冷血女王様は踏まれたい
りりぃこ
第一章 ライブ編
第1話 氷の女王様
「
氷の女王様、と称される人気女優、
彼女に、私みたいな三流の売れないアイドルが逆らえる訳がない。
私は恐る恐る、雪名さんがしゃがみ込んでいる前に立つ。
雪名さんは、少しだけかがんで土下座するような格好になった。
「ほら、やりなさいよ」
「すみません、失礼致します……」
私はそっと雪名さんの背中に足を乗せた。
「ほら、早く、勢いよく私の事、踏みつけなさい!」
「は、はいっ」
私は泣きそうになりながら、素敵な美しいスタイルの雪名さんの背中を思いっきり踏みつける。
「もっと。そんなの、マッサージにもならないわ」
「はいっ」
思いっきり力を入れて再度雪名さんを踏みつける。
「そう、その調子よ」
「はいっ」
私は泣きそうになりながら何度も雪名さんを踏みつける。
「それよ。いいわよ好葉」
「い、痛いなら痛いって言ってくださいよ?」
私はそういいながら力強く雪名さんを踏みつける。すると雪名さんは私をキッと睨み上げてきた。
「何言ってるの?むしろもっと痛くしなさいよ」
その後何度か私に踏みつけられて満足した雪名さんは、ふう、と立ち上がった。
「ありがとう。やっぱり好葉の足は素晴らしいわ」
そう言って、雪名さんは、テレビの前でも滅多に見せない笑顔を私に見せてきた。
私の足を撫でながらうっとりと言う。
「本当に素敵な足だわ。私が好葉さんに出会えたのは運命だわ。私の為にあると言っても過言ではないくらいの理想的な足……」
「も、勿体ない言葉ですが、それは過言です」
私は真っ赤になりながら言う。
「それじゃあ、マッサージするわね」
そう言って雪名さんはマッサージオイルを取り出した。必ず終わった後、メンテナンスをするが如く私の足をマッサージオイルでケアしてくれるのだ。
「よし、スベスベ。好羽も、手入れしっかりとしなさいよ。じゃ、私これから仕事だから」
「はい。お体に気をつけて……」
私はそう言って、颯爽と立ち去る雪名さんを見送った。
私は大きなため息をついて座り込んだ。
「これは……このまま続けでいいのか!?」
私は頭を抱える。
人気女優花実雪名には秘密がある。ストレスが溜まると人に踏まれたくなる、という性癖があるのだ。それも、できるだけ小さな足に踏まれたいという性癖が。
売れない三流アイドルである私、
「これ、人に見られたらヤバいよなぁ……特に私が」
私は頭を抱えて今後の芸能生活を憂うのだった。
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