私をトンデモ聖女なんて呼ぶやつは、ハゲてしまえばいいであります!

uribou

第1話

 ――――――――――セームイル王国第一王子ロデリック視点。


 王宮の政務室で書類をチェックしていたら、ちょうど筆頭護衛騎士ウィルバーが戻ってきた。


「ロデリック殿下、それは?」

「ん? 聖女ハリカからの上申書だ」


 ウィルバーの顔が胡散臭げなものとなる。


「あのトンデモ聖女の?」

「その方は聖女ハリカに対する採点が辛いな」

「聖女らしくないからです」


 聖属性魔力持ちの女性は少なく、一般に聖女と呼ばれる。

 回復や治癒などの魔法を使える有用な存在だからだ。

 中でもハリカは魔力容量がバカげて大きく、我が国唯一の公認聖女として知られている。


 注:公認聖女は聖属性魔力の有無と魔力量の大きさ、犯罪歴、国への忠誠を考慮して任命される。

 性格は加味されていない。


「それであのトンデモ聖女、今度は何を言い出したんです?」

「貧民窮民に対する炊き出しがあるだろう? あれをやめろと」

「は?」

「ウィルバーが変顔を披露したくなるのもわかる。これだけ聞くと全く聖女らしくないからな」


 いや、最後まで聞いても聖女らしくはないのだが。


「何故彼女はそんなことを言い出したのです? 暴動が起きますよ」

「いや、正確には無料炊き出しをやめろという上申書なのだ」

「同じことです。有料にしたら貧民は施しを受けられません」

「金ではなくてな。対価として魔力を奉納しろという主張なのだ」

「……なるほど?」


 聖女ハリカほどではなくても、人は皆魔力を持つ。

 古くから神への祈りを捧げるために魔力を奉納するということは行われていた。


「わからなくはないですね。食を施されているなら神に感謝しろということですか」

「違うのだ。魔道具の研究に用いるための魔力にするんだと」

「は?」

「ほら、上申書を見てみろ」


 『神などどうでもいいから』という文言が横線二本で消してある(消えてない)。

 さすがにどうでもいいは、言い過ぎだと思ったようだ。


「聖女らしくない、これっぽっちも聖女らしくない」

「まあな。しかし理屈は通っている」


 貧民窮民への施しの予算は国から出ている。

 魔力が施しへの対価であるなら、国がもらうのが筋だ。


「近年、魔道具の研究が格段に進歩しているだろう?」

「はい」


 宮廷魔道士達の基礎研究が実を結びつつあり、新奇かつ大規模な魔道具が生まれつつあるのだ。


「一方で魔道具の研究にもその使用にも、莫大な魔力を必要とする。そこで聖女ハリカは広く大衆から魔力を巻き上げることを思い付いたようだ」

「巻き上げるって……」

「上申書に書いてある」


 二本線で消してあるけれども。


「地中に魔力を流して農作物の収穫量をアップさせる魔道具の発明については、その方も聞いていると思う」

「はい、とても実用化できないほど大量の魔力を必要とするとか」

「貧民から取りたてた魔力で収穫量を高め、その分を貧民に還元すればいいだろうという理屈のようだ」

「聖女の理屈ではないでしょう!」


 うむ、どちらかというと為政者の理屈だ。


「結論としてはだ。宰相殿や宮廷魔道士長の評価が高くてな。この案は採用の運びとなるようだ」

「……」


 納得いかないような表情だな。


「これが聖女から出た案でなければ……」

「その方は聖女に夢を見過ぎではないか?」

「そうでしょうか?」

「あの聖女ハリカに何の夢を見るのだ」

「ごもっとも」


 性格で採用された聖女ではない。

 しかしその現実的なアイデア、オレは嫌いではない。

 あのちょこまか動く聖女ハリカが頭に浮かび、ふふっと笑いが出た。


          ◇


 ――――――――――聖女ハリカ視点。


「……それで? もう少し詳しく話してくださいです」

「ううっ、聖女様あ……」


 私は国からお給料をいただいている聖女ですが、懺悔を聞くのもお仕事の一つなのです。

 しかし今日は愚痴に当たってしまいましたです。

 何でも子爵令嬢シシー様が婚約破棄されそうということのようですが?

 シシー様は熱心に教会に通ってくださる方なので、可能なら力になってあげたいです。

 下世話で聖女らしくないと言われようが、こういう話は大好きなのです、はい。


「実は……」


 何々?

 婚約者の伯爵令息は浮気しているだけじゃなくて、相手が複数いるようだ?

 女の敵です!

 許せないであります!


「うちの方が家格が下ですから強くも言えず……」

「天の定めに従って罰を受けてもらうです」

「えっ?」

「そんな男は神もお許しになりませんです!」

「いや、あの……」

「シシー様はどうした決着をお望みですか? ちなみに復縁はムリです。私の聖女眼がそう予見してますです」

「聖女眼?」


 ただのカンです。

 でも不思議と外れないです。

 都合がいいのでよくそう言ってるです。


「そうですね……復縁がムリなら、穏やかでお優しい相手と結ばれたいです」

「婚約者の伯爵令息をどう料理するかについて、注文はありませんか?」

「り、料理ですか? いえ、もう他人になるのですし、特には」

「シシー様は寛大ですね」


 まあいいであります。

 あまり強烈なざまぁを食らわすと、シシー様の次のお相手を探すのに影響が出てしまいますし。


「早速調査に入りますです」

「あの、私、傷物と呼ばれてしまうと思うのですが、幸せな結婚ができるでしょうか?」

「幸せかどうかを判断するのはシシー様次第ですが、相手を選べる立場になることまでは保証するです」

「本当ですか!」


 シシー様が喜んでお帰りになりましたです。

 頑張らねば!

 えっ、自分の恋愛も頑張れって?

 余計なお世話であります!


          ◇


 ――――――――――ロデリック第一王子の筆頭護衛騎士ウィルバー視点。


「ウィルバー、聞いたぞ」

「夜会の惨劇のことですか?」

「夜会の余興のことだ」


 オールディス伯主催のパーティーで、伯の嫡男ブルーノが子爵令嬢との婚約を破棄すると高らかに宣言した事件がありました。

 それにあのトンデモ聖女が関与しているのです。


「オレは詳しい事情を知らぬのだ。大体聖女ハリカは平民の出だろう? どうして夜会に出席できる?」

「件の子爵令嬢の友人枠でらしいですよ」

「友人枠……ははあ、それでか」


 ロデリック殿下が頷く。


「大体事情を呑み込めたが、臨場感に溢れる話を聞きたい」


 思わず苦笑いです。

 殿下も物好きな。

 たまたま自分は情報収集の意味合いもあって出席していましたから。


「宴もたけなわ、ブルーノが『シシー・マーシュ子爵令嬢! 私はそなたとの婚約を破棄する』とやるわけですよ」

「ドラマチックだな」


 ブルーノが一人の令嬢を腕に抱え婚約破棄宣言した時、控え室より現れた数人の令嬢から文句と悲鳴と怨嗟の声が上がったのです。

 彼女達はいずれも本来ならばパーティーの招待状を送られていない、しかしブルーノと情を通じていた者達でした。


「皆その婚約破棄された子爵令嬢の友人扱いで出席していたんだな?」

「そうです。ひどい話でしょう?」


 阿鼻叫喚でしたよ。

 ブルーノも主役のつもりだったでしょうに、とんだ道化役に転落です。

 いい気味ではありますが。

 

「面白いパーティーに参加できてよかったな。で?」

「あのトンデモ聖女の策略なのです!」

「さもありなん」


 どうやら婚約破棄宣言の時に抱えていた令嬢がブルーノの本命で、その他の女性は婚約者もろとも切り捨てるつもりだったと思われます。

 ところが『私を愛しているって言ってくれたのに!』『浮気なんてひどいわ!』『騙してたのね、きーっ!』という有様でした。

 ブルーノは予定外の事態にアワアワ。


「自業自得だ」

「そうなのですけれども」


 そこへ得意げにトンデモ聖女登場。

 伯の嫡男の非を鳴らし、証人は大勢いる、多額の慰謝料を要求すると。


「婚約破棄された子爵令嬢が可哀そうでしたよ。身の置き所もなさそうで」

「いや、そんなことはないな」

「傷口を広げただけですよ?」


 ただでさえ傷物令嬢と呼ばれてしまうでしょうに、あそこまで大事件になってしまっては、人々の記憶からも消えなくなってしまいます。

 可愛らしい令嬢でありますのに。


「一方的に婚約破棄されるより、反撃できた方が痛快に決まってる」

「それはそうかもしれませんが……」

「その方の聖女ハリカに対する評価は低いようだが、一般にはそうではない。聖女ハリカが骨を折ってくれるほどの友人となれば、その子爵令嬢を見る周囲の目は確実に変わる」


 さすがロデリック殿下の見方は違いますね。

 しかし……。


「……殿下の聖女ハリカを見る目は甘くありませんか?」

「ハハッ、合理的で勧善懲悪、興味はあるな」


 愉快そうに殿下が笑います。

 今までに殿下が興味を示した女性なんていたか?

 記憶にないですけれども。


 まてよ? 殿下は有能でよく働く者を好む傾向があるな。

 女性に対してもそうなのか?

 ……まさか殿下がトンデモ聖女ハリカを?

 いやいや、そんな……。


          ◇


 ――――――――――ロデリック第一王子視点。


 輜重隊に同行してポクポクと戦地に赴く。

 隣国ゲルガザが急に攻め入ってきたのだ。


「殿下、国内だからって気を抜いてちゃいけませんよ。輜重隊が襲われるのなんてよくあることなんですから」

「わかっている」


 ゲルガザが経済政策の失敗と内乱で危機的状況なのは知っていた。

 しかしまさか我が国に攻めてくるとは。


「国内の不満から民の目を逸らすために戦争に打って出たんでしょうね」

「狂人の発想だ」


 ゲルガザ王もセームイル遠征で得るものがなければ、国が持たないことは理解しているだろう。

 なりふり構わず来る。

 長期戦になれば物資に余裕のある我が国の勝ちだ。

 逆に平和が続いたセームイルは実戦経験のある者がほとんどいない。

 ゲルガザ軍は絶対に短期決戦に持ち込もうとするが……。


「トンデモ聖女がいい働きをしているそうじゃないですか」

「ほう、聖女ハリカ嫌いのウィルバーも認めるんだな」

「正当な働きを認めないほど自分は狭量じゃありませんよ」


 少々憮然とした表情のウィルバーがおかしい。

 聖女ハリカは回復魔法を期待されて従軍している。

 何でも自分から志願したらしい。

 会うのが楽しみだな。


「聖女がいることで前線の士気が上がっているそうじゃないか」

「そうですね……」

「ん? 問題でもあるのか?」

「殿下のところに入ってる報告はそれだけですか?」

「多くの捕虜を得ているとも書かれていたぞ」

「まあそうなんですが……」


 随分歯切れが悪いな。

 どうした?


「いえ、自分も騎士団の方でチラッと聞いただけなんですけどね」

「ああ、交代要員からの情報か」

「トンデモ聖女が捕虜を洗脳してるそうなんですよ」

「は?」


 洗脳?

 意味がわからない。


「その他にも……ああ、見えてきましたね」


 畑が広がる。

 戦争中の国境の砦には到底見えない、牧歌的な風景だな。


「スイハは砦だけ大きい、国境の寒村だと思っていた。ずいぶん大きい町なんだな」

「大きくないですよ」

「しかしこれだけ畑が広がっているじゃないか。農夫もかなりいるようだし」

「……おそらくですけど、あれ捕虜ですよ」

「は?」


 捕虜?

 野放しじゃないか。


「洗脳しているらしいですから」

「洗脳万能だな。聖女ってそういう能力を持つものなのか?」

「さあ? 自分は知りませんけれども」


 まあいい。

 聞けばわかるだろう。

 スイハの砦に入城だ。


          ◇


 ――――――――――聖女ハリカ視点。 


 何とビックリです。

 輜重隊を率いてロデリック第一王子殿下がこんなド田舎まで督戦にいらっしゃったです。

 麗しいお方がいるとドキドキするです。


「想定以上の戦果を上げていると聞いた。デクスター司令官、説明せよ」


 デクスターさんはセームイル王国随一の将軍で、今回の防衛戦では司令官を務めているです。


「は、しかし小競り合い以上の戦闘になっていないのです。大きな戦闘を予定しているようにも思えませんな」

「む? ゲルガザは何を考えているのだ。彼の国の事情を鑑みれば、早期に決戦に持ち込まねばならぬであろうに」

「未だ我が軍の人員の損失はありません」

「その割にかなり捕虜が多いようだが?」

「戦争の常識を超えておるのです。詳しくは聖女殿の口から聞いていただけると」


 きた。

 麗しのロデリック殿下にしっかり説明せねばならんです。

 破壊力の高い笑みを見せて殿下が言うです


「聖女ハリカよ。説明を願おう」

「はい、最初自暴自棄にも見える攻撃を仕掛けてきた小部隊があったです。落とし穴に落ちてもがいていたところを捕えて説得したです」


 我がセームイル王国は平和主義者ですので、戦争に自信はありません。

 ですからあなた達を盾にするです。

 我々が負ける時は盾であるあなた達が全員殺された時です。

 逆に我々が勝てば、あなた達を殺したりはしないです。

 どちらが勝つとあなた達が嬉しいか、理解できますね?


 言い草がひどいと呟いた、殿下の従者は無視するです。


「ふむ、それで?」

「捕虜の皆さんに回復魔法をかけて御飯をたっぷり食べさせてやったら懐いたです」

「捕虜に聞き取り調査を行ったところでは、ゲルガザの食料事情は相当劣悪ですな」

「ふむ? ゲルガザが不作ということは聞いておらんが」

「買い占めで流通が機能していないと思われます」


 もうゲルガザは末期であります。


「で、捕虜達によく言い聞かせて解放したです」

「せっかくの捕虜を解放したら損ではないか?」

「そんなことないであります。もう彼らは戦う気もないですし、その空気が蔓延して敵軍の士気が落ちれば万々歳。そうでなくとも敵の兵糧を食い潰してくれれば十分です」

「なるほど」


 聖女の考え方じゃないと呟いた、殿下の従者は無視するです。


「実に意外なことに、捕虜達は戻ってきたのです。大勢の仲間を引き連れて」

「私の薫陶の賜物であります」

「それでその捕虜達は?」

「聖女眼によるとゲルガザはすでに国家の体をなしていない。戦うだけバカバカしいから投降しなさいと、よおく言い聞かせたです。その上で半数を耕作に従事させ、もう半数を諜者として放ったです」

「……砦の外の畑は?」

「捕虜の皆さんが開拓したものです。私が祝福すれば成長促進できますです。収穫までがとても早いです」


 そうした祝福の使い方は、宮廷魔道士さんに教えてもらったです。

 一方で農作物促成栽培用の魔道具開発にも協力したです。


「即席の畑だったとは気付かなかった」

「食べ物が足りなくなるとよろしくないですから、どんどん畑を拡張したです」

「投降者がやたらと増えたのですな。現在ではこのスイハを中心に経済圏ができ上がりつつありますぞ」

「ああ、それほどゲルガザでは物資が手に入らないのか」

「地図を見てくだされ。最早ゲルガザの東一〇分の一は我がセームイル領と言っても差し支えないです。諸侯の中には我が軍と秘密裏に不戦を約した者、さらにはゲルガザ征服後に所領安堵を求めている者もいます」

「私の聖女眼によるとそれらは誤魔化しではないです。ゲルガザを見限っての行動であります」


 殿下はどう考えるでありましょうか?

 うはー、実に凛々しいお顔でありますね。


「ふむ、スイハに来るまでは我が軍優勢、防衛成功でゲルガザの自壊を待てばよいと考えていたのだ」

「決して間違いではありませんが……」

「もうとっととゲルガザの息の根を止めた方がいいです」


 ゲルガザは遅かれ早かれ潰れるです。

 それなら素早く征服した方が苦しむ人が少なくてすみますし、その後の統治も楽です。


 身も蓋もないと呟いた、殿下の従者は無視するです。


「よくわかった。デクスター、王都から文官を呼べ。スイハを政治的な処理を行う基地とせよ。さらに輜重の手配を頼む」

「はっ!」

「聖女殿はスイハを農業生産地として整備してくれ」

「わかったです!」

「オレが諸侯の軍を吸収しつつゲルガザの首都バルジに進撃する。む? ウィルバーどうした。回復魔法だけが聖女殿の仕事ではないぞ?」


          ◇


 ――――――――――ロデリック第一王子視点。


 ゲルガザの首都バルジはあっけなく陥落した。

 途中もほぼ戦闘状態になることがなかった。

 ゲルガザ王家の面々も素直に投降してきたので、我が国を攻めようとした罪はあるものの、領地を持たない貴族として遇することにした。

 飼い殺しとも言う。


 ゲルガザはセームイルに併合されることになった。

 我が国とは制度上の違いがあるので、バルジに弁務官事務所を置き、旧ゲルガザ領ではその法制度を踏襲。

 原則的にゲルガザの旧諸侯はそのままセームイル貴族と認めた。

 いずれ征服者たるオレが王となった時、制度も統一し真の併合となるのだろう。


「お招きいただきありがとうございますです」

「やあ、聖女殿、ようこそ」


 聖女ハリカを王宮の一室に迎えた。

 聖女ハリカはいつも飄々とした雰囲気を感じるが、今日は少し緊張しているのかな?


「聖女殿を呼び立てたのは他でもない。実はオレも妃を定めなくてはならなくてな」

「はい」

「どうであろう? オレの婚約者になってくれぬか?」


 本来平民出の聖女ハリカを妃とする目はなかった。

 しかしゲルガザの征服が状況を変えた。

 元来のセームイル貴族から妃を迎えると、旧ゲルガザを軽視しているように見える。

 といって併合から間が空いていない今、旧ゲルガザから妃を取るのも必要以上に戦勝国セームイルが下手に出ているようでおかしい。


 そこで急浮上したのが聖女ハリカを妃とする案だ。

 ウィルバーは聖女らしくないと嫌っているが、裏を返せば現実的な感覚を持っているということだ。

 元より聖属性魔法については当代一の実力者であるし、ゲルガザ遠征の大功労者の一人である。

 不要な犠牲者が出なかったのは聖女ハリカのおかげとして、旧ゲルガザからのウケもいい。

 何よりクルクル動き回る様が実に好感持てる。


「殿下のお嫁さんにしてくれるですか? 嬉しいです! ありがとうございますです!」

「いけません!」


 ウィルバー?


「ロデリック殿下、御再考ください。トンデモ聖女は聖女らしくないです。ゲスです。いつか殿下の足を引っ張ります!」

「家来の分際で何を言うですか! ハゲる呪いをかけてやります!」

「ほら殿下、呪いとか言ってますよ。こんなのはダメです! 自分は反対します!」

「こんなのとは何でありますか! 許さんであります!」


 ハハッ、聖女ハリカの硬さが完全に取れたな。

 ウィルバーと本音で語り合えているようで何より。

 オレにとってウィルバーも聖女ハリカも大事なのだ。

 充分やり合ってくれ。


 ウィルバーは知らないが、聖女ハリカをオレの妃とすることは、既に父陛下の了解も得られているから決定だ。

 キャンキャン喚く聖女ハリカは、子犬のように可愛いな。

 まことに微笑ましい。

 いつまでも眺めていられるなあ、と思った。

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