生産チートな異世界転生者の末裔がチートな壺《錬金釜》を拾って謎の男を助けたら、それがとんでもないチート野郎で、ただの旅のはずが気づけば過去と今を行ったり来たりしながら世界救う旅になってた話
第6話 出国とBランク冒険者パーティ〈蒼い不死鳥〉
第6話 出国とBランク冒険者パーティ〈蒼い不死鳥〉
西側街門の最年長兵士に案内されて入った部屋には4人組の冒険者がいた。
「待たせたなお前達! 坊主、こいつらはBランク冒険者パーティ〈蒼い不死鳥〉の4人だ、信用できる奴らだし腕もいいから安心してくれていい」
「お前が言ってたやつか…確かに…小さいな…本当に成人してんのか? 」
オレオルは本日3回目となる成人鑑定証明書と出生記録書を取り出した。
「ん、うお!? まじだ…」
「あら、準備がいいのね」
「慣れてますね…苦労してるんでしょうね」
「っ!? ちょっと、みんな!! 見てよここ! 成人の儀担当した神官がヒルダ様!! 」
紺地に白い装飾の付いた修道服を着たヒーラーらしき女の人が興奮して叫んだ。
「ヒルダ婆ちゃんを知ってるんですか…? 」
「知ってるも何も神聖国の教皇様!! 」
会ったんだよね!? なんで知らないの!? と言わんばかりの驚愕顔でオレオルを見るヒーラーらしき修道服の女性。
「え...教皇、様? 」
ヒーラーの女の人と無言で見つめ合うこと数秒。
「すみません…知りませんでした…」
「えぇ…」
オレオルは沈黙に耐えられずにそれだけ言った。
「嘘でしょ………なんで会ったことあるのに知らないのよ…」
そう言われてもなあ。
じいちゃんが『近くにちょうど知り合いの神官が来てるから呼んだ』って…言ってただけだったんだ。
まさかそんな偉い人とは思わないって。
服も普通のシスターさん達と同じ服着てたし。
やけに周りの人が緊張してるなとは思ったけど美人な人だったからそのせいかと思ってたし、今にして思えばなんか本人がバレないように周りの人に圧かけてたっぽいし言われなきゃ気づけないよ。
というか、じいちゃんの友達がみんな有名人すぎるんだけど。
言っててよ!!じいちゃん!!! せめて手紙に書いといて!!!
俺はそんなすごいじいちゃんを助けられなくて死なせてしまったのに…
「えっと…〈蒼い不死鳥〉の皆さんはどこまで行かれるんですか? 」
オレオルは暗い思考になりそうになったのを誤魔化すようにそう聞いた。
「とりあえずここから1番近い帝国外の街まで行って、そこからどうするかは着いてから考えようと思っている」
そう答えたのは赤い髪で大剣を背負った体格のいい男だ。この冒険者パーティの前衛だろうか鎧から強い魔力を感じる。これまでのやり取りからリーダーもこの人なのかなとオレオルは思った。
「そうなんですね…俺のじいちゃんも戦争が始まるから早く帝国を出ろって言ってました」
「やっぱりそうなのか」
赤髪の剣士は祖父が亡くなったばかりでつらいだろうとオレオルの事情を察した。たとえ実年齢は成人年齢をこえていたとしても、見た目が幼く見えるオレオルを1人で国外に行かせるのは心配だったんだろうなとも思った。
「〈蒼い不死鳥〉の皆さんも戦争から逃げるため…ですか? 」
オレオルは事情を察したらしい〈蒼い不死鳥〉の4人からの視線に居心地が悪くなったのでそれから逃げる様にそう聞いた。
「そうよ私達今まではずっとこの国を拠点に冒険者やってたの…だけど、ね…」
杖を持ったローブの女性が悲しそうに言った。
「このままこの国にいるといつ東のアルゴアとの戦争に駆り出されるかわからないもんねー…」
金髪の女性がウンザリしたように言った。
紺地に白の装飾のついた修道服を着ており、強い聖属性の魔力を感じる十字架のタリスマンを首から下げ、同じ素材でつくられているように見えるブレスレットもつけている。
この国のヒーラーの武器はタリスマンか大杖が多いが、この人のブレスレットからは武器であるはずのタリスマンよりもさらに強い力を感じる。
『さすがBランク冒険者いい装備してる』という感想だけで片付けてはいけなさそうな違和感を感じる。
なぜならじいちゃんの紹介で一度だけ会ったことのあるAランク冒険者より装備がいい気がするのだ。
なんかワケありそうだな。この〈蒼い不死鳥〉ってパーティ。
「この戦争に正当な理由があるのなら国から出て行くまではしないんですけどね」
そう言うのは背中に弓矢を背負い、両腰のベルトに短剣をそれぞれさしている細身の男。
この人もヒーラーの人がつけていたブレスレット程じゃないけどいい装備してる。
「そうだよねー、戦争したがってるのってこの国と相手の国の1部の馬鹿な貴族だけだもんねー」
この国の内情を詳しく知っていただろうじいちゃんがすぐにこの国から逃げろと言うくらいにはまずいんだろうなとオレオルは感じていた。
「わたしたちは徴兵される前にこの国を出たくて出国するだけですので、それ以外の目的はないんですよ…まあ出国の手続きを通過するためにここから1番近い帝国外の街であるザリニア王国のナスハワの街までの運搬依頼を受けたのでそこまでは絶対に行かないと行けないんですが」
ザリニア王国は北の大国グランミリア王国がゴルゴン帝国との緩衝国として半ば属国化している小国だ。
そのため、ロウルの後輩がギルドマスターをしているらしいティミラの街に行くルートの途中にある。
「俺、じいちゃんの後輩って人宛に手紙を預かってるのでグランミリア王国のティミラという街の方面に行きたいんです」
「ティミラ…美しいって有名なだけあって見応えのある水上都市だったな」
「そうなんですか? 」
「大きな教会がある事でも有名よね」
「前に1度依頼で向かった時に行った〈
鸞の止まり木亭…覚えとこう。
「ありがとうございます、行ってみる事にします」
「まあ、なんにせよ…だ! グランミリア王国って事は少なくともナスハワまでは一緒だって事だな! 俺は〈蒼い不死鳥〉で前衛の大剣士をやってるアレクだ、よろしくな! 」
がたいのいい赤い髪の男がそう言ってニカッと笑った。
「よろしくお願いします、オレオルと言います…じいちゃんが素材屋だったので、採取とその加工は人よりできます! 製薬と調薬も資格とったのでできます! 鑑定も一応できるのでサポートは任せてください! 」
そう言って頭を下げると〈蒼い不死鳥〉の4人に驚かれた。
俺…成人してるんだけどな…
オレオルは微妙な気持ちになった。
「つい見た目に引きずられてたけど、成人してるんだもんね! びっくりしちゃってごめんね…え、っと…私は〈蒼い不死鳥〉でヒーラーやってるセレーナって言うんだ! たまに前衛もやってるんだよろしく! 」
前衛をやるヒーラー…?
オレオルはこれまで1度も聞いた事がなかったので気になった。
「
大剣使いのアレクより背が低く女性2人よりは背が高い黄緑色の髪の男が弓を撫でつつ言った。矢が見当たらないという事はこの人の弓も魔導武器なのか。さすがBランク冒険者パーティなだけある...のか?
「アントンは弓の方が得意なんじゃなくて、弓の方が好きなだけでしょ! 双短剣でも強いくせに何言ってんのよ…ワタシは魔法使いで後衛のリリアよ、よろしくね」
紫色のショートヘアを髪飾りで右サイドだけ留めてまとめているローブの女性がウインクした。
オレオルはリリアのつけている綺麗な紫色の魔石が付いた美しい装飾の髪飾りからも強い魔力を感じた。
紫色の魔石って事は闇属性。魔法使いって事は威力強化の魔導アクセサリーとかかな。
「はい、皆さんナスハワまでよろしくお願いします」
「おう、よろしくな」
「よろしくお願いします」
「よろしくね〜」
「よろしくお願いね」
オレオルは4人の冒険者のうしろをついて行くようにして、故郷の街をあとにした。
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お読み下さりありがとうございます!
ザリニア王国→ラ ザ(リ)ニア
ナス(ビ) ハワ
はい。ごめんなさい。
茄子好きなんです...ラザニアも美味しいですよね。
つまりはそういう事です(?)
こうでもしないと私が国とか街の名前出てこなくなりそうなので!
皆さんが覚える必要はたぶんありません…
その時向かっている目的地が分かれば十分かと思われます
↓のハートを押してくれたりすると私のやる気とモチベが爆上がりするのでぜひお気軽に押していってください!
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