12
鉛筆で描かれた(本当にびっくりするくらい未来にそっくりの)未来の素描(スケッチ)画はにっこりと本当に楽しそうな顔で笑っていた。
(これが、……私?)
未来は本当に驚いた。
未来が涙くんを見ると、涙くんはにっこりと笑って未来に「どうかな? 自分では、よく描けていると思うんだけど……」と言った。
その言葉を聞いたとき、未来の涙腺は崩壊した。
「……ありがとう。涙くん」そう言って、(絵の中の笑っている未来とは違って)現実の未来は涙くんを見てぽろぽろと涙を流した。
それから未来は、涙くんから「ほら、笑ってよ。三上さん」と言われたので、未来は「……うん」と言って無理やり絵の中の自分と同じように口角を上げて、にっこりと笑った。(それは、まるで笑顔の練習をしているようだった)
わたし、やっぱり涙くんのことが、好きなんだ。
……そんなことを泣きながら、未来は思った。
「そのスケッチ。よかったら、三上さんにプレゼントしたいと思うんだけど、もらってくれるかな?」涙くんは言った。
「え? この絵、私にくれるの?」ハンカチで涙を拭いていた未来は言った。
「うん。その代わり、もう一度、三上さんの人物画を描くためのスケッチをさせてもらいたいんだけど、それでもいいなら、その絵はぜひ、三上さんにもらってほしい」と涙くんは言った。
「うん。ありがとう。何度でもモデルになる。本当に嬉しい。どうもありがとう!」と未来は本当に嬉しそうな顔と声で涙くんに言った。
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