最終話 ペンリッケの証明推理
犯人であるオズワルドとジェッケラルが警察に連行されていったのをキャサリンもペンリッケも確認した後、ペンリッケによる証明推理が始まる。
1階のオズワルドの部屋のベッドにキャサリンが座ると、ペンリッケが彼女に向かい合って話を始めた。
「先ず、ボストンに居た僕を刑事のダズリンが呼び出した。キャサリンさんのご親戚にあたる方が亡くなった、殺人事件が発生した旨を電話で聞いたんだ」
「ボストンにお住いなんですね」
「そう。それでね、出張ということでロンドンへ来たら本当に事件は発生していたと。これは血にまみれた花瓶の上半分と砕け散ったのと銃弾を見たのと」
ペンリッケはスーツジャケットの内ポケットから、小さく折りたたまれた紙を取り出し、広げてキャサリンに見せた。
「これは鑑識からのメールをプリントアウトした物で、花瓶についた血が、花瓶で殴り殺されたレイチェルさんの遺伝子検査で一致したという証明と、花瓶についた指紋の中に、前科のあるジェッケラルの指紋があり、この指紋の付着推定時刻と死亡時刻が合致したんだ。それがこのメールに書かれてある」
「その間に聞き取り調査をしていたのは何故ですか?」
ペンリッケは紙を小さく折りたたみ、内ポケットに戻した。
「この殺人事件は複数人による犯行による可能性が高いし、共犯者がいる可能性も考えてのことさ」
「でも聞き取り調査は警察が事情聴取としてやってたわけでしょう? 何故貴方が警察より後に私のところにまで来て調査する理由がわからないわ」
「それは、ダズリンから聞いた話だと、誰も事件に一切関与してないのがわかったけど、貴女に関しては何か秘密を隠してそうな気がして。探偵の僕になら話してくれるかもしれないと思ったから。結果、犯人の早期逮捕に繋がったわけだ」
「私の考えていたことはお見通しだったってわけね。それで?」
「キャサリンさんからの話に基づいて、見知らぬ男2人組に繋がる糸口を探すべく、ダズリンからプロファイリングリストを借りて、とある画家に連絡を入れたんだ。貴女が誘拐されたのはその合間だと推定時刻は判明しているからね」
「それで、その画家さんから何を聞き出そうとしたの?」
「勿論、2人がどこへ行ったのかを。そしたら最初は嘘をつかれたんだ。あの画家は絶対何か隠しているとみて、もう一度画家の家を訪ねたんだ」
「そしたら、見つけたってわけね」
「僕が到着してからすぐに応援の警察が来て指紋認証に協力してもらったら、やはり先のとおり合致したってわけですよ」
「それで現行犯逮捕ってわけですか」
「そう。さて、僕は仕事をしたのでこれから甘いお菓子をいっぱい貰う約束してるし、その前に貴女を自宅まで送らなきゃ」
キャサリンとペンリッケは立ち上がり、現場を離れてロンドンへ戻った。
報酬は甘いもので ~出張先は苦味がきいていますので~ 色咲鈴子(しきさき・りんこ) @peeepop202212
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます