魔王ちゃんはFPSゲームで勝ちたい!

しゅーくりーむ

第1話 地球へようこそ魔王ちゃん!

「追い詰めたぞ魔王!」

「くっ我もここまで…と言うとでも思ったか?ランダムテレポート!」

「おい!逃げるな卑怯者!」

「はは!逃げるが勝ちじゃ!」

そう言うと魔王は光に包まれて消えてしまった。




「ここはどこじゃ?」

意識を覚醒させた銀髪の少女は辺りを見渡しそう呟いた。見当もつかないこの場所を魔王は探索する事にした。


「移動手段の様なゴーレム、見たことの無い程高い建造物、人々が見つめる謎の板。」

魔王は今まで...といっても十数年しかないが、

その知識を全て活用しそれらが一体何なのか

また、ここは何処なのか推測した。

「うーむ。分からん!こんな高度な文明見た事が無いぞ!ここはどこなのじゃ…」

そうしているうちに太陽が沈んでいく事に気が付いた。

「うわっ!?さっさと宿を見つけなければならぬな。」

彼女はそう言って宿の場所を2人の女性に尋ねることにした。

「宿はどこじゃ?」

「何この子ちっちゃくて可愛いんですけどーコスプレ?」

「もしかして迷子?」

(この立派な角で我が何者か分からぬのか?我は魔王じゃぞ?恐れおののけ人間よ。)

「迷子でもこすぷれ?でもない!早く宿の場所を教えろ!」

少女は高圧的な態度をとりながら言った。

「りょーかい!真っ直ぐ行って左に曲がるでしょ?そしたら左に見えるよ!」

「感謝するぞ人間!」

「全然大丈夫なんですけどー」

「かなは何もしてないでしょ?」

二人の笑い声を背に魔王は走った。


(ここが本当に宿なのか?えらい豪華じゃな)

そう思いながら彼女は言った。

「一晩泊めてくれぬか?」

金は幾らでもあるから泊まれるだろうと思っていた彼女だが、予想に反した言葉が返ってきた。

「お母さんはここに来てる?来ていないなら同意書が必要なんだけど持ってるかな?」

「お母さんは来てない!それとなんだ?

どうい...しょ?」

少女が「どういしょ」という言葉を頭の辞書から探していると、お姉さんは言った。

「ごめんね。同意書がないと泊めてあげられないの」

こうして少女は追い返された。



彼女は近くの公園で斜陽を眺め、今夜泊まる

場所を考えていた。

(野宿するしかないのか…)

と考えている際、魔王は閃いた!

「そうだ!人間に声をかけて泊めてもらおう!」

善は急げ。彼女は泊めてくれそうな人を探した。すると彼女の目の前に一人の男性が現れた。

「お主、一晩泊めてはくれぬか?」

無表情な男性は自分が声をかけられているとは思わず、辺りを見渡した。

「お主じゃお主。そこのもやしっ子!」

「初対面の人に失礼だなお嬢ちゃん。家出か?両親が心配してるぞ?」

「家出では無い!この角が見えぬか?我は魔王じゃ!」

「テープかなんかで付けた角じゃねーの?大体魔王ってなんだよ…ゲームじゃ無いんだから」

困惑した表情で彼は質問した。

「特別に触る事を許可しよう!」

「お、おう?」

男は恐る恐る角を触った。

(本物?いや、特殊メイクか?てかドッキリ?カメラどこだよ)

と考える彼に少女は追い打ちをかける。

「はあ、そこまで信じないなら魔王に代々伝わる漆黒の業火を見せてやるぞ」

そう言い魔王はパチンと指を鳴らした。

すると、黒い火の粉が散った。

「おお!すげぇ!魔法?」

興奮する彼だったが、彼女の違和感を抱いている表情を見て直ぐに冷静になった。

「どうしたんだ?」

「どうやら魔力を使いすぎたようじゃ…」

ばたんと少女は倒れてしまった。

(本当に異世界人?異世界人か魔法使ってたし)

そう思いながら彼は呟いた。

「地球へようこそ魔王ちゃん」

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