第32話 とにかく…遊ぶ!
……
ガチャっ
「失礼します」
「ぷいっ」「ピィー」「カウっ」
俺たちはモンスターギルドでクエストを受けてから、再びテイマーギルドへときた。
今日の朝にも、リアを連れて、クエストを一つクリアして来たのだけれど、その時に一つ気になるクエストを見つけた。
それが…
——————————————————————
クエスト名 一緒に遊ぼう!
テイムしたモンスターと一緒に、テイマーギルド内にある、預け広場で遊ぼう。
これを機に、テイムモンスターとの友好が深まるかもしれないぞ!
時間は、30分。
ポイント 1pt
ゴールド 300G
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このクエストだ。
モイカたちと遊ぶだけで、ゴールドと報酬がもらえるという得しかないクエスト…。
受けるしかない!!!
「あら、シドさん。さっきぶりですね」
俺たちが中に入ると、ミナさんが声をかけてくれる。
「はい。朝言ってたクエストを受けようかなと思いまして」
「あ、そういうことでしたか。クエストはたくさんありますので、色々と受けてみてくださいね!」
「わかりました!」
ミナさんと少し話した後、直ぐにクエストボードの前へと向かっていき、目的であるクエストを手にとる。
土地の中では、外でのんびりとしたり、戯れあったりしていたけれど、そこよりも広くて遊具もある広場で遊べる機会なんてそんなにないからな…!
俺としても、もっとモイカたちと遊んだりしたいから、このクエストは絶対受けたかった。
なんなら、このクエストがボードにあったら、毎回受けてしまうかもしれないぐらいだ。
「このクエストを受けようと思うんだけど、大丈夫か?」
一応、モイカたちにもクエストを確認する。
これで…嫌!
みたいな反応が来たら、結構ショックではあるけど…、モイカたちの意思が最重要だからな。
その時は諦めよう。
………
「ぷいー!!」
「ピィー!!」
「カウっ!!」
俺がそのクエストを見せると、3人とも一気にうきうきとしたような顔になり、テンションも上がったように様子になる。
……よかった。杞憂だったみたいだ。
まさか、ここまで喜んでくれるとは思わなかったけど、これならクエストは受けてくれそうだ。
「わかった!なら……一緒に遊ぶか!」
「ぷい!」「ピィー!」「カウっ!」
俺はクエストを持って、ミナさんの所へと向かって行った。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
「おー…。中に入るのは初めてだけど、意外と広いんだな…」
「ぷいー…」「ピィー…」「カウっ…」
俺たちは、ミナさんに案内をされて、テイマーギルド内にある広場の中へと入れてもらった。
広場は、テイマーギルドに入って左手の方にあり、俺も来るたびに目には入っていたのだが…、実際に入って見るとその広さがよくわかる。
広場の地面は、土地のような芝生になっているため、緑色広がっている。土地の地面みたいだな。
中には、滑り台やブランコなどの遊具、砂場、ちょっとした競争ができそうなトラックのような場所、小さな山状の遊び場など、30分では遊び切れないほどたくさんの場所があった。
この中で遊べるのか……。
めっちゃワクワクしてくる…!!!
「このクエストは、ここの広場で遊んでもらというものになります。私も、この辺りから見ていますけど、何も干渉したりはしないので、たくさん遊んでください!時間になったら、私の方から声をかけますので」
「分かりました!ありがとうございます」
「いえいえ。モイカちゃんたちも、シドさんとたくさん遊ぶのよ?」
「ぷい!」「ピィー!」「カウっ!」
「なら良し!楽しんできてね」
「ぷいーーー!」
「ピィーーー!」
「カウっ!」
ミナさんの言葉を聞くと、モイカたちは一直線に広場にある遊具の方へと走っていく。
よし!俺も遊びにいきますか!
「じゃあ俺も行って来ますね」
「はい、楽しんで来てください」
「はい!」
俺も、ミナさんに一言そう言って、モイカ達を追いかけるように遊具の方へ走って行く。
モイカ達も、遊具の前へとくると、その場に留まって俺のことを待ってくれている。…嬉しい。
俺も少し本気で走って、モイカたちのところへと急いでいく。
久しぶりに…遊びますか!
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
-滑り台-
「ぷいー!」
遊具ゾーンにある、滑り台の上を結構なスピードで滑っていくモイカ。
滑り台の摩擦が小さいのか、もしくはモイカの身体がふわふわしているからかはわからないが、俺が思っていたよりも早く滑っていっている。
「モイカー!楽しいかー!」
「ぷいーー!!」
まあ、モイカが楽しそうならいいんだけどね。
モイカは滑り終わると、また滑り台の階段を登って滑って行く。
…相当楽しかったらしい。
「ピィー!」
「カウっ!」
モイカが滑っているのを見て楽しそうだと思ったのか、ハクとリアも登っていき、滑り始める。
「ぷいー!」
「ピィー!」
「カウっ!」
なんか、いいなー…。
…こうやって、3人が楽しそうにしていると俺の方まで嬉しく感じる。
俺の土地でもじゃれ合ったりして遊んではいるけれど、こういう遊具的なものは何もないからな。
また、ゴールドがたまって、土地も広くなったら買ってみるのもいいかもしれない。
…当分先になりそうだけど。
「ぷい!」
「…うん?どうした、モイカ」
俺が3人を見て色々と考えていると、モイカが俺の足元に来ていた。
「ぷいぷい」
「……俺も一緒に?」
「ぷい!」
どうやら俺と一緒に滑りたかったらしい…。
……可愛い!!
こんな風に誘われたら断れる訳がないよね。
って言うか、さっき俺も思いっきり遊ぼうって心の中で言っていたのに、なんで俺は傍観しているんだ..。
「…よし、行くぞ!モイカ!」
「ぷい!」
モイカに一言かけ、俺も滑り台の階段を登って行く。
滑り台なんて何年ぶりなんだろうな…。小学生の頃は何回も滑っていたのだろうけど、中学、高校、大学となるにつれてマジで滑らなくなっちゃったからな。
「…おー、結構高いんだな」
上にきて分かる高さ。
高所恐怖症でもなんでもないのだが、すこーしだけ怖さを感じる。
でも、今はそれよりも……楽しみと言う気持ちの方が大きい。
「ぷい」
「モイカ、前座るか?」
「ぷい!」
「わかった。…よし、行くぞ!」
モイカを前にして滑り台の上を滑り始める。
「おーー!!」
「ぷいー!」
…速い…思っていたよりも早速いぞ…!
俺とモイカたちの体重の差もあってか、見ていたよりも速く滑って行く。
「ぷいーー!」
「おーー!………着地っと」
想像以上に速かったけど……楽しいぞ!
モイカも楽しそうだったし……モイカのもふもふも楽しみながら滑れたしな。
「ピィー!」
「カウっ!」
「お、ハクたちも一緒に滑るか?」
「ピィー!」
「カウっ!」
「わかった。なら行くぞ!」
俺はこっから、モイカ一回、ハク二回、リア二回の計6回滑り台を滑った。
多分、今まで一番滑り台を滑った日になったと思う。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
-砂場-
「これをこうして……最後にこうすれば………できた!」
滑り台で遊んだあと。
俺たちは、砂場で遊んでいた。
俺はとあるものを作ろうと思って、色々と試行錯誤していたのだけれど、モイカたち3人は砂の上で寝転がっていたり、戯れあったりして遊んでいる。
いつもは、芝のような地面で走ったり遊んだりしていたけれど、砂場みたいな細かい砂の上は初めてらしく、楽しそうに遊んでいる。
「モイカー、ハクー、リアー。ちょっと来てくれ!」
俺は、今さっき完成させたものを見せようと思い、3人を呼ぶ。
ふっふっふー…。
これを見たら3人とも驚くだろうな…。
正直なことを言うと、砂でものを作るのは得意ではなかったのだけれど、今回作ったものは結構な力作になったと思う。
「ぷい?」
「ピィー?」
「カウ?」
「3人とも集まったな…。これを見よ…!!」
俺は、短時間ながら一生懸命作った作品をモイカたちに見せる。
さあ……驚くがいい…!
「……」
「……」
「……」
「……」
………
え……、なんだ、この空気…。
「えっとー…、モイカさんにハクさん、リアさんも…。何か反応してもらえると嬉しいのですが…」
俺が作った作品を見ているはずなのだが、3人は真顔……いや、何かを考えているような顔をしながら無言でいる。
「…ぷ、ぷい?」
モイカが、これがなんなのかを聞くように、俺に鳴いてくる。
……もう見てわかる通りのものなんだけど…。
「…あれ?シドさんたちどうしましたか?」
俺が、モイカたちに何かを教えようとした時に、ミナさんがこっちまでやってきた。
「急に静かになったので、何かあったのかと思ったんですけど…」
あ、それでこっちまでやって来てくれたのか。
ちゃんと俺たちのことを見てくれていたんだな…。流石はテイマーギルドの受付嬢。
ただ、その理由がこの作品だと考えるとちょっと…。
「あ、いえ…。そんな危険なこととかも何もなかったんですけど…。…ミナさんは、これ何に見えますか?結構頑張って作ったんですけど」
俺は作ったものをミナさんに見せる。
…流石にミナさんには伝わってくれるでしょう…!
「…えっとー…。これはー…?」
……ミナさんにも伝わらないのか。
まあ…正直少しわかっていたけどね…。
「……モイカを作ったつもりだったんですが…」
「……え!?」
「ぷい!?」
「ピィー!?」
「カウっ!?」
俺の言葉を聞いて、三者三様に驚く。
…そんなに驚きます…!?
結構頑張ったんだけど…。ちょっとショック。
「えーっと、下半身の方は作れてないんですけど…、この目とかはモイカっぽくないですか!」
この目だけはちゃんと見て欲しい…!
細いところまで掘ったりなぞったりして、モイカっぽくしたんだからな!
……
まあ…言い換えれば、それ以外はあまり時間をかけれなかったということだけどね…。
それでも、俺的には上手くできたと思ったんだ。
「…確かに…、目だけを見てみるとモイカちゃんっぽく見えなくもないですね」
「…ぷいぷい」
「…!やっぱ見えますよね!」
よかった…。目だけでもモイカに見えてくれて嬉しい。
「でも、これがモイカちゃんかって言われると…」
「ぷいぷい…」
「ピィー…」
「カウ…」
「…そうですよね…」
…改めて、俺の作ったモイカを見てみる。
……
うん、冷静に見てみると…モイカでは…ないな。
目だけはぽく見えるけど、それ以外が…。
次からは、ちゃんと全てを作り終わってからモイカたちに見せようかな。
その作品が砂場で作るものなのか、他の何かで作るものなのかはわからないけれど。
「ごめんな、モイカ」
俺は、モイカに謝る。
もしかしたら、俺のものを見て悲しい思いをしていた可能性もあるからな。
「ぷいぷい…!」
大丈夫だと伝わるように、うんうんと頷いてくれるモイカ。
「ありがとう。次からは……次からは、ちゃんとしたモイカを作って見せるから!」
「ぷい!」
よかった。モイカはそこまでショックは受けてなさそうだ。
モイカのためにも、次作る時は頑張らないと。
今回、砂場でモイカを作ってみたおかげで、少しだけこういう作品を作るのにも興味が湧いたから、また暇があれば自分の土地とかでも色々やってみようかな。
「ピィー!」
「カウっ!」
俺がモイカの作品を作ってあげるという事を約束すると、ハクとリアも作って欲しいと鳴いてくる。
「もちろん、ハクとリアのも作って見せるぞ!」
「ピィー!」
「カウっ!」
笑顔になって俺に甘えてくるハクとリア。
もう可愛いすぎるって…。
俺は、ハクたちを一人一人撫でていく。
「ぷいー♪」
「ピィー♪」
「カウっ♪」
「うふふ…。私はお邪魔そうなので、ここら辺でお暇しましすね。また時間になったら、お伝えしますので、残り時間思いっきり遊んじゃってください」
「わかりました。ありがとうございます!」
残りは、15から10分ぐらいかな?
次いつここの入れるかもわからないし、他のものでも遊ばないと…!
「モイカたち、また違う場所で遊ぶぞ!」
俺はそう言って、次の場所へと向かっていった。
——————————————————————
お待たせしました…!
遅くなりましたが、投稿いたしました。
誤字脱字等あると思いますので、もしあれば報告をよろしくお願いします!
そして…!!!
星評価が650を超えていました!
僕が投稿していない間も、たくさんの方に読んでいただいて本当に嬉しいです。
これからもゆっくりになりますが投稿していこうと思います!
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