第11話
▫︎◇▫︎
公爵邸で暮らしはじめて1ヶ月。
わたしは思わぬところで訪れた楽しい生活に、毎日をエンジョイしていた。
わたしを楽しませるもの。
それはこの歴史高い公爵家に眠るお宝探しっ!!
初めてそれを見たとき、わたしは歓喜にぐるぐると踊ってしまった。そのぐらい、このお屋敷に眠っているお宝はすごくて………、そう、本当にすごかった。
兜や鎧や剣についている宝石だけでも、歴史的発見レベルの宝石がザクザク出てくるのだ。楽しくないわけがない。武器についている宝石はやっぱり傷が入ってしまっているものもあったが、それでも本当に大きさからして今まで見てきたものとは規模が違っていた。
そのほかにも、ティアラやイヤリング、ピアス、ネックレスやブレスレット、指輪………、もう数え切れないぐらいの装飾品に出会ってきた。こちらの方に至っては、もう国宝級、否、世界遺産級であるため、遠くから見られるだけでも舞い上がりそうなのに、マーサさんや執事長さんが近くに行け行けと半端強制で近くでみせてくれるために、もう本当に幸せ以外の形容の仕方がない。
あとやっぱり1番幸せだなって思うのは、大きな宝石の原石を見られるとき。
ルビーさんたち姉妹は宝石の扱いに慣れているし、わたしにない知識も持っているからとってもお勉強になる。自分が選び抜いた宝石たちがお客さまを幸せにする嬉しそうな表情をさせる瞬間は見られなくなった。
けれど、これはこれで楽しいなって思うようになった。
わたしは多分、宝石に触れられていれば、自分自身がどうなってもいいんだと思う。自分自身を大事にできないのは悪いこと。
でも、それがアイリーン男爵家の人間の特徴なのだから仕方がない。お祖父さまもお父さまも伯母さまも、みんな己の研究が自分自身よりも大事な人たちだった。
息をするように、空っからのスポンジみたいに、アイリーン男爵家の者たちは知識を吸収する。そして、まるでそれが自分が生まれた意味であると言わんばかりに、学んだことをありとあらゆる自分が専攻する分野にて発揮する。
それがアイリーン男爵家という一族の血を濃く受け継ぐ人間の在り方だ。
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