目が覚めたら悪役貴族に転生していた。死にたくないから必死に生きる

ありすの鏡

第1話 ありきたりだけど僕は転生したようです。

「・・・・ーツ様」


一体だれ?こんなに気分よく眠っているのに起こしてくるのは


「・・・・ノーツ様」


ノーツ?変わった名前だな、まるで音ゲーの世界の住民のようだ


「アルノーツ様」


アルノーツ・・・?どこかで聞いたことあるような・・・

そう、俺が昔どこかで聞いたり見たりしたような個人名、苦しめられた記憶すらある気がしてままならないが一体どこで?


「アルノーツ様、いつまで就寝されるおつもりですか?

今日はお父上様から誕生日のプレゼントを貰えると昨晩お喜びになっていたではございませんか?」


誕生日プレゼント?・・・あーそういえば何がもらえるんだっけ、思い出せない。


「あと五分だけ・・・」


「いい加減に、起きてください!!」


そういって僕に掛けてあったシーツを誰かもわからない女性に取られてしまう・・・仕方がない、ここは素直に従おう


「うぅ・・・そういえば誕生日プレゼントって何だっけ?」


眠さに耐えきれず半分落ちかけている眼をこすりながら侍女に聞く


「もうお忘れですか?本日から魔法の訓練が始まると嬉しそうにおっしゃっていましたのに」


魔法!!俺はその言葉に反応するように眠気が吹き飛んでいった


「それで!!どこにあるの?!」


「すでに待機させております、入らせますか?」


ん?もう来てるの?この言い方からしてどうやら物というよりも者のようだ。

もしかして魔法を教えてくれる先生とか?


「うむ、シンディぜひ入ってもらえ」


「かしこまりました、ですがその前に身だしなみを整えてからになります、その爆発した髪の毛では外に出られないでしょう。」


「あとでそんなのは治せるからさ・・・早く連れてきてよ」


たまにではあるが自分から発していると思えない時がある、まるでオートプレイのような、まるですでに決められた村人1が話すかのように決められた文章を発している気分になる。


「かしこまりました・・・ここからは独り言ですがアルノーツ様、流石にご趣味が悪く思います。」


一体なんの事?なんか人には言えないようなものをお願いしちゃったのかな?


「さすがにあそこまでする人間はいないと私は思います・・・お父上様のあの苦笑した顔は今でもはっきりと思い出せます。正直私もどうかと思いますが、どうしても、どうしてもよろしいのですね?」


「・・・僕に向けていたら正直シンディ、君は別の仕事に回ってもらってたところだったぞ・・・二度は言わないぞ?、通せ」


正直僕には何を心配されているのかわからない、お父様にプレゼントをねだった。

ただそれだけのことで何をそんなに言うつもりなのだろうか。


「・・・かしこまりました、では少々お待ちください」


オートプレイから発した言葉が気に食わなかったのか冷たい目線を向けながら部屋を後にしていった


心臓が脈打つのが分かる、これはアルノーツの気持ちなのだろうか。

そうか、君は今日貰えるプレゼントがそんなに嬉しかったのか?それで寝坊助さんを決めたと、子供だなぁ・・・確かにそんなこと俺にもあった。

あの時クリスマスでお願いをしたゲームカセット、懐かしいなぁ。


あれどこにしまってあったっけ?実家に帰ってひっくり返すかぁ・・・ん?でも俺はアルノーツって名前じゃあなかった気がするぞ?俺はれっきとした日本人だしミドルネームがあるわけでもないし・・・


もう一度思い出せ・・・アルノーツ・・・


アルノーツ・・・


そんなおりに扉からノックの音が聞こえる。


「アルノーツ様、例の者を届けに参りました」


「うむ、ぜひ入ってくれ」


アルノーツ・・・悪役で確かそんな名前のやついた気がしなくもないな?


「失礼します」


と言葉と同時に入ってくるシンディの手は当然片方の手はドアノブを握っているが毛う一つの手には鎖を握っていた。


そして鎖の先には金髪の背丈は僕と変わらないであろう女の子が入ってきた。

その時心臓が一瞬だけ力強く脈打ったのは言うまでもない。


(まて、金髪・・・グラフィック・・・アルノーツ?)


もう少しで、喉元まで来ている、わからないことが分かりそうになる瞬間


「こちらの少女がお父上様からのプレゼントになります」


プレゼント?人が?普通は物とかだろう?何言ってんだ?

いやまて、確か悪役で少女をプレゼントに貰ったやつが一人いたぞ?

確か・・・



「ふむ、お前が僕の的になる従者だな?・・・あぁ答えなくてよい、的に言葉は必要ないだろう?」


何言ってるんだ俺?さすがに言いすぎではないか?

でもこの言葉は俺の言葉じゃあないしオートプレイで出た発言でこれがシナリオ通りに出てくる言葉なら酷すぎないか?


「シンディ、どうなのだ?」


「・・・その通りでございます、いつから始められるかは・・・」


思い出してきた、アルノーツは確か俺が最初に買ってもらったゲームの悪役でラスボス手前でモンスターに変身させられるやつだったけか。


それで主人公の説得で改心をしかけてる最中にラスボスが出てきて、そこから変身させられて強制戦闘で・・・初見プレイはたしか回復もなしで戦闘させられたからきつかったっけ。


確かそれで最後に言った言葉が


「ミール・・・」


鎖でつながれた少女が一瞬だけ身震いしている


ミールにすまなかったと伝えてくれ


たしかアルノーツの遺言がそうだった気がする。


確かグラフィックは用意されていなかったけど居た気がする。

アルノーツの部屋に行くと片隅で震えている少女が

「もう、終わらせてください」

とだけ呟いて、何度も押してもこのワードしかしゃべらなくてそれで何度か出入りすると少女は消えていて、


少女がいたところには果物ナイフだけが落ちていて子供時は分からなかったけど大人になって思う、そういうことなのだろう。


アルノーツ・・・そうだ、思い出した。


「この少女があなたの魔法を受け止める的になります」


僕は、俺はアルノーツとして転生して、俺が悪役として主人公の前に立ちはだかる・・・ってこと?!


俺はよくあるゲームのオートプレイボタンを解除するように震えた、絞り切ったカスのような声でシンディというメイドに問いかけた。


「く、クーリングオフってできないかな?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る