第13話_解決

_ジジッ……


『なぁ?お前のとこの妹俺にくれねぇか?』

『は、はぁ!?ふふざけるな!』


「おぉとぉ?出だしからなんかやばい事になってないか?」

「すごいよな?俺これ撮った時ナイスタイミングじゃね?って思ったわ」


『なぁささくれさん、俺はお前より強いんだ。分かるだろ?』

『んなこtぐぁ!?』

『なぁ?分かるよなぁ?』


メキメキという音が辺りに響き、それから数秒後にピピピッと機械音が鳴った。


『おっす〜こっちは今脅しの真っ只中だぜぇ?そっちはどうよ?』

『っ』


メキメキからついにボキッと音が鳴り男の苦痛の声が響く


『お、そっちも真っ只中か!羨ましいなぁおい?動画俺にもよこせよ?』


「なぁ、なんか俺嫌な予感がするんだが?」

「それ正解」


『そうそう、妹さんの記念日をお兄さんも祝わねぇとなぁ?スピーカーにすっからじっくり聞けよ?』


「っ!なぁ、こいつ殺っていいか?」

「落ち着けバカが、おいつらには相当の罰をやる予定なんだ」

「胸糞悪ぃな!」


流れてきたのは卑猥な音と声、そしてクズな男どもの笑い声と助けを求める掠れた女の子ほどの声だった。


『あぁ、こんの!このクズ野郎がァァ!!』

『あちょ、そこに湧くのは卑怯じゃね?(小声)』

『ハハハッ!どこ狙ってんだぁ?お兄さんよぉ!』

『ゴフッ!?』

『イヤァ!あの狼の眼光がこっち向いてるぅ!(小声)』

『オラオラオラオラッ!やり返してみろや!』

『あら、まだ楽しんでいたの?』

『おいなんでそんなゆっくりと寄ってくるんだよ?(小声)』

『あぁ?チッおめぇか、そっちはすぐ終わるよな?もっと楽しもうとは思わねぇのか?』

『怖いかって?怖いな!あ、そうだ擦り付けよう。(小声)』

『何言ってるのよ!悲願するも残虐にやられる時の絶望感がたまらないんじゃない!分かってないわねぇ』

『分かりたくねぇっての』

『は?おい…め、メグは?あいつは?』


震える男の声、笑う男と女の声


『ふふ、素敵な肉のオブジェになってくれたわ』

『よし!い、行くぞ!(小声)』

『あぁぁぁぁ…!!』


「ほんっと、胸糞悪ぃんだけどお前、ちっと黙っとけよ!」

「いや、恐怖でなんか言ってないとあれだったんだよ!あとよ、あの後女の方が気になって目星をつけたところに行ったんだ、やっぱり手遅れだったがな…どんなか言ってやろうか?」

「いやいい…それを聞いてどうする?どうすることも出来ないだろ」

「…そうだな」


カチッと再生ボタンを切りその後どうなったのかを聞いた。


「あぁ、結局男は死んだのか」

「めためたになその後モンスターが湧くし俺もこれ以上見てられなかったから力を使って止めたんだ」

「んで、貴重なアイテムで帰還した男はこのアイテムを取り戻したくて依頼しようとあそこにってことか」


そう言って俺は渡された杖を見た。


子賢樹こけんじゅの指輪

物理攻撃1.5%カット

賢者が生み出したとされる樹木の小分けされた木から作られた指輪


「たかが1.5って取り戻しに来たいほどのアイテムかねぇ?」

「何言ってんだ?そういうのは少しでもあっと方が安心度が違うんだよ」

「そういうもんか?」

「あぁ、そういうもんだ」


そうして俺たちは地上に戻りムノがギルドに入っていった時だった。


「おい!お前っ!それは俺のアイテムだぞ!返せ!」

「はぁ?なんだいきなり」


指輪を指さしながら怒った表情で男はズカズカと近ずいてきた。


「返せっ!」

「うおっと危ない、何もぶんどろうとしなくても良いだろうに」

「うるせぇ!」

「なんの騒ぎだよ…?ってお前か」


録音した証拠といろいろを提出しに行っていたムノは扉を開け騒いでいる男を見るやいなや冷たい目をしながらそう言った。


「な!お前はあの時の野郎!何でここにいんだ!」

「居ちゃ悪いか?まぁ良い、手間が省けた。」


ムノのその言葉と同時に制圧隊(警察みたいなもの)がギルドから複数人出てきた。


「へへってめぇを捕まえに来たヤツらだろ?お前は人殺しだもんなぁ?」

「何を言っている?捕まえられるのはお前だ」

「あ?ってなんで俺なんだ!離しやがれ!」

「抵抗するな!抵抗するなら物理での執行も許可が降りている!このクズめ!」

「なんの事だ!?証拠、証拠がねぇだろ!?」


頑なに認めない男に鎮圧隊の1人が証拠だろう紙を男にみせた。


「性的暴行、ダンジョン内での殺人、不法侵入やその他もろもろ…派手にやってるな?」

「どうしてだ…!?証拠は能力でっ!」

「ほぅ?能力ねぇ?」

「っ」

「連れてけ!」

「「ハッ!」」


連れていかれる男の前に俺は無言で立ち、進行を塞いだ


「…なんだ君は?邪魔をすなら君も」

「しないさ…ただそいつに数発決めたいだけだ。さっき物理の許可が降りてるって言ってたよな?やっても良いか?」

「何をふざけたことを」

「良いぞ。」

「な、隊長!?良いのですか!?」

「喋れるくらいに留めてくれよ?俺もな…1発こいつに入れたかったんだ。私欲だがな」

「ありがとうございます。」


俺は何故かにやにやとするゴミにまず最初腹蹴りを決めた。


「グハッ!?な、なんで?」

「能力で威力を無くせるとでも思ったか?残念だったな?さっきのはあの男の分だ」


次に背中、


「グゥ!」

「妹さんの分そして、」


脳天に向けて肘を勢いよく落とした。


「男の彼女さんかね?その女性の分だ」

「スッキリしたか?」

「あぁ、自己満だがとりあえず」

「よし、連れてけ!」


男は痛がりながらもぽつりと言葉をこぼした。


「くそっなんで俺がこんな目に会うんだよ…」

「因果応報、当然の報いだ」

「チッ」


そうして男は制圧隊と一緒に去っていった。


「んでさ?ムノはなんでダンジョンにいたんだ?」

「え?あー…?はっ!思い出した!ちょっと俺行くところがa」

「無能さん?どこへ向こうというのかね?」

「バルス」

「どこにもいないと思っていたら転移魔法陣を使ってダンジョンに行っていたとは…」

「そ、そうだな!じゃ!(スルーされた…)」


逃げ出そうとするムノの腕をギルドから出てきた男性が掴んだ。


「HA☆NA☆SE」

「書類をあれほど溜め込んだのが悪いんです。ほら行きますよ

「いやだぁぁぁ!は!莉久た、助けてくれ!」

「こっちもか…自業自得ってやつだな。潔く仕事してこい」

「あーーー!!」

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