第25話 神水と小さな乱入者
『(聖獣フェニックスの羽)+(水精の力が濃く含まれている霊水)+(火精からの贈り物)=生命復活の火種』
オレオルが見つけた例のやばい水を使うレシピとはこれだ。
全ての素材アイテムがアイテム名ではなくヒントな状態のレシピだ。
できるものは生命復活の種火…ってなんかすごそう。
えーっと…手順は…。
①フェニックスの羽を霊水でよく洗い壺の中にいれる
②その壺の中に羽を洗ったのとは別の同じ霊水をいれる
③中の羽の色が変わったら、壺に魔力を注ぎ魔力で満たす
④そこに火精からの贈り物を入れ、しばらく触らずに放置し、反応が落ち着いたら最後に所有者が魔法で出した火の玉を壺の中に打ち込む
以上。
魔石を合成した時より手順が多いけど、何とかなりそうなものばかりだから大丈夫そう。
やってみよう。
オレオルはリュックの中に入れたまま放置になっていたやべえ水を取り出して【鑑定】した。
───────────
[神聖霊水]
聖なる気がこもった特別な神水。
強い浄化と癒しの力が込められており、触れただけでどんな呪いでも消し去る事ができる。
飲んだものにわずかな時間神聖属性を付与し、飲んだものが死にかけていた場合その命を少しの間長らえさせることができる。
そこにあるだけで近くの精霊の力がつよくなり、穢れや呪い、邪気を寄せ付けない。
───────────
「ヒョエ…」
やべえもんがさらにやべえもんに超進化しとる…。
え、えーっと…羽羽…あった。
「これをこの水で洗えばいいんだよね…っとその前に壺に入れる分を分けておこう」
オレオルはリュックからブルーフェニックスの風切羽と液体保管用の容器をいくつか取り出して神聖霊水を小分けにした。
なんでこんな上等な水で洗うのかは知らないけど、羽洗うだけなら少しで大丈夫だよね…
オレオルはフェニックスの羽を手に取って神聖霊水の入ったボウルの中に羽と一緒に沈めた。
すると神聖霊水は水なのに水じゃないような…不思議な感触がして、すぅーっとオレオルの手とブルーフェニックスの蒼い羽に浸透した。
そして、羽と最初に触れてた辺りの水が一部消えていった。
「消えた…不思議な水…」
「本当ね…精霊の生み出したものだし、水みたいだったけど水じゃなくて魔力の塊とかだったのかもしれないわね」
リリアさんが感心した様子でそう言った。
「なるほど…」
確かにそれはあるかもしれない。
「そうですね…精霊からの贈り物が様々あるのも元が魔力の塊だからなのかもしれませんね…」
アントンさん曰く精霊については詳しくわかってない部分の方が多いらしく、精霊学はまだまだ未知ばかりの分野らしい。
オレオルはアントンのその話を聞きながら生命復活の火種作成を続ける。
確定してるレシピを作ってるわけじゃないから本通りの物ができるかわからないけど何となく何かはできる感じがするからちょっと楽しみだ。
壺の中に入った羽と神聖霊水を、神聖霊水で洗ったヘラでなんとなく混ぜる。
しばらくすると壺の中でクルクルふよふよと水流で踊っていた羽が白銀に輝き出した。
「色が変わった! 」
これで壺に魔力を注ぐ…で、いいのかな。
オレオルはヘラを置いて壺を両手で持って壺に魔力を流した。
魔石を合成した時はものすごく魔力を喰った壺だが、今回はあっさりと満たし終えた。
魔力で満たした事で壺の中は謎色の液体によって中身が見えなくなってしまい、貴重なフェニックスの羽が無事か微妙に不安になるオレオル。
「これ大丈夫だよな? んー…あとは…壺の中に[火精の粉火砂]を入れて…よし、しばらく放置! 」
オレオルはガタガタと揺れながら光を発しだした壺を見て祈る。
ブルーフェニックスの羽っていう一つしかない貴重なアイテム使ってるんだから失敗しないでくれよー!!
新しい道具にテンション上がったからって軽い気持ちでレシピ決めすぎたか!?
失敗してもいいけど羽は返せよ!!
いや、フェニックスの羽自体はまだあるけどな。
神聖霊水に負けないくらい力が残ってる羽はたぶんこれしかない。
ガタガタと揺れる壺を見て今更ながらに少し怖くなってきたオレオルは心の中で壺に向かってそう念じた。
すると壺から〔大丈夫だよー! 〕となんとも呑気な感じの感情が伝わってくる。
「うぉ!? 」
そうだった…
見た目が普通の綺麗な壺すぎて忘れてたけど、この壺聖遺物なんだった…
*
壺が生命復活の火種なるものを作り始めて数時間、オルオルは戻ってきたアレク達と夕飯を終え、それでもなおガタガタと光り続ける壺。
それを爆弾しいたけをもごもごさせながらじっと見守っていた。
ちなみに今日の晩御飯は昨日からスープの残りに麺を入れたやつだ。
とても美味しかったがちょっと量が足りなかったのでしいたけを食後のおやつにいただいているというわけだ。
Q,しいたけはおやつに入りますか?
A,入ります。
その人がおやつだと思ったらそれは立派なおやつです。
そんなくだらない事を考えつつ壺を見ていると、ガタガタと揺れながら光り続ける聖遺物の壺の横にある[火精の粉火砂]が入った子壺が大小並んでなんだか親子のように見えてくる。
「そういえばアントンさん、この小壺にいた精霊ってまだいます? 」
オレオルの感覚にはいるようないないようなよくわからない状態で初めての感覚だった。
「そういえばいつの間にか小壺の中の精霊の姿が見えなくなってますね」
「いないんですか? 」
「……ええ、おそらく」
なんだか自信のなさそうな様子でそう言ったアントンさんを見て、しばらくこの小壺はそのままの状態でリュックに入れて置こうと何となく思った。
前にもオレオルのリュックが大好きなもふもふがいてしばらくそこに住み着いていた子がいたのだ。
その子が希望するなら旅に一緒に連れて行ってやりたかったが、姿が見えなかったのでいないならしょうがないと悲しくなりつつも諦めて街を出たのだ。
今あの子どこでなにしてんのかな。
変なやつに捕まったりしてないといいけど。
*
そんなこんなでオレオルが落ち着く様子のない壺を見守っていると、オレオルの顔面に『ぽふっ』となんだかもふもふしたものが突撃してきた。
「!? なに!? 」
オレオルが慌てて突撃してきた物体の正体を探るために顔から引き離すとその正体はふわふわとした羽の青い小鳥だった。
学校の教科書で見た事ある知っている鳥だ。
大人になったらもっと大きくシュッとした感じになるからこの子はまだ子どもなんだろうと思う。
「ピィー…ピ…」
その小さな青い鳥はオレオルに助けてという感情を伝えて来ている。
「大丈夫だよ! 俺が君を助けてあげるから! 」
オレオルはそう言ったがその小鳥は『ちがうそうじゃない』という感情と共にどうにか立ち上がろうとオレオルの手の上でもがいている。
「ピ、ピィ〜…ピッ…」
悲しそうな鳴き声で『自分ではなく、親が危ない』といういうような感情を伝えて来た。
しかし、そこまでが限界だった様で、小鳥は力無く鳴くとそのまま力尽きてパタリと倒れてしまった。
「しっかりして!! 絶対助けてあげるから! 」
オレオルはその小鳥を助けるために慌てて【鑑定】した。
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今さらにはなりますが
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