愛情込めて育てた薬草がなぜか妖精化したんだけど。

宮北莉奈

プロローグ 妖精化

「おはよう。ヒール」

『キュキュッ!』

 俺、レオンはこのヒール草が妖精化したヒールと2人…いや、1人と1匹?1人と1体?まぁ、何でもいいや。俺は1年前からヒールと一緒に暮らしている。えっ?1年前に何があったって?それはな……

 ー1年前ー

「さて、今日もやりますか!」

 レオンは毎日の日課である、育てている薬草の世話をしていた。

「最近、市場の薬草高いんだよなぁ。薬屋としては本当に辛い……だからこんな薬草を自分で育てる羽目に……」

 なんてぶつぶつ文句を言いつつもレオンは自家栽培が楽しくなっていた。

「今日も元気か?ヒール草、また大きくなったな」

 そろそろ収穫してもいい頃かな?よし、試しに1本。

 とレオンはヒール草に手をかけ、引っ張った。

「それっ!」

 とヒール草を抜いた瞬間……収穫したヒール草が光を帯びて空中に浮き始めた。

「な、なんだ?」

 しばらくすると、光は収まり、レオンの目の前には謎の妖精がいた。

「なんだ?こいつ。妖精?……あれ?ヒール草はどこいったんだ?」

 レオンは収穫したはずのヒール草が手の中にないのに気づいた。

 さっきの光、目の前の妖精、消えたヒール草、まさか……

「さっき収穫したヒール草?」

『キュキュッ!キュイキュイ!』

 妖精化したヒール草はそうだと言うような勢いで鳴いた。

 嘘だろ?こんなことが有り得るのか?いや、もう目の前にいるんだから信じるしかないか。

「お前、これからどうするんだ?」

『キュー?』

 うーん。放ったらかしにして変なやつに捕まるのも可哀想だしなぁ。

「良ければ一緒に住まないか?」

『キュイキュイ!』

「じゃあ、これからよろしくな!……ヒール!」

『キュイ!』

 というわけで俺は1年前からヒールと暮らしている。

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