虚像への恋
しき
出会い
ガチャリ
重く感じるドアノブを回して長い
兄、
「中学生特有のアレで高校生になれば自然に大人しくなるでしょう」
と母は言っていたが
それからこの部屋はしばらくは家の中では禁断の開かずの
部屋は
「今日から俺の部屋だけど全然、実感がわかないなー」
作業も終わりそう独り言を呟きながらベッドに倒れ込む。部屋に返事を返す人物はいない。そもそも母親も仕事で家にいない。今、家に居るのは春休みという中学入学までの短いモラトリアムを無駄に消費している自分だけのはずだった…
「まぁ、それは
「えっ!」
予想外の返答に驚き起き上がり、その声の方向を見る。そこには自分と十代から二十代の少女が立っていた。それも
「わっ!」
俺は驚いて勢いよく
「ははは、驚かせてしまったか。ごめん、ごめん。弟君」
目の前の美少女はその様子を見て
「えっ、誰?どこから入ってきた?」
「そこの窓から」
見ると確かに窓が空いている。完全なる不法侵入。しかもここ二階。何やっているんだこの
「始めまして弟君。ボクの名前は
「助手?意味が分からないんだけどストーカーの間違いでは?」
混乱している俺をよそに淡々と喋る彼女。俺は頭が追いつかず、口調が荒くなる。
「ストーカーとか酷いなー。僕は
「そんな話し一度も聞いた事がないぞ。嘘をつくならもう少しマシなのを考えろよな」
「嘘じゃないもん。まぁ、ボク達が解決してきた事件は『首狩り事』を含めて世に真相が出せない様なモノだったから
『首狩り事件』それは確かに
「冗談にしては度が過ぎていないか?」
「嘘でも冗談でもないもん。ボクと『首狩り事件』を追っている最中にこの事件の確信を
『首狩り事件』とはこの町で起きている事件で犯人は捕まっておらず、
ちなみに無くなったの被害者の頭部は未だに誰一人として見つかっていない。
この様な奇怪な事件にも関わらず、証拠や有力な情報が一切無く警察が苦戦を強いられていることからオカルト界隈でも様々な憶測が飛び交っている。
当然、兄の
なのでこのイカれている女の言っている事は一様は筋が通っているが、良く作り込まれた妄言だと考えるのが妥当な所である。
早々に追い出すか警察に突き出すのが真っ当な判断だろう。しかし…
「お前と
「警察に言っても無駄だからさ。警察は人間の常識の中での事件のスペシャリストだけど人外の非常識な事件には対応できない。妄言と思われるだけさ」
今まさに俺も妄言だと思っているのだが、ここまで来たら毒を食らわば皿までだ。
「お前の話を
「そうだよ。まぁ、正しくは未確認の宇宙生命だけど。
「宇宙人かよ。
「はぁ~面倒臭いなー弟君は。あまりやりたくなかったけど仕方ない。百聞は一見にしかずだ。あまり驚かないでくれよ。いいかい、ボクの右手に注目してくれ」
そう言って彼女は俺の前に右手を広げて見せた
「何だ?手品でも見せてくれるのか?そんなモノで俺は誤魔化されはしない…えっ」
ポトッ
彼女の右手だったモノが体から離れて地面に落ちる。地面に落ちたソレは見る見るうちに
「ドウ?コレデハナシヲキクキニナッタ?」
と不気味な声を発した。
「ば…」
俺は化物と叫び声を上げようとした瞬間に何かで口を塞がれた。見ると彼女の腕が伸び、まるでロープの様な形状になって俺の顔に巻き付いていた。
「ダメだよ叫んだりなんかしたら。驚いて殺しちゃうかもしれない。落ち着いたら静かに首を縦に振ってね」
何なんだよこれは!思考が追いつかない。いや、理解出来るはずが無い。コイツは正真正銘の化物だ。とりあえず今はコイツの機嫌を損なわない様にするのが最優先だ。でないとマジで殺されかねない。
俺はゆっくりと首を縦に振った。
ロープ状になっていた腕が元の人間の手に戻っていく。地面に落ちた黒色の粘液の塊も彼女の体をよじ登って元の位置に戻り、再び人間の手となった。
こんな光景を目にしてしまってはもう言葉が出なくなってしまった。
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