Side音奏2* 最強のカレシ
「きゃ〜! 英介くんってばカッコ良すぎるよ〜!」
私は新しい住居のタワーマンションから都内を一望しながら思う。小さい頃は豪勢な暮らし=堅苦しい生活だと思っていたけど……ここはすごく自由で優しくて大好きな場所だ。
「シバちゃん、英介くん遅いね」
「英介、音奏のために色々買ってるとおもうゾ」
まんまるちんまりのシバちゃんを抱っこしてちょっと歩いてみる。足の間と腰がズキズキと痛む。高校生の時、友達はみんな初体験のあと「痛い」とか「辛い」とか言ってたっけ。
私も話を合わせて、年上の彼氏がいることにしてたけど……ちゃんと好きな人のために取っておいてよかったなぁ。
「音奏大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
「懐かしいなぁ……」
「シバちゃん?」
「あのな、英介の親父と母ちゃん」
なんでお母さんだけ母ちゃんなんだろ? 可愛いなぁ、シバちゃんは。
「そうなの?」
「そう、母ちゃんもこうやって痛がってたから。へへへ、性格まで音奏に似てるんだゼ。まぁ、親父の方は英介より不良だったけど」
「英介くんのお父さん、不良だったの?」
「そうだぜ、だって母ちゃん言ってたもん。いつまでも不良少年のまんま、けどそこが好きなんだ〜ってさ。おもしれーの」
シバちゃんがケケケと笑った。確か、英介くんのお父さんはダンジョンで亡くなっていて……その経験から英介くんは無理して仕事を続けてたんだっけ。そういう変に真面目なところが英介くんのいいところなんだけどね。
「そっかぁ、いつか英介くんのお母さんに会いたいなぁ」
「絶対喜ぶゾ。だって音奏と母ちゃん似てるもん」
「そう?」
「そう、だって母ちゃんも親父の家に無理やり入ってきて住んだしな!」
「ははは、まじで流れ一緒じゃんね?」
「一緒だな、んで英介がほどなくして生まれたってワケよ。そりゃ〜、オレがもうふわふわふかふかの毛皮で温めて〜面倒みてさぁ〜」
シバちゃんの自慢話を聞きながら私は心底幸せだと思う。だって、英介くんがいなかったら私はあのダンジョンでとっくに死んじゃってて、こんな思いできなかったのに……さらには幸せにしてくれるって言ってたんだもん。
「ふふふ、いつかそうなるといいね」
「オレ、ずっと人間と一緒にいたいんだ。人間好きだからさ。ほらドッグフードうまいし、それにみんなオレをみるとなでなでしてくれるだろ?」
「そうだねぇ〜、シバちゃん最強に可愛いもん!」
「へへへ、可愛いだろ?」
くわっ、とシバちゃんがあくびをする。小さくなるとすぐに眠くなっちゃうのかな?
「お部屋いく?」
「ん……日向ぼっこがいい」
シバちゃんは私の腕の中からぴょいっと飛び出すとお部屋の中で日当たりの良いカーテンの向こうへと入っていった。いいなぁ、私もテイムモンスターほしいなぁ。
でも、今は最強のカレシと一緒にいるんだもん。わがままはやめよ。
「英介くんまだかなぁ〜、今日は一緒にお風呂入って〜それから一緒に料理して〜、イチャイチャして〜。ふふふ、配信者は毎日一緒にいれるもんね! 最強!」
"***あとがき***
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