精神世界のリアル事情

天乃てとら

第1話 YESかNOか

やあ。


疲れてるかい?


ボクは疲れたよ。一人称はボクで行くことにしたよ。なんか可愛いじゃん?


ここは逃げ場を失った人の最終避難所にしようと思うよ。


ここに来ればきっと仲間が見つかる。1人じゃないって思えるような、最後の一歩を踏み止まらせる救いの広場にしたい。


なので、まずはボクがここで待つことにしたよ。ボクには些細な力しかないけど「疲れたね。一緒に休もう」と声をかけてあげる事はできる。




君に質問がある。




あなたの精神は正常ですか?




YESと答えた人は新しい世界へようこそ。


NOと答えた人はまず病院に通いましょう。もう通ってる人は入院しないように気をつけようね。


入院も一つの逃げ道だと思う。でもボクは3回入院して、もう入院はしたくないと思ったよ。


もう隔離は嫌だ。タバコが吸えないのも狭い部屋も誰も来てくれない孤独も、何もかも耐え難い。


あんな環境で症状が良くなるのは、よっぽど重症な人か、逆に正常に近い精神力を持っている人だけだろう。


ボクみたいに中途半端な理性を残しつつ所々壊れた腐りかけの半分ゾンビには、より自身を腐らせて完全に壊れるのを待っているようで恐怖しか感じない。




だからボクはここに閉じこもるんだ。




君はどうかな? 腐ってない?




ボクは6年前に自殺未遂をして適応障害と診断された。


あの時、首を吊るための場所がなくて、アパートのロフトからローブを吊り下げたら足が床に付いてしまって、仕方なく非定型で吊ろうとしたら、ローブが伸びてお尻が床に付いてしまって。


あの時が1番危ない精神状態だった。


神様がいるとしたら、あの時きっと「まだ死ぬな」って言ってたんだと思う。




あれから毎日死にたい。




生きていたくない。




ある日、ボクは気付いてしまったんだ。


自殺した人は地獄に堕ちるという事を。


きっと首吊りなんかしたら、苦しい時間が永遠に続く罰が待っているに違いない。


10秒以内に意識を失って、苦しいと感じる前に失神するなんて嘘なんだよ。


こっちの世界では10秒かもしれないけど、あっちの世界では5000億年かもしれないじゃん?


吊った瞬間にあっちの世界に移住して何千年、何億年と苦しみもがく。そんな風に考えたら自殺できなくなった。


でも辛い時の逃げ場が欲しくて、登山用のロープはクルマのトランクに隠してある。


直径12ミリの太めだから首に食い込まなくて痛くなさそう。


お守りみたいに持ってるんだよね。いつでも逃げられる。そんな救いの道をローブに託してるんだ。




君は苦しい時、どこに逃げるんだい?




それがここだったら、ゆっくりして行くといいよ。ボクが待ってるからいつでもおいでよ。




毎回1000文字を目安に投稿していくよ。更新は不定期。ボクの精神のリズムで投稿するよ。


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