第8話 出来るだけ善処します
洞窟内を探し回り隠し財宝を探すが見つからない。
「なあ、こういう時の何か便利な魔法ってないの?」
『そうね「
「へえ便利そう。じゃ『
『じゃ早速試してみましょうか。まずは空洞探査だね』
「はいはい、『空洞探査』と。ん? んん?」
壁を触りながら壁の向こうに空洞がないかを探査していく。
ほどなく洞窟内を一周したが壁の向こうに部屋らしきものは見つけることが出来なかった。
『じゃ、次は地面の下を言ってみようか』
「気楽に言うなよ」
『だって、私がする訳じゃないし、財宝にも興味はないしね』
「ああ、そうですか。ケッ」
地面に手をかざし『
「あの辺が怪しい……」
怪しい場所の上で再び『
「よし、壊すか」
土魔法で地面の土をどかすと、そこには財宝があった。
「でも、なぜこんな場所に? 普通なら、取り出しやすい壁の向こう側とか部屋に置いとくよな。ま、いっか。いただきますね」
そこにあった財宝と思わしき物を全て収納する。
「さて、他にはないのかな?」
『シン、フクが呼んでるわよ』
「分かった。どこだ?」
『案内するわ。あっちよ』
奥まった場所にフクとぐったりしている動物っぽい何かが横たわっていた。
「フク、それがそうなのか?」
「うん、この子が呼んでいたの」
「それで、その子は大丈夫なのか?」
「分からない」
「分からないって鑑定は試したのか?」
「僕の鑑定じゃ弾かれたの。にいちゃんの鑑定を試してみて」
「対して違いはないと思うがな。『鑑定』と」
『あら、面白い子を見付けたわね』
「アリスは知っているのか?」
『そうね、神獣と呼ばれる類ね』
「ま、鑑定結果見れば分かるか。どれ? ほ~」
「兄ちゃん、どうなの?」
「まあ、慌てるな。まずは毒による麻痺、そして飢餓だな」
「じゃ治して」
「ったく、じゃお前はインベントリの中から肉とか出して調理しとけ。外のお姉さん達の分もな」
「分かったよ」
「さあてと、まずは『
『すまん、恩にきる』
「いえいえ、どういたしまして。ん? アリスなんか言ったか?」
『私じゃないわよ』
「え? じゃあ誰が?」
『私だ』
「だから、誰だって言ってんの!」
『目の前にいるだろうが』
「目の前? って、もしかして……お前なの?」
『ああ、私だ。助かった礼を言うありがとう』
「ああ、俺はフクに言われただけだ。俺に礼を言う必要はない。礼ならフクに言ってくれ」
『フクとは、私を見付けてくれた、あの子か』
「ああ、そうだ。頼むな」
『だが、治療をしてくれたのはお前だろ?』
「だから、俺はここを見放して行こうとしてたんだけど、フクが放っとけないって言うから成り行きで、助けただけなんだって」
『ふふふ、そうかお前も中々ややこしい性格をしているようだな。ふふふ、気に入った! 私と契約しよう!』
「だから、人の話を聞いてる? するなら俺じゃなくてフクだって言ってるだろ」
『そうか、まあいいさ。ちょっと顔がよく見えないから、もっと側によってもらえないか?』
「こうか?」
『もっとだ』
「この辺なら見えるだろ?」
『もっとだ』
「まさか食うつもりじゃないだろうな?」
『それなら、こんな手間はかけずともすぐにペロリだ』
「いいか、その言葉を信じるぞ」
『ああ、いいからもっと近くに』
「ハァ~ここなら文句はないだろう?」
『ああ、いいぞ。ん? お前の足元に何か転がっているぞ?』
「え? 何が転がっているって?」
頭を下げて探そうとすると、目の前の獣と額がぶつかる。
『あ、ばか!』
「ん? アリス、ばかって言ったか?」
『もう、しっかり契約しちゃってるじゃん! あんな見え見えの手に引っ掛かって』
「へ? 契約って……」
『よろしくな主殿』
「え~」
ステータスを確認すると称号欄に『
「何だよ、これ! 冗談じゃない。こんなでっかいの連れて歩くなんて出来ないだろ」
『何だ、この大きさに不満か。どれ、このくらいなら構わんだろ』
「兄ちゃん、飯出来たよ。あれ? あの子はどこ行ったの? まさか、兄ちゃん……」
「待て、フク。こいつを見ろ! 見覚えはないか?」
『少年、名はフクと言ったか。見付けてくれて礼を言う。ありがとう』
「え? 何喋れたの?」
『ああ、そうだ。そこのシンと契約したので、私も着いて行くためにこの大きさになったんだ』
「何で、兄ちゃんが契約したの。ずるい! 見付けたのは僕なのに!」
「ほら~やっぱり面倒臭いことになった~」
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