの元王者。

均衡名[強器]


ギルナ・コバルナ

桃色の髪の毛の若い女性。

聖職者で作中に出てくる神を信仰している。

均衡名[緑化]


謎の少女

ヴィタの夢に出てきた少女。

[ ]


ケイツ・エネディクト

均衡名[水壁]

ヴィタの父親で村の地主ユーベン家と深く関わりのある人物。


アルフレッド・ユーベン

均衡名[ ]

アルセの父親で村の地主、厳格な人柄で知られているが彼には変な収集癖があり、ユーベン家で働く人間のほとんどは何処かしらからヘッドハンティングされた人で構成されている。

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