携帯ババア

クロワッサン食べ実

新規契約

携帯ババアを知っていますか。

携帯ババアは金沢駅に現れます。

携帯ババアは「携帯貸してくれんけぇ」と声をかけてきます。

携帯ババアの携帯はいつも電池が切れています。

携帯ババアには子どもがいます。

携帯ババアは「息子に電話したいげんけど」と声をかけてきます。

携帯ババアの子どもは交通事故で既に亡くなっています。

携帯ババアは子どもが亡くなってしまったことがとてもとても悲しいのです。

携帯ババアは電話にでてくれることを待っています。

携帯ババアは何度も電話をかけます。

今日も待っています。





これは私が高校生の頃、当時流行っていたモバゲーで知り合った友達Nから教えてもらった話です。


私とNは同じバンドが好きということ、住んでいる県が同じということ、さらには同年代で怖い話が好きということからネット上だけでなく現実でも遊ぶ所謂リア友の関係でした。同じ県に住んでいても地域は異なります。流行っている話やグーとパーでわかれるときの音頭だって異なります。

Nから聞くまで携帯ババアのことは全く知りませんでした。



携帯ババアが出没するのは金沢駅。

「携帯貸してくれんけぇ」と声をかけてくる。


トイレを3回ノックすると現れるトイレの花子さんや、10円玉に指を置いて「おいでください』と呼ぶと来てくれるコックリさんとは違って、向こうからやって来るそうです。


当時は今のようなスマホではなくメールや通話がメインの「ガラケー」の時代で、さらには前略プロフィールというサイトに個人名や通っている学校名を平気で晒してしまうような時代でした。今と比べてだいぶ個人情報への意識が緩かったようい思います。

だからか、うっかり貸してしまた人もいたとか。

いないとか。

当時の私は「よかったらどうぞ(^o^)/」などと言って貸していたかもしれません。ブレザーの袖で携帯を拭いてから渡していたかも。



そして、貸してしまうとどうなるかというと、ババアは「あんやと」と言って自分の息子に電話をかけるのです。



ババアが 自分の息子に 電話を かける



だから『携帯ババア』。

「なんだそれだけか」と笑ってしまうかもしれませんが、上述したように、息子は交通事故で既に亡くなっているそうです。それを受け入れられずにいるババアは「もしかしたら繋がるかもしれない」という気持ちで電話を貸して欲しいと声をかけてくるのです。


「その日から毎晩深夜に電話がかかってきて、ババアが日に日に近づいてくる」とか、「ババアに殺される夢を見たその翌日、同じような展開が起きて回避すると『夢と違うじゃないか』と言われる」なんてことはなく、ただの可哀想なババアの話でした。


N自信も、この話をモバゲーで知り合った人から聞いたそうです。


Nのバイト先でも携帯ババアは知られていました。

ただ、「お姉さんだった」「子どもを病気でなくした」「貸すと呪われて死ぬ」など話の内容が様々でした。

こういうことは他の都市伝説でもよくあることだったので、Nは「そういうものか」と、特に疑問には感じなかったそうです。







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