現世で燃え尽きた男性、異世界で熱く体をたぎらせる

荒川馳夫

まえがき 登場人物

 ある日のこと。私に連絡がありました。


「僕がいる世界のことを伝えてくれませんか」


「どうして?」と私が尋ねると、


「僕や、僕に関わりのあった人たちの事を知ってほしいからです」


 ああ、なるほど。


 親しい人から名前や共に過ごした思い出が忘れられるのは、悲しくてならない。「僕」は読者の皆様に自分の事を覚えていてもらいたいようです。


 そこで私は決意したのです。「僕」のいる世界に関する聞き取りをして、彼が訪れた世界についての詳細を記そうと。


◇ ◇ ◇


 初めに人物紹介。「僕」と重要人物だけを抜粋します。最低限、彼らの動向を追うことで話を理解できるでしょう。


「僕」


 名はフェリクス。ある人に付けられた二つ目の名前だそう。困っている人、悲しい顔をしている人をほおっておけない性格の持ち主。


 現世から異世界に行ってみると何やら不思議な力に目覚めたようですが、それが原因で大きな過ちを犯してしまったのだそう。


 なお、新たな肉体は「とても可愛らしい」のだそうです。


スザンナ


 二十歳の女性。居酒屋の経営者で、常連客と頻繁に語らっている。何か隠し事をしているようです。


 フェリクス曰く「きれいで面倒見の良いお姉さん」とのこと。


レオナ


 二五歳の長い金髪が印象的なエルフ。エルフの故郷である森から遠く離れた、ドワーフの国に居候させてもらっている。


 フェリクス曰く「言葉遣いは荒いが、感情豊かで根は良い方」とのこと。


ゴルム


 ドワーフの国を治める老王。楽観的な気質の同胞をまとめ守ることに苦心している。レオナを自国に置いて庇護している。


 フェリクス曰く「一見怖そうな方だが、根は優しいお方」とのこと。


皇帝


 本名は本文の御一読を。フェリクスがいる世界で最大の勢力を誇る帝国の最高権力者。大勢の護衛に囲まれながら姿を見せる様は圧巻だったそう。話が進むにつれ、彼の境遇、及び世界の闇が少しづつ明らかに……。


 フェリクス曰く「自分よりもお若いけれど、立派なお人」とのこと。


ティグラス


 とある国の王。偶然にもフェリクスと遭遇して、以後しばらくは彼を宮殿に居候させる。普段は優しいが、ある事柄に話題が及ぶと正気を失うことがある。何か彼の心を悩ませる事情があるようだが……。


 フェリクス曰く「深い闇を抱えている孤独なお人」とのこと。

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