第11話決着
気合いを入れ直し体を奮い立たせる。だからといって冷静さは失わない。
こちらが動くのは次に相手が攻撃を開始する瞬間だ。相手が撃ってくるのは水、幸いこちらには火属性魔法がある。高温を水にぶつけ水蒸気爆発を起こし相手のスライムボディになるべくダメージを与える。隙ができた瞬間に一気に近づき攻撃を叩き込もう。
準備を始める。ファイアボールを発動して、一つ一つを最高温にしておく。こいつが上手くいってくれないとこの戦いに勝つことは不可能だ。こいつが最初のトリガーだからな。
「今だ…………」
発射される瞬間を見極める。速く……もっと速く…………! 限界を超えたスピードで魔法を飛ばす。
攻撃と攻撃がぶつかり合うと同時に、爆風と轟音で鼓膜は破れ、視界も奪われる。
――これは何の感覚なのだろうか……。視界も儘ならない、音も聞こえないはずなのだが、はっきりと相手の位置、周囲の状況を感じられている。ピンチを乗り越え強くなる…………まるで主人公じゃないか……。
スライムに向かい一直線に走り出す。こちらに気付く様子はなく、隙だらけだ。
「ここだぁっ!!」
外殻に銃口を突き付け引き金を引く。至近距離の最高火力のため、衝撃に耐えられなかったスライムボディが抉られる。
自分の体を土魔法でどうにか押さえつけ、飛ばされないようにする。抉った部分に更に銃口をねじ込んで核に銃を近付ける。
――その瞬間、身の危険を感じたのか、スライムが暴れだし姿がどんどん変形していく。それはまるでキメラのように……いろいろな生物の特徴がスライムボディに再現されていく。
しかし俺に焦りはない……。
「さすがに……本気を出すのが遅すぎるんだよっっっ!!」
相手が完全に調子を取り戻す前に、引き金を引く。体を支えきれない程の衝撃が走り、吹き飛ばされる。
体全体が悲鳴をあげている。もはや痛みすら感じなくなってきた……。使いものにならなくなった足を立たせ、スライムの様子を伺う。
そこには動かなくなったスライムと爆発で出来上がったクレーター、綺麗だったはずの自然、ただただ漠然とした静寂に包み込まれているだけだった…………。
「勝った……! 勝ったぞぉ……お………」
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