第26話 セクシーでクールな衣服
私が衣服を選んでいるが、毎回来ているためか中々決められなかった。
そんな私を見てお義姉様も衣服選びに協力する。
「あんた、身長が高くてそこまでクールだったらもっとセクシーになってもいいんじゃない?」
「どういう意味ですか?」
「そのまんまの意味よ」
お義姉様も私の体形を見て判断したのだろう。お義姉様にとって私はお嬢様というよりは若者の町に集まるようなギャルだとかヤンキーみたいな感じに見えたのだろう。そんな私に対して、お義姉様はパーカーコーナーへ行く。
「お姉様? そのあたりはパーカーのコーナーですよ」
「こういうのはどう?」
お義姉様はパーカーのコーナーで赤い長袖のパーカーを私に渡す。パーカーで丈の部分は黒く星の模様があり、おまけに丈が短い。だから着ればお腹が大胆に露出する。
「お義姉様、こういう大胆なのは私には似合いません」
「何言ってるのよ。あんた今着ているのも大胆よ。それにセクシーなのは私には似合わないけどあんたは似合うわよ」
「人前でお腹をさらすのは、嫌らしいというか」
「私から見たら今のあんたの格好も嫌らしいわよ」
私は何も言い返すことが出来ず顔を赤くする。
そんな私を見て次にお義姉様はショートのデニムを持ってくる。
ウエストサイズも私にぴったりのやつ。上のセクシーで綺麗なパーカーと下のデニムで大人らしさを出せるというお義姉様が選ぶ私のコーデは素晴らしい。
「上下がこんな組み合わせでよろしいのでしょうか?」
「私からしてみれば、あんたはこれが合ってるわ」
さらにお義姉様は女性用の赤いシューズに黒くて短い靴下も用意してくれた。
腕を隠す代わりに大胆にお腹と脚を見せてセクシーに決めるコーデのようだ。
かっこよさを出しつつ、セクシーでキュートな感じも出すコーデ。
私は試着室で着てみる。
鏡で見たところ、やっぱり恥ずかしいと思う。腕は隠せてぶかぶかな感じが良くても、お腹は大胆に露出しているし、ショートのデニムでセクシーな感じが増している気がする。でもお義姉様が見てどう思うかだと思い、試着室のカーテンをあける。
「お義姉様……どうでしょうか?」
最初は驚いて黙り込んだお義姉様だったが、すぐに感想を言う。
「すごいわね。綺麗な肌が赤いパーカーとショートパンツのデニムと相性抜群ね。美容を欠かしていない成果かしら?」
「それは余計です。ですが褒めてくださってありがとうございます」
「大したことないわよ。それで、その服は私のおごりよ」
「何故ですか? お義姉様にお金を支払わせるなんて、こういうのは全て私が払うつもりです」
「いいのよ。クレープのお礼。その代わり、このあたりで私でも楽しめる面白いスポット紹介しなさいよ」
「はい……」
私はお義姉様に買ってもらった赤いパーカーやデニムなどを着ると、さっきまで着ていた衣服を護衛で私とお義姉様を監視している人に渡してお気に入りのスポットへ向かった。
そのスポットへ行くためにストリートや人通りの多い道を通らなければいけない。
私とお義姉様を見ている通行人はお義姉様も赤いパーカーで私も赤いパーカーというペアルックもあって周りの人達は私とお義姉様を本物の姉妹のように見る。
周囲の人達と比べて私とお義姉様は見た目も衣服も目立った格好だから、周りの人達は注目するのだ。
特に女性の通行人がひそひそ話をする。
「見てよあの2人。かっこよくてかわいい姉妹だよね」
「黒髪の子がセクシーだよね。お姉ちゃんにほしい」
「赤い帽子被ってる妹さんもあんなお姉ちゃん持って羨ましい」
周りの人は私とお義姉様の身長や着こなしで勘違いをしている。まさか帽子を被っている方が実は姉だなんて思わないはず。
私はお義姉様にこのことを気にしていないかを聞く。
「あの……」
「どうしたの?」
「やっぱり、私がこんな格好したら……目立つというか……お義姉様が……」
「気にしなくていいのよ。本来私達は資産家。こういう一般市民の考えは持ってないわ。一般市民から成り上がったあんたには分からない話だろうけど」
「ですが、配慮はしたいです」
「あんたも余計な気遣いして。その服装を進めたのは私よ。あんたは私が望むことをやればいいの」
「はい……」
周りからは身長や服装で私が姉だと認識されているのに、態度やしっかりしている感じから、お義姉様は私にとって姉らしいと感じた。
そんなお義姉様のために私が彼女に勧めるスポット。そこは高いところから夜景を見れる展望デッキ。
お義姉様も有名なタワーには何回かいった事があるが、今回私が誘ったスポットである展望デッキは行ったことがないらしかった。
「ここの夜景は綺麗なの?」
「はい、私がヤンキー時代の時に喧嘩の後やイライラした後なんかはここへ来ていたんです」
「そう……だったのね」
お金がかかる場所だが、少ないお小遣いの中でこの場所に来ることは救いそのもの。
それは私が赤沢家の人間になっても変わりはない。
お義姉様もそんな場所を気に入ってくれた。
「綺麗な風景ね。町も良く見えるわ」
「この町の人のために交通会社で仕事をしていきたいです。安心安全の交通が出来るように」
私は自然と涙を流していた。それは久々にここに来れて良かったことによる嬉しさと、これからの目標が決まったことの嬉しさがあったからだ。
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