出番だ
「出番だ、ぼくは行くよ」
本当ならここで皆に立ち上がってほしかったけれど、ぼく以外は動いてくれなかった。それでいい、強さは力の源ではない、弱さこそが力の源であり、いつでも柔軟なものに変わってくれる。今はまだぼくを見ていてほしい、そしてもしぼくが枯れれば、君たちが動いてほしい。
一歩、二歩と、ぼくは十番隊の隊員から遠ざかり、けものの元へ急いだ。
九番隊長が退くと同時にぼくは到着した。
<十番隊長、他の者は……>と総隊長殿は訊いてくる。
「――十番隊の隊員はけものの行動を知りません、なので最初はぼくひとりが手本となります。三十分ならひとりで立ち回れますが、できることなら三十分手前で応援を送っていただきたい」
さて、けもの殿。名乗りたいところではありますが、ぼくの名乗る時間であなたは回復してしまうでしょう。なので一族相伝の体術を披露いたしましょう。
「演武――
けものから一発でも攻撃を受ければ今後動けなくなる。ひとりでは限界があるけれど、大丈夫だレンカ、ぼくならひとりでもうまくやれる。
「蓮華之組手・百式」
あぁ、どうしてぼくは体術で戦っているんだ。刀を使えばもう少し楽なのに……ダメだ、刀はまだ使えない、力を否定する刀を力のみで振ってしまう。
昔からそうだ、ぼくはけものに向かって刀を引き抜けない。
刀を引き抜けないからこそ――
原罪は力を司る、故に武器を生み出す、対して贖罪は原罪という<力の原種子>を贖罪という<心の畑>へ蒔く。原罪と贖罪、二つは一つのモノなり。
「神託――
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