第30話 地上へ!

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光魔法 浄化のスクロール


光魔法 浄化を取得することができるスクロール。

しかし、光魔法を取得しているものにのみ、使用することができる。

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「光魔法 浄化のスクロール…」


「ふむふむ。光魔法を取得しているものにしか、使用できないものか…。シドよ、お主は持っているのか?」


「…えっとー……持っていませんね…」


まさかの光魔法を持っていないと覚えられないスクロール…。

せっかくスイ婆さんがただでくれたというものなのに使えないのか…。

マジでショックだ。



「そうじゃろうな。お主は見るからに近接タイプじゃからのう」


初期衣装の生地の薄い服とズボンに、腰に備え付けられている安い小剣。


うん、見るからに魔法を使うようなタイプではないな。

多分、誰がみてもそれはわかると思う。


「…なんか、せっかくくれたのに申し訳ないです」


「……それはいいのじゃが……シドよ、お主のモンスターたちで光魔法を使えるものはいないのか?」


「…え?…えっと、一応ハクなら使うことができますけど…」


「ならよかったのじゃ。ハクにそのスクロールを使ってみるがよい」



………


「ピィー!?」


「…え!?モンスターにも使うことができるんですか!」


ハクと俺が同時に驚く。


…それはそうだろう。

俺はあまりゲームをやってきていないから、よくわかっていないのだが…こういうアイテムはプレイヤーだけが使えると思っていたからな…。


それが…まさかのモンスターにも使えるなんて…!


「そうじゃ。スクロールっていうものは、スキルを使うものなら誰でも使えるようになっているからのう」


「そうだったんですか…!」


「ピィー…!」


もう今の俺はウキウキでハープな状態よ。

使えないと思っていたスクロールが、ハクになら使えるんだからな。

しかも、これによってハクがもっと色々なことができるんだし…!


そして……モンスターにつけることができるってことは、モイカとリアにも使えるってことだ。

今は、ゴールドがないから買ってあげられないかもしれないけど、ゆくゆくは好きなスクロールを買ってあげたい。

ちょっと不公平感があるしな。


「スクロールの使い方は簡単じゃ。頭の中で、誰にこのスクロールを使うのかを唱えるだけ。やってみるがよい」


「わ、分かりました。…ハク…大丈夫か?」


「ピィー!」


「わかった」


俺は、手にスクロールを持って、ハクの方を見つめる。

そして…頭の中で唱える。


(光魔法 浄化のスクロールをハクに使います)


『光魔法 浄化のスクロールをハクに使いますか?』


『Yes or No』


すると、目の前に確認の言葉が出てきた。


なるほど。ちゃんと、こんな感じで出てきて、確認とかをできるようになっているらしい。

これなら、間違えてもすぐにキャンセルもできそうだ。


俺は、Yesをタップする。


『ハクが、光魔法 浄化を覚えました』



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名前 ハク  Lv 4

種族 シロノバード


HP : 17 (max17) MP : 15(max15)

攻撃力 : 4 防御力 : 5 敏捷力 : 5

知力 : 10 器用さ : 2 ラック : 2

残りポイント 0


スキル

突っつき Lv1 光魔法 (光弾)Lv2

キュア Lv1 光魔法(浄化)Lv1

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「よし!これで、浄化を覚えられたぞ」


「ピィー!」


ハクも俺の周りを飛び回って、喜びを表している。

ハクの、光魔法には本当に助けられているから、そのスキルがまた増えたっていうのは俺としても嬉しい。


あ、そうだ。どんなスキルなのか見ておこう。


浄化…光魔法を覚えているのみが使えるスキル。味方、または敵の毒や呪いなどの状態異常を解くことができる。


おー!治す系の魔法だったか。

今のところは、毒だったり呪いだったりの状態異常を使ってくる敵はいないけど、後々出てくる可能性は大いにあるからな。

なんなら、俺のイメージだが、難しいボス戦とかで、毒などの状態異常がやっかいになってくるイメージもあるから、今覚えられたのでかい。


「ちゃんと使えたようじゃのう」


「はい!ありがとうございます、スイ婆さん」


「ピィー!」


「大丈夫じゃ。わしがあげたんじゃからな。ちゃんと使っていくんじゃぞ?」


「当たり前です…!」


「ならいいのじゃ」


そう言って、俺たちに向かって微笑んでくる。

…初めは、少し怖い方なのかなって思っていたんだけど…、スイ婆さんは本当に優しい人だな。

それに、モイカやハク、リアのことを見る目も優しいし。


…話してみないとわからないもんだな!


「…出口なら、ここをまっすぐ行ったところにある。そこからの出ていけば、地上に出れるはずじゃ」


スイ婆さんの見ている方向を、俺たちも一緒に見てる。確かに、出口のようなドアを確認できるな。


「わかりました。…改めて、本当にありがとうございました。スイ婆さん」


俺は改めてスイ婆さんに感謝を伝える。

スクロールを一個くれたことは一生忘れないだろうな。


「いいのじゃいいのじゃ。またくるのじゃぞ」


「はい!ありがとうございます」


「ぷいー!」


「ピィー!」


「カウ!」


「うむ。モイカ達もまた顔を見せておくれ」


モイカ達3人も最後に挨拶をすると、スイ婆さんも微笑んで、反応をしてくれる。


「シドよ。今回は、ハクにスクロールを使っていたが……モイカやリアにも使ってあげるんじゃぞ?ゴールドがたまってからでもいいからのう」


「当たり前です!」


「ぷい!」


「カウっ!」


スイ婆さんの言葉に、すぐに言葉を返す。


俺もいつになるかわからないけれど、買って上げようとは思っていたからな!

モイカ、リア……安心しろよ!


「ならいいのじゃ」


再び微笑むスイ婆さん。


…多分、スイ婆さんもモイカとリアのことを思って、俺に言ってくれたんだろうな。

俺と同じことを、スイ婆さんの方も考えていたのかもしれない。


そう考えると……本当にいい人だよな…。


「……では、俺達はこのあたりで」


「うむ。またのう」


「はい!」


「ぷい!」


「ピィー!」


「カウっ!」


俺たちはそう言って、出口である扉を開けて、地上へと帰っていった。


次の水曜日……またここに来ないとな…!



♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢



「…なるほど…。ここに出るのか」


俺たちがスイ婆さんと別れて、地上に戻ってくると、モンスターギルドの近くの道にある、とある家の扉から出てきた。

そこは、人が通りはするけれど、そこまで大通りって言う場所でもないから、そこまで違和感なく戻ってくることができた。


隠し扉から入ったから、どこに出てくるんだろうと少し心配だったけど、ちゃんと出れるようになっていたらしい。

けれど、ここからは入れないようにか、俺たちが出て扉が閉まるとその扉はもう開かなくなった。


ちなみに、地上に戻ってくるまでの階段は、下りた時からと同じような感じだったな。



「やっぱ、地上は明るいなー」



さっきまで、スイ婆さんのお店にいたけれど、そこもめっちゃ明るい感じのお店ではなく、階段のところも薄暗かったから、地上の明るさに少し驚く。


けど、やっぱ明るいのもいいよな。

内面的な気分も上がった気もするし。


「ぷいー!」


「ピィー!」


「カウっ!」


「あまり走り回るなよー」


モイカ達も少し気分が上がったのか、俺の周りを走り回っている。


目立ちそうだからやめて欲しい気持ちもあるけど……


可愛いから許す!!!


今も、少しこちらをみている人たちがいるけど……


全然許す!


って言っても、あまりここにいるのもアレだから、一旦土地に帰ろっかな……。



「…いや、ちょうどモンスターギルドの近くにいるんだし、モンスターギルドに行っちゃうか」


地図を埋めるのも、少しではあるが進めることができたから、次の目標であるモンスターギルドにいくこと、それとテイマーギルドでクエストを受けることをやってもいいと思う。


昨日の敗戦もあるからな……。気合いを入れて行かないと。


「みんな、モンスターギルドにいくぞ」


「ぷい!」


「ピィー!」


「カウ!」


モンスターギルドと言う言葉を聞くと、3人ともがすぐに俺の近くに来て、やる気満々の姿勢を見せる。

3人も、やっぱり昨日の敗戦の影響か気合いが入っているらしいな…!


「じゃあ…行くか!」


「ぷい!」「ピィー!」「カウっ!」


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短めですいません!

本当はもっと描きたかったのですが、遅くなりそうなので、ここら辺で投稿しときます!

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テイマーさん、従魔達とVR世界を歩き回って探索する @Isogun0307

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