第3話 悪だくみ
結局、最初は薫が上、次は後ろから激しく、次は正常位で二回。最初なのにやりすぎだとは思う。
亮の出したものが多すぎて、困った薫は、そこにちり紙を当てて、パンティーをはいた。
「先生、共犯になってくださいよ」
ブラジャーを付けている最中の薫に亮はいった。
「わかっていると思うけど、先生は拒否できないからね」
「それは頼みじゃなくて、命令っていうのよ」
「もうどうでもいい、君の言うことは全部聞くよ」
言葉だけ聞けば投げやりだけれど、その声音は優しい。
「間宮和歌子、やるのを手伝って」
クラスで一番かわいいと言われている女子だった。
ちなみに担任はずっと藤野先生、今、亮の目の前で下着姿で呆然としている人である。
「何言ってんの、そんなこと」
できるわけがないと言いかけて薫はあきらめた。彼女に拒否する権利はないと亮が言ったのはそういうことだ。
「可愛いからやりたいの」
「違う、僕がやりたいのは先生だけ」
亮にすれば本気だったが、薫はどうとったのだろう、くすっと笑った。今日初めての笑い顔だった。
「ありがと、一応うれしいわ」
薫は投げキスを送ってくれた。一度やってしまうとこんなものかな、ずいぶん距離が近くなったように亮は思えた。
「で、なんでなの」
「ちょっと長くなるけど」
亮はそう前置きをして話を始めた。
「先生知ってますか、彼女、毎年の水泳の時間どんな思いをしているかを」
彼女は同じ学年では一番かわいいと言われている。それがあだとなったのだ。
三年の水泳授業の初日、水着から着替えるときに、クラスの悪ガキ五人が彼女だけを男子の着替え場所、教室だったけど、に引きずり込んだ。
「ほらみんな出ていけ」
五人は残りの男子も教室の外に追い出した。
「まだものが立つわけじゃなかったから、強姦はされなかったけど、パンツを脱がされて見られたらしい。
他の女子も何人かは同じ目にあったらしいが、間宮だけは毎回、水泳のたびに裸にされている。
「なんか今年あたり強姦されそうなんだよね。ならその前に僕が開通しておいてあげようかと」
かなり自分勝手な話だが、薫はなるほどという顔をした。
「一度やっちゃえば強くなれるかもね」
薫はそこで言葉を切った。
「っていうのは建前、あの子生意気だからやっちゃおうか」
「先生そういう人だったんですか、すてきだなあ。ほんとに好きになりそうです」
薫は今度は投げキスではなく唇を重ねてきた、亮にすれば初キスだった。
「でも、失敗すると、君も私もアウトだよ。ね、提案があるんだけど」
何かをたくらんだらしい、唇を離すと薫はいたずらっぽく亮の目を見た。
「そうか、親にばれたらアウトだね。提案って」
「荒木を使わない? 亮はあんまり好きじゃないよね、あいつのこと」
荒木とは美術を教えている教師で、なぜか亮の絵にいつもけちをつける。
亮は竹物や飛行機の絵が好きなのだが、風景や人物以外認めない彼にはお気に召さないらしい。
「へえ、よく知ってますね」
「一応これでも担任だから」
「あいつ、間宮ひいきにしてるよね、あ、間宮だけじゃないか」
「亮だって見てるじゃない」
「あいつ巻き込んで、写真撮っちゃおう」
悪だくみは楽しい。すっかり薫と亮は打ち解けてしまった。
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