光の道しるべ《サイドストーリー》

アカリン@とあるカップルの家族誕生小説

つながる空

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長男亮二を授かる二年前の出来事。

今までに何度か語られて来た、修二と里美の悲しい過去とは…◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


あの頃、避妊が疎かになっていることには気づいていた。

互いにもうとっくに大人なのだと、どんな事が起きても責任が取れるのだと、どこか勘違いしていた。

挿入後すぐならば射精しないのをいいことに、最初の数分はそのまま、所謂『生』での快感は互いの愛を確かめ合い、そして日常で負った男女の心の傷を癒してゆく。


意識が飛んでしまいそうな程たっぷりと潤い、暖かく柔らかなきつい締まりによる快楽は若い男女の交わりを激しいものへと変化させ、その行為は後に予期せぬ結果をもたらす可能性もあることだって分かっていた。

だか、止められずにいた。



それは里美が二十六歳の誕生日を迎えたばかりの頃。

数週間だけ年齢が同じになる二人は、まるだ恋人同士のような関係を続けていた。


「何かがおかしい…」


様々な変化に気付きつつも見て見ぬふりをし、不安で押し潰されそうになりながらすごした数週間。

決心し病院へかかろうとした頃には時すでに遅し。

二人の間に宿った小さな灯火は成長する事を止め、きっと産まれたかったであろう命を修二と里美は失った。


「赤ちゃんの心臓は止まっています。」


医師から告げられた言葉は里美の心に突き刺さる。

キャリアを積み上げている最中の二人にとって、子どもを授かるタイミングが早かった。

今ではなかった。


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