ふしぎな国の科学博士
@metasecoiya
第1話
あるところに 不思議な国がありました。
どれくらい不思議かというと、それは皆が想像するようなありとあらゆる不思議な生き物 または おおよその普通の人ならば想像もできないような変わった生き物たちが楽しく豊かに暮らす国でした。
さて、どんなことにも 例外 というもの(普通ではない事) というものは 必ずしも存在するわけで(そういう意味では 例外 とは、必ず存在する 不思議な言葉です)、この国にもそれは例外にもれず おこりました。
緑あふれる森の中に 人間の赤ん坊がたったの1人きりで しかも なんともご機嫌に おくるみにつつまれて笑っているのです。
この森に住む多くの生き物は みな仲良く(といっても いつもいつも一緒にいるというわけでもなく、ただむやみやたらと争うことをせずに、お互いの存在を認めて暮らしていました)暮らしていたので、はじめのうちはなんとも珍妙(めずらしく 妙な生き物。妙とは知らない事へのおそろしさ または とめようのない好奇心くすぐられるなにか)な生き物(意思をもち動いていましたからね。それが生きているとは皆わかっているわけです)を 遠くからみていただけでしたが、やはりそこでも例外が起こりました。
あまりにも楽しそうに、鈴を転がすように笑う赤子のそばに、この森の住人たちが集まってきたのです。
それはみな別々な生き物たちでした。
人間の赤子が気になるという点以外、全くもって同じところのない別々な生き物が、みたこともないこの珍妙な生き物にすいよせられるように集まってきたのです。
さてこの珍妙な生き物こそが、後にこの国の皆に愛される科学博士になるのですが、なぜ愛されるようになったのかは おいおい話して行くことにします。ただ一つ確かなのは、この赤ん坊は とても大きな思いやりの気持ちを持っていたということ。
それはこの赤ん坊がもともともちあわせていたものなのか、それとも深い森に住むここの住人たちがこの赤子にそそいだ思いやり(思いやりと愛情はとてもよく似ていますが、すこし違います)のおかげなのか、はたまたその両方なのか、とにもかくもこの博士は 相手の気持ちによりそうこと がとても得意でした。
さて、話しを戻しましょう。そういうわけで、心優しい森の住人たちはこの赤子をどうにかしてやりたくなったのです。
この国の生き物たちは とてもかしこかった(自分の気持ちを大切にし、自分とちがった考えの者を受け入れるというのは、なんとも難しいことです。それを争うことなく日常を平和に暮らしていく知恵と勇気のある者たちばかりでした)ので、それはいとも簡単に(君たちが呼吸をしていることに気がつかないくらい 当たり前のことのように)実現しました。
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